ガーナ市民団体 バイオ燃料作物生産地規制を要求 ヤトロファが食料安全保障を脅かす

農業情報研究所(WAPIC)

09.5.28

  国の食料安全保障に関心を持つガーナの非営利・非政治的市民社会ネットワーク・フードスパン(FoodSPAN )が27日、生産地域を規制する明確なガイドラインと指令を伴う包括的な国家バイオ燃料政策を制定するように政府に要求した。

 Action Aid Ghanaと共同で行った地域研究によると、ヤトロファ栽培のための多国籍企業による土地取得が、地域住民の生計と食料安全保障に対する重大な脅威となっている。政策の明確な方向付けないために、様々な開発過程と優先事項がぶつかり合い、外国人の経済的支配から来る低開発、貧困、窮乏からの人々の解放が妨げられる。肥沃で生産的な農地との競合に加え、生態系破壊やバイオ燃料のための化学肥料・農薬の大量使用から来る生物多様性の破壊も増していいる。

 ただし、バイオ燃料生産や投資そのものに反対するわけではない。バイオ燃料生産は支持するが、国民の権利、特に食料への権利が踏みにじられないないかぎりにおいてだ。それは雇用機会を増やし、コミュニティの社会的アメニティを提供するが、人々が移住を余儀なくされ、肥沃な土地が破壊されるときには、人々の利益がないがしろにされる。

 「ガーナは食料を自給できていない。なお増加を続ける人口を養うために食料品を輸入しており、土地は限られているが、その土地がバイオ燃料生産に使われている」と言う。

 Ghana government asked to regulate production areas for biofuels,Ghana Business News,5.27
 http://ghanabusinessnews.com/2009/05/27/ghana-government-asked-to-regulate-production-areas-for-biofuels/

 他のアフリカ諸国と同様、バイオ燃料原料生産用地を求めての外国企業のガーナへのラッシュも目に余る。

 イタリアのAgroils はヤトロファを1万f栽培している。イスラエルのGalten はヤトロファ栽培のために10万fを取得、インド企業も5万fを要求している。オランダ企業は10エーカーのパイロットプロジェクトをスタートさせ、中国人もパイロットプロジェクトを実施している。ノルウェーのScanFuel Ltd.はバイオ燃料生産を始動させた。1万fの土地でのヤトロファ栽培を目指している。そのガーナ子会社のScanFuel Ghana Ltd.は40万fを契約、その60%をバイオ燃料生産に利用、30%は食料生産に当てる。残りは生物多様性のための緩衝帯にする。ヤトロファを栽培するおよそ20の企業のうち、唯一つ環境保護庁から環境影響評価の許可を受けたノルウェーのBiofuels Africa Ltd.は、2万3762fを持つ。

 これら企業は、輸出用バイオ燃料の生産のために、合わせて100万fの土地にヤトロファを栽培しているということだ。

 Update: Any lessons for Ghana in India’s jatropha failure?,Ghana Business News,5.23
 http://ghanabusinessnews.com/2009/05/23/update-any-lessons-for-ghana-in-india%e2%80%99s-jatropha-failure/