ザンビア ヤトロファ契約栽培が農村の貧困を助長する恐れ

農業情報研究所(WAPIC)

09.5.7

 市民社会の能力建設を支援するために設立され、当面は貧困・貿易問題に焦点を当てて活動するザンビアのNGO・CDCMT(組織開発コミュニティ管理トラスト)が、ザンビアのヤトロファビジネスを規制する包括的契約栽培農家政策の導入を政府に要求している。ヤトロファ農民が綿花・タバコ農民と同様な搾取に曝されないように、政府は真剣に考えねばならないという。

 ODCMTによると、ザンビアでヤトロファ生産を促進する企業のなかには、契約内容を明確に説明することなく、小規模農民に30年契約を結ぶように誘うものもある。しかし、30年は余りに長く、農民の立場を弱くする。知識をほとんど持たず、作物そのものや市場の動きに関する理解もなくヤトロファ生産に従事する多数の農民がいるのが心配の種だ。

 契約栽培は、生産物の買取価格を低く抑え、搾取的な契約条件に従わせることで小規模農民を安価な労働力として使う一部民間企業の不公正なやり方で、農村家族を一層貧困化させる恐れがある。ヤトロファについては、土壌や環境への影響に関する一層の研究も必要だという。

 Jatropha industry regulation wanted,Times of Zambia,5.5
 http://www.times.co.zm/news/viewnews.cgi?category=12&id=1241502264

 ザンビアのバイオディーゼル産業はヤトロファ栽培の拡大に大きな期待をかけている。ザンビアバイオディーゼル協会会長は、持続可能なバイオ燃料産業の確保に必要な土地はたったの45万fにすぎず(国の耕作可能地は4360万fで、現在耕作されているのは610万fという)、ヤトロファ栽培は現在80万fにもなる森林破壊を減らすのにも役立つと、国の大々的支援を要求している。農村の貧困軽減は頭にないのだろうか。

 Zambia seen as attractive country for biofuels investment – association,Engineering News,3.31
 http://www.engineeringnews.co.za/article/zambia-biofuels-2009-03-31