インドネシア 籾殻ガストーブが数百万農家に多大な恩恵 温暖化ガスも減る

農業情報研究所

09.1.29

 インドネシアの農業エンジニアが米籾殻ガス化技術を使う簡素なガスストーブを発明した。透き通った青い炎を発する粗末な金属製調理用ストーブだ。

 このストーブを使えば、米農民は灯油や液化石油ガスに比べて年に150ドルほど節約できる。一日2ドル以下で暮らす数百万の人々にとっては大変な節約だ。

 籾殻は農場や精米工場近くのごみ捨て場でただで手に入れられるし、このストーブの利用で温暖化ガスの排出を減らし、薪の使用を減らすこともできる。

 インドネシアは年に1000万トンほどの籾殻を生産、大部分は廃棄されている。これは、クリーンで、再生可能なエネルギーを生み出すための巨大な資源をなすという。

 Rice husk waste turned into cheap energy for cooking,The Jakarta Post,1.28
 http://old.thejakartapost.com/yesterdaydetail.asp?fileid=20090128.O06

 昭和のはじめ、籾殻を何とか燃料として利用できないものかという農家の要望に応え、石でできた籾殻竈(もみがらかまど)が発明された。盛岡近在の農村では、籾殻1斗(18ℓ)で2升の米が炊けたので驚異的なものとして歓迎されたが、その割には普及しなかった。その後、川口の鋳物産地で作られた鉄製の籾殻竈が売り出され、燃料不足の時代のこと、昭和15年頃にはほとんど全戸に普及した。しかし、昭和40年以後、プロパンガスの登場でついに姿を消してしまったという(藤原善一著 ムラの移り変わり、常民叢書2 日本経済評論社 昭和56年 42-43頁)。

 今この地方では、籾殻のほとんどは収穫後の田んぼで燃やされている。ちょうど時期が重なる八幡平の見事な紅葉もかすんでしまう。政治家や役人や学者は、これを自動車を走らせるための液体燃料(バイオエタノール)に変えることしか考えていない。籾殻竈など、前近代的遺物にすぎない、最先端技術が生み出す籾殻エタノールはモダンでかっこいいと思い込んでいるのだろう。