米国バイオディーゼル産業が虫の息 ディーゼル価格下落、EU市場喪失、減税制度期限切れ・・・

農業情報研究所(WAPIC)

10.1.6

  米国バイオディーゼル産業が虫の息だ。次の表に見られるように、米国のバイオディーゼル生産は1999年以来、着実に増えてきた。しかし、2009年は前年の半分以下になり、2007年をも下回ると推定される。

 米国のバイオディーゼル生産量の推移(単位:100万ガロン、2009年は推定)

1999年 2000年 2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年
0.5 2 5 15 20 25 75 250 450 700 300-350

  Source: National Biodiesel Board
 
Number of gallons of biodiesel produced in the US,OneNewsNow,1.1
  http://www.onenewsnow.com/AP/Search/Business/Default.aspx?id=835482

 景気失速以来、ディーゼル価格は18%も下落、バイオディーゼルの競争力は大きく削がれた。割高なバイオディーゼルに対する需要はすっかり落ち込んだ。さらに、09年3月には、EUが米国産バイオディーゼルに対して補助金相殺関税およびアンチダンピング税を課した。輸出される米国産バイオディーゼルの95%はEUに向かう。最大の輸出市場が失われた。

 その上、大豆油、イエローグリース、動物油脂などからのバイオディーゼルに対するガロンあたり1ドルの減税制度も、12月末には期限切れとなった。他の論争の多い税制立法との道づれで、議会は異論がまったくないこの減税の延長を未だ決定していない。

 昨年12月17日、アイオワ選出グラスリー共和党議員が議会で語ったところによると、景気後退と信用危機のために、バイオディーゼル産業は、既に雇用の半分以上を失った。能力の15%ほどしか稼働していない。彼は、石油ディーゼルに比べて高いバイオディーゼルの生産コストを相殺する減税なしでは、「石油販売業者は高価なバイオディーゼルは買おうとしないだろう、そして需要も消滅するだろう」と言う。

 http://grassley.senate.gov/news/news_conference_calls.cfm?selectedMonth=12&selectedYear=2009

 .S. Senate Inaction Lets Biodiesel Tax Credits Lapse,soya.tech,1.4
 http://www.soyatech.com/news_story.php?id=16758