タイ専門家 H5N1鳥インフルエンザは以前よりも簡単に人間に移ることができると警告

農業情報研究所(WAPIC)

05.11.14

 タイの保健専門家が12日、最新の鳥インフルエンザ患者・バンコクの18ヵ月の小児の調査はH5N1鳥インフルエンザ・ウィルスが以前よりも簡単に人間に飛び移ることができることを示唆するとして、国民に高度の警戒を要請した。これまで、人々は感染した鳥との直接の接触でこのウイルスに感染したとされてきたが、この少年は、家で鶏を飼っているものの、それに接触した記録はない。公衆衛生省疫学局局長のKumnuan Ungchusak博士は、恐らく鶏の糞に偶然に接触することで感染したものだろう、これは、人々が鳥インフルエンザに汚染された環境に住むならば感染する可能性があることを意味し、特に抗体が弱い高齢者や子供の最善の防衛策は頻繁に手を洗い、家禽との緊密な接触を避けることだと言う。

 Flu can jump to humans 'more easily',Bangkok Post,11.13
 http://www.bangkokpost.com/131105_News/13Nov2005_news02.php

 この子供の家を訪ねたYukol Limlamthong畜産開発局長は、家禽の死をめぐる家畜・保健当局者の教えを人々が無視していることが鳥インフルエンザ勃発のコントロールの主要な障害と語った。彼によると、少年の家では先月来3羽の雄鶏が死んだが、その所有者は少年にインフルエンザの症状が出るまで当局に知らせなかった。そのために、この地域は勃発区域と宣言されることなく、住民は自身を護ることに注意を向けなかったという。

 鶏の所有者は、死んだ鶏の数は少なく、また鶏が非常に高齢であったために自然死したものと考え、当局に接触しなかった主張している。少年のおばは、雄鶏が鳥インフルエンザで死んだとは考えず、死体を素手で投げ捨てたという。

 Yukol氏は、今のような勃発シーズンには、鶏所有者は1羽の鳥が死んだだけでもできるだけ早く当局に報告せねばならないと言い、また全国の放し飼い飼育者は、外部の環境からの鳥インフルエンザへの暴露を防ぐために、鶏を閉鎖された区域に閉じ込める必要があると強調する。

 少年が入院した病院によると、彼の感染した肺は早期の発見と治療のために回復しつつある。少年は先月末に高熱を発し、11月6日に入院した。医療科学局試験所の検査でH5N1ウィルスに感染したことが確認された。

 彼は、昨年1月に初めてH5N1ウィルスが発見されて以来、タイで21人目の鳥インフルエンザ患者となる。21人のうち、13人が死亡している。先月は4人の患者が発見され、1人が死亡した。

 おばは、「この場所で昨年まで鳥インフルエンザはなかったから、病気についての知識はない。だから、これが家族に起きるとは考えなかった」と言う。65歳の少年の祖母も肺の感染で入院したが症状は軽く、最初の検査の結果は不確定、一層の検査が必要という。