べトナム・パスツール研究所 鳥インフルエンザH5N1ウィルスの危険な変異を発見

農業情報研究所(WAPIC)

05.11.12

 中国・Xinhua.netの報道によると、ベトナム・ホーチミン市のパスツール研究所が、同国の鳥インフルエンザ・ウィルス株・H5N1が一層危険な方向に変異していることを発見した。2005年早期のベトナムのH5N1ウィルスの表面抗原・HAとNAの遺伝子分節とその他の遺伝子分節に一定の変化が見られた。これは、2003年12月から2005年3月までに感染した鶏と人からの24のサンプルの研究から得られた結果で、ウィルスが哺乳動物の細胞で効率的に増殖し、攻撃能力を強めたことを示唆するという。

 Bird flu virus in Vietnam mutates: report,xinhua.net,11.12
 http://news.xinhuanet.com/english/2005-11/12/content_3770103.htm

 それと並び、研究は、ホーチミン市南部の研究されたウィルスのすべてが抗ウィルス薬・アマンタジンとリマンタジンに抵抗性を有し、従ってH5N1のタミフルへの抵抗性をサーベイランスする必要があると述べ、人々がH5N1の人から人への伝達に直面する可能性があると警告している。

 研究所は24のサンプルの遺伝子を完全にか、部分的に解読した。人間からの5つのサンプルと家禽からの16のサンプルは完全に解読された。しかし、研究所は、どのような種類の変異が人から人への伝達を可能にするのか、どのような条件が変異を導くのかについては解明できなかったという。

 ベトナムの主導的疫学者・Hoang Thuy Long氏は、Xinhuaに対して最近、「人のインフルエンザを引き起こすためには、鳥インフルエンザ・ウィルスが人間の細胞に侵入できるように一定の条件で変異せねばならない」、H5N1が一定の条件下で鶏から人に移る、あるいは哺乳動物を通して人間に移るという二つの仮説が考えられると語っている。

  彼は、人の細胞への侵入に成功するためには、H5N1が変異せねばならない一方、犠牲者の免疫システムに欠陥がなければならない、「さもなければ、家禽のウィルスは豚、バッファロー、牛、犬、猫などの哺乳動物の鳥インフルエンザ・ウィルスと結合して、新たな株を形成せねばならない」と確認したという。

 [これは農業情報研究所の見解をいささかも含むものではない。報道をそのまま紹介したものである]