農業情報研究所環境感染症ニュース:2014年6月12日

冷凍イカから抗生物質耐性菌 院内のみならず市販食品からも耐性菌感染の恐れ

 米国疾病管理予防センター(CDC)の611日のリポートによると、カナダ・サスカチュワン大学の研究者が生のイカから抗生物質耐性バクテリアを発見した。

 このカルバペネム系抗生物質耐性バクテリアは、サスカチュワンのチャイニーズ・ストアで購入した冷凍イカから発見された。このイカは韓国から輸入されたものらしいが、バクテリア汚染が食品加工・処理中に起きたのか、自然環境で起きたのかは分からない。カルバペネム系抗生物質耐性バクテリアは今迄も環境中や食品として利用される動物に見つかっている。しかし、米国、カナダでは食品そのものに発見されたことはないという。

 この研究を行ったサスカチュワン大学のジョセフ・ラビン家畜微生物学准教授によると、このバクテリアはPseudomonas fluorescens=蛍光菌で、健康な人に病気を引き起こすことは多分ないが、化学療法や病気で免疫システムが傷ついている人にとっては、抗生物質がまったく効かない大腸菌と同じような危険なバクテリアになる恐れがある。適切な温度で調理することでバクテリアを殺すことはできるとしても、調理器具や手を通しての交叉汚染の可能性は残る。

 この発見により、カルバペネム系抗生物質耐性バクテリア感染リスクに曝される人のリストを、病院など感染(院内感染)の可能性がある場所に行ったことのある人等特定グループの人から一般公衆に広げねばならないことになる。こういう微生物の追跡と監視も緊急に拡充せねばならないという。

  しかし、どこででも、一般に売られている食品から移るのでは、感染予防はほとんど不可能に見える。免疫の弱い人は、できるだけ生ものは避けよということか(農業情報研究所)。

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 Bacteria found in squid raises concern about spread of antibiotic resistance, study finds.The Washington Post,14.6.11