燃料・食料需要の増大と地域・先住民の権利軽視が森林を飲み尽くす―RRI

農業情報研究所(WAPIC)

08.7.16

 森林の統治と保全にかかわる世界主要団体の国際連合体である”権利と資源イニシアティブ”(RRI)が14日、気候変動と貧困問題への取り組みが森林に依存する10億を超える貧民の権利・地位の向上に失敗すれば、燃料・食料・木材繊維に対する需要増大が世界の森林を破壊するだろうとする二つの研究を発表した。

 http://www.rightsandresources.org/pages.php?id=185

 ”樹木を通して人々を見る”と題する第一の研究によると、世界は2030年までに、食料とバイオエネルギーと木材製品を生産するための土地を最低でも5億1500万f増やす必要がある。この量は利用可能と見られる土地面積の倍にも相当する。

 ”所有権からの排除?”と題する第二の研究によれば、途上国政府は依然として森林の大部分に対する権利を主張しており、地域社会や先住民の土地への権利の承認に向けた動きは遅々としている。そのために、世界の最も貧しい人々が、彼らの唯一の財産である広大な森林の利用をめぐる暴力による争いをやめられなくなっている。他方では森林の工業的農園(プランテーション)への政府配分は急増しており (下表参照)、食料と燃料の需要の増大がアマゾンや東南アジアの広大な森林を急速に食い尽くしている。 

世界主要森林国における森林管理・所有・利用の主体別比率(%)

  政府管理 地域・先住民専用 地域・先住民所有 個人・会社所有
2002年 80.3 1.5 7.7 10.5
2008年 74.3 2.3 9.1 14.2

  RRIのコーディネーターで第一報告の共同著者の一人でもあるアンディ・ホワイト氏は、「地球の土地の最後の大規模略奪が起きようとしている」、「対抗手段が取られなければ、伝統的森林所有者、そして森林そのものが大きな敗者となる。それは一層の森林破壊、一層の紛争、一層の炭素排出、一層の気候変動、すべての者の繁栄の後退を意味する」と言う。


 石油と食料の価格高騰で世界中がバイオ燃料と食料の増産に走り出した。まさに、食料とエネルギーに飢えた人類が地球を食い尽くす。消費を減らし・分配を公平にする以外に人類をす救う手はないことに、ブラウン先生さえ気づかない(というより、そんなことは不可能と諦めているのかもしれない)。