石油を外国に売り、国内でヤトロファ栽培を強要するミャンマー軍事政権

農業情報研究所(WAPIC)

09.3.14

  軍事政権がバイオディーゼル原料としてのヤトロファの栽培を強制している。しかし、収集、加工、流通のためのインフラが未整備のために、ヤトロファの実は地面に落ち、腐るだけだ。3分の1の子供が栄養不足と推定される(ユニセフ)ミャンマーの農民が、貴重な作物用地に、こんな植物を植えることを強制されている。滅多に報道されることのないミャンマーのこのような実情をタイム誌が伝えている。

 Biofuel Gone Bad: Burma's Atrophying Jatropha,Time,3.13
 http://www.time.com/time/world/article/0,8599,1885050,00.html

 ミャンマーには豊かな石油・天然ガス資源がある。しかし、多くの国民が電気を欠いている。燃料の大部分が、支配者の利益のために外国に輸出され、国内で利用できないからだ。停電ばかりだ。そこで思いついたのが、ヤトロファを原料とするバイオディーゼルを使った電力生産だ。

 軍事政権は、全部で14の州と管区が、それぞれ50万エーカー(20万2000f)の土地をヤトロファ栽培に当てるように命令した。多くの農民はヤトロファの種を買う十分な金を持たないが、拒否すれば監獄行きだ。

 2008年末までに、800万エーカー(324万f)が目指されている。国中に広がるヤトロファ栽培地のあるものは、外国企業が運営する広大なプランテーションだ。その他は家の庭や掘っ立て小屋の間にある。

 しかし、収穫物をエネルギーに変えるインフラ―集荷メカニズム、加工施設、流通システム―が足りない。ヤトロファの実は地面に落ち、腐っている。

 軍部指導者は、一体何を考えているのか。ある者は推測する。”ヤトロファ”というビルマ語は、スーチー(Suu Kyi) をひっくり返したように聞こえる。ヤトロファ( kyet-suu)が彼女の民主化運動を衰えさせると信じている。

 かくて、ヤトロファ植え付けの盛大な儀式がテレビで放映されることになるのだという。