カナダ政府 バイオ燃料生産の環境影響研究へ 米国・ブラジルの経験は大気・水・人間の健康への悪影響を示唆

農業情報研究所(WAPIC)

10.1.12

 ロイターによると、カナダ政府が1月6日、エタノールおよびバイオディーゼルの製造の環境影響の研究を命じた。環境省からの政府ドキュメントは、「米国とブラジルの経験は、いまや、既存のバイオ燃料生産施設が広範な新たな大気・水関係の問題や人間の健康をめぐる最近の懸念を生みだしていることを示唆する」と述べている。研究は、政府科学者がバイオ燃料製造の環境影響を理解するのを助けるという。

 カナダは、温室効果ガス排出を減らす方法として、バイオ燃料産業に大量の投資をしてきた。バイオ燃料工場への補助金は、この9年全体で15億カナダドル(14.5億米ドル、1,336億円)にのぼる。2010年9月には、ガソリンへの5%のエタノール混合を義務付ける規則も発効する。研究がこうした政策の変更に結びつくのかどうかは分からない。Canadian Pressは6日、「この研究の委嘱は、これら施設に悪影響があると前提したものでもなければ、再生可能燃料に対するカナダ政府のコミットメントを変更するものでもない」という環境省報道官の談話を伝えた。

 環境省は、米国とEUが伝統的農地にバイオ燃料作物を栽培していることで批判を浴びていることに鑑み、汚染サイトや道路沿いの緩衝帯などの”限界地”の利用の環境影響の研究も命じたという。

 Canada to study biofuel's environmental impact,Reuters,1.7
 http://www.reuters.com/article/idUSTRE6065BU20100108