バイオ燃料作物の侵略性は高い 熱帯・亜熱帯の生態系に脅威 ハワイ大学の研究

農業情報研究所(WAPIC)

09.5.7

 ハワイ大学の研究者が、バイオ燃料作物は他の植物以上に熱帯・亜熱帯の生態系を侵略する恐れがあることを明らかにした。

 研究者は、バイオ燃料作物種が侵略的になるかどうかを予想するために植物の生物学的・地理的起源を検定する雑草リスクアセスメント(WRA)を使うことができ、これによって熱帯・亜熱帯諸国の環境的・経済的損害の回避が可能になると言う。研究者は、ハワイで侵略種となり得るバイオ燃料作物・非バイオ燃料植物種を選別するために調整されたWRAを使って、陸生バイオ燃料作物の侵略性を初めて定量した。

 ハワイで提案されている40種のバイオ燃料作物と、ハワイに導入されたランダムに選ばれた40種の他の植物を比べると、前者は後者の2倍から4倍も侵略的になりやすい(自生種化しやすい)という結果が得られた。ヤトロファ、ハリエニシダ、クズなどはハイリスクで、マカダミアやサトウキビに侵略性はない*。この結果は、熱帯・亜熱帯生態系を持つすべての地域でも有効という。

 *論文のTable3を参照。

 研究者は、バイオ燃料作物の大規模栽培は生態系に重大な影響を及ぼすと警告、バイオ燃料作物を大々的に導入しようとするときには、作物の侵略性リスクを決定する手段として今や国際的に受け入れられている研究に使われたWRAにより、予めリスク評価を行うべきだと言う。ハイリスク種は、栽培に当たって許可を必要とする有害雑草に指定することもできる。

 さらに、ハイリスク種を栽培する者には、逃げ出した作物を自身の費用でコントロールすることを義務付けること(汚染者負担原則の採用)も考えるべきだと言う。

 Christopher Evan Buddenhagen et al.,Assessing Biofuel Crop Invasiveness: A Case Study,Plos ONE.
 http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0005261