フランスのバイオマス発電拡大計画 将来の発電能力は原発に並ぶ

農業情報研究所(WAPIC)

09.1.13

 フランスのジャンルイ・ボルローエコロジー・エネルギー・持続可能発な開発・国土整備相が1月6日、バイオマス発電所建設に関する新たな競争入札を行うと発表した。2012年までに総能力250メガワット、原子力発電の4分の1の能力を有するバイオマス発電所を建設する。取り上げられたプロジェクトは、電力買取料金の優遇措置を受けられる。

 250メガワットのうち、150メガワットは国土整備の観点からの優先地域にリザーブされる。これら優先地域は、特に防衛リストラに関係するフランス北東部(アルザス、ロレーヌ、シャンパーニュ・アルデンヌ、ノール・パ・ド・カレ、ピカルディの諸州とセーヌ・エ・マルヌ県)、山岳地域(中央山塊、ヴォージュ、アルプス、ピレネー)、電力供給に困難を抱え・緑藻や家畜排泄物のような一定の物質の有効利用が重要な意味を持つブルターニュ。

 プロジェクトの選考に当たっては、以前と同様、特に「バイオマス供給の質」を重視する。施設は高いエネルギー収量を持ち、大気汚染物質に関して適用可能な規準を満たさねばならない。

 Nouvel appel d’offres pour la construction de centrales de production d’électricité alimentées à partir de biomasse, Ministère de l'Écologie, de l'Energie, du Développement durable et de l'Aménagement du territoire,09.1.6
 http://www.developpement-durable.gouv.fr/article.php3?id_article=4111

 フランスは既に400メガワットのバイオマス発電能力を持つ。2年前の入札の結果、08年6月には総能力300メガワットのバイオマス発電所建設プロジェクトが選定され、09年末までに始動する予定だ。2012年からは原発とほぼ同量の950万メガワットの能力を持つバイオマス発電所が稼動することになる。

 フランスは2020年までにエネルギー消費の最低20%ー05年の倍―を再生可能エネルギーで賄うという目標を持つ。これはEUから課された義務でもある。バイオマス発電の野心的拡大は、これを達成するための措置の一環だ。 

 電力生産には木材、藁、畜産廃棄物、家庭ごみなどの様々な有機物が利用できる。ただし、現在、バイオマス由来の電力の70%は木材の燃焼によって生産されている。ル・モンド紙は、「自然資源は非常に豊かだとしても、この部門の開発は森林経営の均衡と、地球規模の森林破壊の問題を考慮に入れる必要がある」と注意を促す。

 La France veut développer les centrales à biomasse,Le Monde,09.1.9
  http://www.lemonde.fr/planete/article/2009/01/09/la-france-veut-developper-les-centrales-a-biomasse_1139816_3244.html#ens_id=1139909