ブラジル ガソリンへのエタノール混合比率切り下げか サトウキビ産地の大雨でエタノール生産が減少

 農業情報研究所(WAPIC)

10.1.8

追記:10.1.12

   エタノール大国のブラジルがガソリン対する義務的なエタノールブレンド量を減らすことになりそうだ。現在は25%のブレンドが義務づけられているが、この比率を1月11日から切り下げる。世界最大のサトウキビ生産地である中南部の異常な多雨で先月に終わる収穫が妨げられ、収量が減った。そのために、ガソリンに混ぜるエタノールの生産も落ち込み、ブレンド率を変えねばならないという。

 Brazil May Cut Ethanol Mixed Into Gasoline Next Week (Update1),Bloomberg,1.7
 http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=20601207&sid=aw3wQXeazR90

 世界一のサトウキビエタノール生産国でも利用できるエタノールの量は天候次第というのでは、他の国々での燃料エタノールの安定確保は難しい。ガソリンスタンドに行ったら今はありませんでは、消費者もエタノール混合ガソリンは安心して使えない。バイオ燃料を自動車燃料として大々的(商業的)に使うためには、ブラジルのように、ほとんどすべての車を、ブレンド比が自由に変えられるフレックス車に変える必要がある。そのための費用は莫大だ。

  追記:1月12日

 ロイターによると、エネルギー省が週初めの11日、バイオ燃料の供給の減少のために、義務的ブレンド率を25%から20%に引き下げたと発表した。これは2月1日から90日間実施される。

 昨年6月以来雨が多すぎ、サトウキビのサッカロース(蔗糖)濃度が落ち、かつ生産者が畑で働ける時間が減ったために、サトウキビを原料とする燃料エタノールの2009/10年の生産が予想を下回った。工場は今年収穫される約5000万トンのサトウキビを集めることができなかった。その上、粗糖先物相場がこの30年で最高のレベルに跳ね上がったから、工場はエタノールをよりも砂糖の生産を優先した。

 エタノール生産が前年を下回るのは2000/01年以来初めてで、砂糖きび生産者協会(Unica)は2008/09年の251億リットルから234億リットルに減ると予想している。今年は燃料用需要が 史上最高となったことも在庫の急減につながった。

 ただし、生産者やアナリストは、ブレンド率引き下げは供給の観点からは正当化されるものではない、選挙の年だから、エタノール価格を抑え込むことで票を集めようとする試みだと言っているそうである。

 Brazil cuts ethanol blend in gasoline to 20 pct,Reuters,1.11
 http://www.reuters.com/article/idUSTRE60A4RI20100111