農業情報研究所


世界に残存する手つかずの森林、40%が10−20年で消滅の予測ー世界資源研究所

農業情報研究所(WAPIC)

02.4.5

 4月3日に発表された世界資源研究所(WRI)の一連のレポートによると、世界に残存する手つかずの森林は持続不能な開発の結果として急速に衰退しており、以前に予測されたよりもずっと早く消滅する可能性がある。

 これらのレポートは、チリ、ベネズエラ、インドネシア、ロシア、中央アフリカ、北アメリカの世界の森林の半分近くをカバーする森林マップに基づいている。同日発表されたニュース・リリースは、これらのレポートが指し示すところを次のように要約している(WRI News release:Reports conclude much of world’s remaining intact forests at risk,02.4.3)。

 今回初めて作成されたロシアの森林地図でも、人間の侵略から守られていると長い間考えられてきたタイガも伐採と退化した森林で分断された原生地の断片となっていることが示された。

 多くの国でこれらの森林を保護するための法律が制定されたが、多くの場所でこれが執行されていない。例えば、インドネシアでは、その木材生産の70%は不法な伐採によっている。世界第二の広大な熱帯雨林をもつ中央アフリカでは、その半分に伐採の許可が出されている。これらの森林を管理するための基本計画すらない。

 政府の政策はしばしば短期的利益を優遇している。例えば、チリでは、政府の政策は外来樹種の植栽に道を開くために、数千年来の原生林を取り除くことを奨励している。その結果、前史時代のaraucariaに森林や世界で二番目に古い樹木であるalerceが危機に瀕している。ベネズエラでは、伐採と鉱業が地球上の最も原始的な森林の一つを脅かしている。

 4年前にDirk Byyant等が行なった世界の手つかずの森林の最初の評価では、世界の歴史的森林の中で手つかずで残っているのは5分の1にすぎないとされたが、現在の速さで破壊は進めば、その40%が10年から20年の間に消滅する。

 Dirk Byyantによれば、「我々は原生林が主として木材その他の資源のために商業的に管理される地域に取り囲まれた公園や保護区の孤島に閉じ込められる世界に急速に向かっている。地球の森林の健康はこれらの残った地域をどう管理し、保護するかにかかっている」。

 HOME 環境