農業情報研究所環境感染症ニュース:2011年8月30日

H5N1鳥インフルエンザ、新たな拡大局面に 中国・ベトナムの変異株が特段の脅威 FAOが警告

  国連食糧農業機関(FAO)がH5N1鳥インフルエンザが再現する恐れがある、H5N1ウィルスの変異株がアジアやその他の地域に広がっていると警告した。

 2003年に初めて現れたこのウィルスは565人に感染、331人を殺した。最近の感染死は今月はじめにカンボジアで起きた。カンボジアでは今年8人が感染、すべてが死亡している。

 このウィルスは2003年以来4億の家禽を殺し、経済的大損害をもたらしたのち、2006年には63の感染国の大部分から消えた。家禽と野鳥における勃発はピークの年4000件から2008年には302件にまで減った。しかし、なお6ヵ国では蔓延が見られる。最近は勃発の増加傾向も見られ、2010−11年には800件ほどが記録されている。FAOは、2008年は家禽と野鳥におけるH5N12ウィルスの新たな地理的拡散の始まりを画する年でもあると言う。

 過去24ヵ月の間に、数年間ウィルス・フリーだった国々で、家禽と野鳥にこのウィルスが見られるようになった。野鳥がウィルスを運んでいるのかもしれないが、家禽生産と販売における人々の行動が拡散させているという。

 最近感染地域が見つかったのはイスラエル、パレスチナ、ブルガリア、ルーマニア、ネパール、モンゴルだ。特に心配されるのは、既存のワクチンが効かないように見える変異株が中国とベトナムに現れたことだという。

 最大の脅威に直面しているのは、ウィルスがなお定着したままのバングラデシュ、中国、エジプト、インドネシア、ベトナムだが、ベトナムでの広がりはカンボジア、タイ、マレーシア、朝鮮半島、日本への直接の脅威にもなるという。FAO獣医主任は、「備えとサーベイランスが不可欠・・・油断大敵」と言う。

 Bird Flu rears its head again,FAO,8.29