インフルエンザ・ウィルスは予想以上に急速に変異ー新研究

農業情報研究所(WAPIC)

05.7.27

  米国保健研究所の研究チームがインフルエンザ・ウィルスが想像されていた以上に急速に新たな抵抗性を持つ株を作り出すことを明らかにした(David J. Lipman, Jeffery K. Taubenberger et al.,Whole-Genome Analysis of Human Influenza A Virus Reveals Multiple Persistent Lineages and Reassortment among Recent H3N2 Viruses,PLoS Biology,September 2005,Vol. 3, No. 9;http://biology.plosjournals.org/perlserv/?request=get-document&doi=10.1371/journal.pbio.0030300 )。

 インフルエンザ・ウィルスの遺伝子交換はシーズンごとに徐々に進むというのが従来の見方であるが、この研究チームは、インフルエンザAが一度にいくつかの遺伝子を交換、ウィルスに突然の大きな変異を引き起こすことを発見したという。株は各シーズンで大きく変異、治療を難しくする恐れがある。

 研究チームは、1999年から2004年の間にニューヨークで流行したインフルエンザAの株を調査した。分析した156の株で広範な変異を発見したという。一部の株は、短期間に少なくとも4つの遺伝子を交換していた。

 これが鳥インフルエンザ・ウィルスにも当てはまるとは言えないかもしれない。しかし、その可能性が否定できないとすれば、その人間の間での蔓延が怖れられている現在、一層の厳戒と用心深い対策が要求されることになろう。