チリ 七面鳥が新型A/H1N1インフルエンザに感染 ウィルスに重大な変異の兆候はなし

農業情報研究所(WAPIC)

09.8.22

  チリが金曜日(21日)、豚インフルエンザが七面鳥に移ったと発表した。人間と豚と鳥の遺伝子が入り混じったこのウィルスは、今までのところ通常の季節性インフルエンザ以上の致死性を持たないと分かっているが、ウィルス専門家は、これが再び鳥インフルエンザと結合すれば、一層危険で・移りやすいウィルス株が出現する可能性があると恐れている。恐れられている鳥への感染が現実に起きたことになる。

 ローマの国連専門家や米国疾病予防管理センターは状況を監視しているが、感染した七面鳥の症状は軽く、心配は和らいでいる。専門家は、チリの七面鳥の肉は食べても安全で、今までのところ、重大な変異の兆候は見られないと言っている。農場のオーナーによると、このインフルエンザで死んだ鳥は一羽もいない。

 Chile confirms swine flu in turkeys,AP,8.21
 http://hosted.ap.org/dynamic/stories/L/LT_SWINE_FLU_TURKEYS?SITE=KVUE&SECTION=HOME&TEMPLATE=DEFAULT

 感染は、今月、農場主が産卵数の減少を農業省に報告したことをきっかけに発見された。遺伝子検査の結果、A/H1N12009との一致が確認された。FAOのフアン・ルブロス感染症主任も、パンデミック株との一致を確認するためのさらなる遺伝子配列解析を進めるが、これは非常に軽い病気と理解していると言う。彼によると、七面鳥の殺処分などの厳しい措置を勧告する必要はなく、7日から10日ほどで回復、健康であれば食料として供給することもできるという。

 米国の保健当局者は、豚インフルエンザが鳥インフルエンザやその他のインフルエンザと混じって変異する可能性を依然として恐れているが、今までのところ、いかなる危険な変異の報告も受け取っておらず、ウィルスが七面鳥に移ることができるという事実は少しも驚くに当たらない、チリの報告は大した心配を掻き立てるものではないと言っているそうである。

 米国農務省は、長年の鳥インフルエンザ・サーベイランスで、米国の家禽にH1N1ウィルスが発見された例はないと言っている。農務省は最近、アヒル、鶏、七面鳥、ウズラに感染させる実験を行ったが、病気の症候はまったく出なかった。

 なお、チリでは、少なくとも1万2000人がこの新型インフルエンザに感染、この病気で128人が死亡している。アメリカ大陸全体では、8月14日現在、35ヵ国から10万5882人の感染が報告され、うち22ヵ国で1579人が亡くなっているという。