米農務省 バイオエタノール原料用GMトウモロコシの承認に一歩

農業情報研究所(WAPIC)

08.11.26

 米国農務省動植物検疫局(APHIS)が11月24日、エタノール生産を容易にする微生物酵素を生産する遺伝子組み換え(GM)トウモロコシの規制撤廃に関するパブリック・コメントを求めた。

 これを申請したのはシンジェンタ社で、APHISが行った環境影響評価では、「科学的証拠は、このGMトウモロコシに関連した環境上、人間の健康上または食品安全性にかかわるいかなる懸念もありそうにないことを示している」という。

 コメントの期限は09年1月20日まで。コメント期間ののち、病害虫のリスクがないと結論できれば、APHISが規制撤廃を決定をする。そうなれば、この製品は、APHISの許可やその他の規制上の監督なしで、自由に流通、栽培できる。

 USDA Seeks Public Comment on Deregulation of Genetically Engineered Corn,USDA/APHIS,11.24
 http://www.aphis.usda.gov/newsroom/content/2008/11/deregcorn.shtml

 これが実現すると、工業用途のGM作物としては初めての承認となる。このトウモロコシについては、「耐熱性α-アミラーゼ産生トウモロコシ」として、わが国にも許可申請が出されている。厚生労働省は食品としての安全性、農林水産省は飼料としての安全性の確認を食品安全委員会に求めているが、食品安全委員会の審査は未だ完結していない。

 厚生労働省:http://www.fsc.go.jp/hyouka/hy/hy-uke-a_amylase3272_k_food-191210.pdf
 農林水産省:http://www.fsc.go.jp/hyouka/hy/hy-uke-a_amylase3272_n_feed-191210.pdf
 食品安全委員会:http://www.fsc.go.jp/senmon/idensi/i-dai56/index.html

 このトウモロコシが食料・飼料に使われることなく、専らバイオエタノール原料として使われるとしても、何の規制もなく自由に流通・栽培できるとすれば、食料・飼料への混入は避けがたい。許可は慎重の上にも慎重を期す必要がある(特に 問題なのは、挿入されるα-アミラーゼ遺伝子とアレルギーとの関係)。