バイオ燃料で化石エネルギー消費が却って増える コーネル大学の新研究

農業情報研究所

09.1.30

  コーネル大学の研究者が、次世代バイオ燃料の中心をなすだろうと言われるスウィッチグラスを原料とするものも含む主流バイオ燃料のすべてはエネルギー収支がマイナスという研究を発表した。

 生産に投入されるエネルギーに対し、トウモロコシ・エタノールでは46%、スウィッチグラスでは50%、大豆バイオディーゼルでは63%、菜種バイオディーゼルでは58%のエネルギーしか産出できない。最も有望なパームオイル・バイオディーゼルも8%のマイナスという。

 Biofuels Ignite Food Crisis Debate,Science Daily,1.29
 http://www.sciencedaily.com/releases/2009/01/090128074830.htm

 これでは、バイオ燃料が化石燃料の消費を減らすどころか、却って増やしてしまうことになる。米国をはじめとする多くの国のバイオ燃料導入の最大の目的の一つは、石油輸入の削減を通してのエネルギー独立、あるいはエネルギー安全保障の強化だが、逆効果になりかねない。

 なお、どのような計算の結果こうなったかについては、固定的収入源を持たない当研究所には論文のフルテキストを購入する余裕がなく、紹介することができない。研究資金を有する大学や研究機関の研究者が仔細に検討して下さるように お願いしたい。それだけの価値のある論文と思われる。

 追記:09年2月3日

 昨日、大学研究者からこの論文が無料で入手できるとの連絡をいただいた。すべてのバイオ燃料関係者が共有すべきと考え、そのアドレスを紹介しておく。

 http://www.mdpi.org/energies/papers/en1020041.pdf