英国広告規制機関 マレーシアのパームオイル広告停止を命令 環境に優しいと誤解させる

農業情報研究所(WAPIC)

08.1.12

 英国広告基準機関(ASA) が1月9日、BBCに対し、マレーシアのパームオイル生産は環境に優しいというマレーシア・パームオイル・カウンシル(MPOC)の二つの広告を流すのをやめるように命じた。バイオ燃料としてのパームオイル利用のネットの影響はまだ分かっておらず、MPOCのコマーシャルは見る人にパームオイル・プランテーションが天然雨林と同様に環境に優しいと思わせる恐れがあるという環境団体の訴えを受け入れたものだ。ASAは、「マレーシアのパームオイル・プランテーションからの環境への純便益があるというコンセンサスはないから、広告は誤解を招いていると結論した」と言う。

 UK Authority Pulls Ads About Malaysian Palm Oil After Environmentalists Complain,soyatech.com,1.10
 http://www.soyatech.com/news_story.php?id=6356

 'Sustainable palm oil' advert false, says watchdog,FoE Europe,1.9
  http://www.foeeurope.org/press/2008/Jan09_Sustainable_palm_oil_false.htm

 二つの広告はBBC Worldで7月に放映された。一つはパームオイル・プランテーションを映し、「その樹は生気を与え(?give life)、我が地球の呼吸を助け、数百の植物・動物種に棲み家を与える」という音声を流した。それは、マレーシアのパームオイルは、「1917年以来、持続可能な方法で生産されている」とも言っている。もう一つは、「その樹は生気を与え(?give life)、我が地球の呼吸を助ける。その実は、我々の体のためにビタミンを、我々の日々の生活のためににエネルギーを提供する」という音声を流した。

 マレーシア側は、1990年以来、雨林を犠牲にしてパームオイル・プランテーションが作られたことはなく、ゴム、ココア、ココナッツのプランテーションから転換されたと主張した。しかし、訴えた団体の一つである”地球の友”(FoE)は、1995年から2000年の間に、巨大な面積の森林がパームオイル・プランテーション開発のために刈り払われ、オランウータンやテングザルのような絶滅危惧種を脅かしていると反駁した。

 FoEによると、2020年までに輸送用燃料の10%をバイオ燃料に置き換えることを決めたEUなどからのパームオイルへの国際的需要の増加を見込み、インドネシアとマレーシアはパームオイル・プランテーションを1800-2000万fに倍増させる計画を持つ。FoEは昨年7月、パームオイル・プランテーションの重大な社会・環境影響を明らかする研究*を発表している。

 *http://www.foeeurope.org/press/2007/July3_PDC_Wilmar_PalmOil.htm

 しかし、インドネシアでも、パームオイル・プランテーションは天然熱帯雨林よりも、むしろ環境に優しいという(地方)林業当局の宣伝パンフレットが出回っているという (下は焼き払われるWilmar社の地所ー上記FoE報告より)。