農業情報研究所環境感染症ニュース:2014年3月29日

豚流行性下痢が大流行 食卓を脅かすのは消費税増税だけではない

 豚流行性下痢(PED)が大流行の兆しを見せている。農水省によれば、325日現在、沖縄から青森にいたる13県で206件の発生が確認され、発生頭数が179720頭、死亡頭数が38307頭になったという。

 豚流行性下痢についてhttp://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/ped/ped.html

 この病気は人間に感染することはないというが、いまやほとんどすべてを工業的大規模養豚に依存する豚肉供給、大流行となれば激減は避けられず、食肉価格の高騰が食卓を直撃することになりかねない。さりとて、輸入拡大で急場を乗り切るというわけにもいかない。

 このウィルスは世界最大の豚肉輸出国、アメリカでもすでに大流行、少なくとも25州で5000件以上の発生が確認されている。おかげで、今年豚肉加工に利用できる豚の頭数はこの30年で最低のレベルに落ち込むと予想されている。シカゴ豚先物相場は今年に入って52%も上昇、1999年以来15年ぶりの高騰となっている。ベーコン等豚肉製品の小売り価格も軒並み上昇している。

 Hogs Head for Biggest Rally in 15 Years on Deadly Virus,Bloomberg,14.3.29

 狂牛病の脅威は一先ず去ったかに見えるが、これは鳥インフルエンザともに、工業的畜産に依存する食肉大量消費社会の食の基盤のもろさを象徴する事例となるだろう。日本人の食卓を脅かすのは消費税増税だけではない。10年に2%ずつ穀物供給を減らすと言われる地球温暖化の脅威もある。

 Global warming will cut crop harvests by 2% each decade, researchers say,The Guardian,14.3.19

  1970年代中国で初めて確認された豚流行性下痢を東アジア、東南アジアから北米にまで広げたグローバリゼーションも、家畜伝染病の世界的蔓延を招く要因として重大な脅威をなす。