米国EPA エタノール15%ガソリン許可を示唆 2001年以降モデルの車のみ 誤用に懸念

農業情報研究所(WAPIC)

09.12.2

  米国環境保護庁(EPA)が12月1日、ガソリンへのエタノールブレンド率を現在の10%から15%に引き上げることになりそうだと発表した。

 EPA Notifies Industry Group on Status of Ethanol Waiver Request,EPA,12.1

 エタノール15%ブレンドガソリン(E15)の使用を許すように要請していたバイオ燃料産業団体・Growth Energyに対して同日送った書簡は、すべてのテストが完了したわけではないが、二つのテストの結果は、新しい(2001年以降の)モデルの車ならば、10%を超えてもエンジンが耐えられることを示唆している、現在進行中のエネルギー省のテストの結果を待ち、来年半ばに最終的に決定する、と述べているという。

 しかし、E15が広く出回るようになれば、古い車にこれを給油するような誤用も起き得る。従って、ブレンド率引き上げとなれば必要になるであろう表示要件の策定にも取りかかったという。

 ビルサック農務長官は同日、これはバイオ燃料の将来の存立に向けた強力なシグナルを送る、農家と農村の所得と仕事を増やすことに貢献するバイオ燃料産業に対するオバマ政府の支援を反映すると、EPAの動きを歓迎する声明を出した。

 Statement by Agriculture Secretary Tom Vilsack on Ethanol Waiver Request,USDA,12.1

 しかし、歓迎ばかりではなさそうだ。決定が来年半ばに先送りされたことでシカゴ市場のトウモロコシ相場が幾分下げたことは別としても、ニューヨーク・タイムズ紙が伝える反応は様々だ。

 Growth Energyの元会長は、基本的にはポジティブな回答で、トウモロコシ穂軸、木材チップ、その他の非食料品からエタノールを製造する先進的工場を含むエタノール工場への投資を増やせという信号になるという。

 しかし、自動車メーカーの取引団体は、EPAが一層のデータを待って決定を咲き送りしたことは歓迎しつつも、ガソリンスタンドが新しい車には適しているが、古い車には有害な燃料を販売するという考えに懸念を表明している。自動車製造者連盟のスポークスマンは、モデル年に基づくシステムは消費者の混乱と誤用を生み出す可能性がとてつもなく大きいと言っているそうである。

 誤用はとんでもない危険にも結びつく。アウトドア動力機器協会副会長は、エタノール濃度の高いガソリンは、チェーンソーを使っている人がニュートラルにしているつもりでもチェーンを動かしてしまうクラッチの誤作動を引き起こす恐れがあり、漏出して火災を起こす恐れもあると言う。船舶製造者協会は、沖合いはるかでボートを故障させる恐れがあると言っている。

 E.P.A. Says It Expects to Raise Amount of Ethanol Allowed in Fuel Blends to 15%,The New York Times,12.2
 http://www.nytimes.com/2009/12/02/business/energy-environment/02ethanol.html?ref=business