フィリピン発明家 困り者のホテイアオイを固形燃料、有機肥料源に

農業情報研究所(WAPIC)

08.11.15

  フィリピン・ラグーナ湖(マニラ南東部に位置する東南アジア最大の淡水湖)のスイレン(ホテイアオイ)は湖周辺住民の大変な困り者だ。水質悪化がもたらす大量繁茂で水の流れを塞ぎ、航行や漁業の重大な妨げとなる。一村長によると、”アミハン”と呼ばれる涼しい北東風が吹く今の時期には、人間の腰まで伸び、100fもの湖面を厚く覆い、とても通行できない。 

 そんなスイレンが、石油に代わる新たな燃料源や有機肥料源に生まれ変わる。環境・自然資源省やラグーナ湖周辺自治体政府に支援されたMapecon Green Charcoal Philippines社の カタン氏の発明のお陰という。

 この技術は、バイオ廃棄物を環境に優しい炭、つまり調理用の、また工業用にもなり得る液化石油ガスの代替品であるコンパクトな固形燃料に再生する。先ずは、シュレッダーを使ってスイレンを切り刻む。これに酵素を生産する微生物を加える。最後に、こうして処理されたスイレン混合物を天日に曝し乾燥させる。微生物の変わりにミミズを使い、有機肥料を生産することも可能だ。

 カタン氏は有機肥料を生産するのは重要なことだ、「米国を含む多くの国は間違っている。バイオ燃料の生産が、今や家畜ではなく車を養っている。農業もまた重要だ」と言う。 

 PHILIPPINES: Flower power ,IRIN,11.14
 http://www.irinnews.org/Report.aspx?ReportId=81470

 日本もまた間違っている。化学肥料が高騰と大騒ぎしながら、稲藁をはじめとする有機肥料源を自動車用バイオ燃料にして燃やしてしまう技術の開発に血道を上げている。