米国研究者 鳥インフルエンザ遺伝子を持つ新たな豚インフルエンザを確認

農業情報研究所(WAPIC)

07.12.20

 米国農務省農業研究局(ARS)の研究者が、1957年のインフルエンザ・パンデミックの間に人間に感染したH2インフルエンザウィルスに属する新たなH2N3豚インフルエンザ株を発見した。これは鳥インフルエンザと豚インフルエンザの遺伝子で構成される。

 豚が鳥・豚・人間が運ぶインフルエンザウィルスの“mixing vessel” (混合容器)となる可能性は以前から指摘されてきたことだが、研究者は、この発見はそのさらなる証拠を提供するもので、いつの日か豚と人の健康を脅かすことになるかもしれないH2型インフルエンザウィルスやその他インフルエンザ株に関する豚や養豚従事者のモニタリング継続の必要性を支持すると言う。12月19日付のARSニュースが伝えた。

 New Swine Flu Has Avian Flu Genes,07.12.19
 http://www.ars.usda.gov/is/pr/2007/071219.htm 

 研究チームは、2006年に別々の生産施設で二つの豚集団に感染した未知の病原体を研究した。二つの集団は、共に渡り水鳥が頻繁に訪れる池から引いた水を使っていた。分子研究で、未知の病原体がマガモに発見されるH2N3株に非常によく似たH2N3インフルエンザであることが示された。しかし、哺乳類で見られたのはこれが初めてだという。 

 新たに分離された豚のH2N3では、鳥のH2とN3の遺伝子の断片が、普通の豚インフルエンザウィルスの遺伝子の断片と混じった。実験室の試験で、このH2N3株がマウスとフェレット(イタチの一種)に感染することができることも確認されたということだ。