ユニリーバ 森林・泥炭地破壊でインドネシア最大のパームオイル企業からの原料調達を停止

農業情報研究所(WAPIC)

09.12.15

  石鹸・化粧品等のパーソナルケア用品、ホームケア用品(洗剤など)、食品など消費財の世界最大級のメーカーであるユニリーバが12月12日、シナールマスグループに属するインドネシア最大のパームオイル企業・PT SMART社からのパームオイル調達を停止すると発表した。グリーンピースが、熱帯雨林破壊など、同社の重大な環境破壊的行動を明らかにしたためという。

 Announcement:Unilever takes stance against deforestation11/12/2009
  http://www.unilever.com/mediacentre/pressreleases/2009/Unilevertakesstanceagainstdeforestation.aspx

 ユニリバーは、石鹸・シャンプー(ダブ=Dove・・・)、アイスクリーム(ベン&ジェリー・・・)、マーガリン(ストーク・・・)などの製造のために大量(年100万トン、世界生産量の3−4% に相当するとされる)のパームオイルを使う。このようなパームオイル大量消費者として、”持続可能なパームオイルに関するラウンドテーブル”(RSPO)の有力メンバーの一つもなす。

 その発表によると、できるかぎり高度な持続可能基準を満たすように、過去18ヵ月、供給企業の活動の適格性を審査してきた。2009年はじめには、主要供給企業の独立監査を行った。これによって、いくつかの懸念される分野が見つかった。これらには個別の対応をしてきた。

 しかし、グリーンピースが先週発表したリポート*で新たな証拠が明るみに出た。調達主任は、「グリーンピースの主張は看過できない性質のものだ。ユニリーバは持続可能な調達を約束している。従って、我々には将来のパームオイル購入を停止する以外の選択肢はないと、PT SMARTに通告した」と言う。

 *http://www.greenpeace.org/raw/content/seasia/en/press/reports/illegal-forest-clearance-and-r.pdf(09.12.10)
  関連:Unilever ends contracts with Sinar Mas over illegalities. Greenpeace calls on Forestry Minister to take decisive action,09.12.12
  http://www.greenpeace.org/seasia/id/en/news/unilever-ends-contracts

 この停止は、同社が、同社所有のプランテーション(全体で13万ヘクタールに及ぶ)のどれ一つ、高度の保全価値を持つ森林を破壊したり、泥炭地に拡大していないこことを証明できるまで続けるという。

 ユニリーバが環境を理由に一供給企業からの調達を全面停止したのはこれが初めて、その波紋は大きい。マレーシアの輸出パームオイル企業にも、RSPOルールの遵守を促すことになろうと言われる。

 AmResearch: Planters may step up RSPO compliance,Business Times,12.15
 http://www.btimes.com.my/Current_News/BTIMES/articles/UNISIN/Article/index_html

 シナールマスグループは、そのパームオイル事業を検分するにようにユニリーバを招いたということだ。

 Sinar Mas invites Unilever to inspect its oil palm operations,Business Times,12.15
 http://www.btimes.com.my/Current_News/BTIMES/articles/sinmas/Article/