インドネシア 森林内での鉱業、インフラ開発を促進 保護林内での鉱業活動も許す

農業情報研究所(WAPIC)

10.3.2

 インドネシアのユドヨノ大統領が保護林内で鉱業、発電、輸送などの事業活動を行うことを許す政令に調印した。

 大統領は、資源に恵まれた発展途上国における鉱業から有料道路にいたるプロジェクトを遅滞させる煩瑣なお役所的手続や規則の重複を減らすと誓った。東南アジア最大の経済国の経済成長を促し、雇用を創出するためには、鉱物資源の採掘を増やし、インフラ開発を加速すること が枢要と考えられるからだ。

 インドネシアは、一部は不安定な規則とお役所的手続のために、鉱業や新たな石油・ガス田の開発のための新規投資を引きつけるのに苦闘してきた。これを改めるのが政令の狙いということのようだ。 森林内に、新たな鉱山が続々開発されることになるのだろう。

 ただし、ロイターが入手し、2月1日に発効したこの政令は、インドネシアがすでに世界最速の森林破壊国の一つとなっていることからすると、環境保護グループを怒らせることになろうという。

 政令は、

 ・発電所、再生可能エネルギー、有料道路、鉄道などの重要開発プロジェクトを例にあげ、「森林地域の利用は避けることのできない戦略的目的のためになすことができる」、

 ・露天掘及び地下鉱業活動は生産林―樹木が伐採されたあと無視されるか放棄された森林地域で行うことができる、

 ・保護林内では、鉱業活動は地下採掘を通して行うことができる、

 などと定める。そして、鉱業活動の対象は石油・ガス、鉱物、石炭、地熱を含むと定義されているそうである。 

 Indonesia allows mining, other projects in forests,Reuters,3.1
 http://www.reuters.com/article/idUSTRE6202DW20100301

 別の報道によると、インドネシア地球の友は2008年のデータに基づき、東カリマンタンで60の鉱業企業が森林地域内での操業許可を得ており、一部は保全地域に入り込んでさえいることを明らかにした。石炭会社は採掘者に採掘跡を森林に戻させることも怠っている。

 Forest Licenses Breach Kalimantan Conservation Zones,Tenpo Interactive,3.1
 http://www.tempointeractive.com/hg/nasional/2010/03/01/brk,20100301-229116,uk.html

 下の写真は、操業区域拡大のために新たな環境影響評価を提出したとされる西スンバワの金・銅山を空から移したしたもの。上記ロイターの記事によれば、インドネシアは2004年、13の企業が森林地域内での露天掘を禁止した1999年の法律制定後も操業を続けることを許したという。かつての足尾銅山のような恐ろしい姿がいたるところに見られるようになるのだろうか。