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 「地方創生回廊」は「地方葬送回廊」 リニア中央新幹線に踏み潰される大鹿村16.10.15);三六災害

 農業情報研究所:最終更新:17年3月24日

リニア投資1590億円 JR東海 前年度比4割増 信濃毎日新聞 17.3.24

 JR東海は23日、2017年度の設備投資計画を発表した。リニア中央新幹線では、東京・品川―名古屋間に16年度比約4割増の1590億円を計上、用地買収や建設工事を本格的に進める。柘植康英(つげこうえい)社長は都内で記者会見し「南アルプストンネル、品川駅、名古屋駅といった難工事を本格化させ、軌道に乗せていく」と説明した。
 リニア関連投資の増額に伴い、17年度の設備投資総額は4570億円(連結ベース)となり、16年度を340億円上回って過去最大となる見込み。柘植社長は「今後も健全経営を堅持しながら、工事の安全、環境の保全、さらには地域との連携を十分に重視して、計画を着実に進めていきたい」とした。
 これとは別に、山梨リニア実験線で続けている超電導リニア技術の開発関連は、16年度より7割ほど増やして50億円とした。
 南アルプストンネル長野工区の掘削が遅れていることについて、柘植社長は「早く工事にかかりたいと考えているが、保安林の指定解除がまだ終わっていない。(林野庁に)適切に解除していただいてから工事に着手したい」と説明。「(作業は)若干遅れているが、(2027年開業を予定する)全体の工程に影響を及ぼすことはないと考えている」とした。

JR報告書に6項目の疑問 日本科学者会議県支部が意見書(リニア中央新幹線建設工事) 信濃毎日新聞 17.3.16

 JR東海のリニア中央新幹線建設工事に絡み、日本科学者会議長野県支部(代表・野口俊邦信州大名誉教授)は、下伊那郡豊丘村本山の残土処分計画地に関する意見書を県環境政策課に提出した。残土埋め立て工事が及ぼす周辺環境への影響について、同社が2月に公表した調査報告書に対し、土地の安定性や水環境など6項目にわたって疑問を投げ掛けている。
 計画地は山あいの沢筋で、約130万立方メートルの残土を搬入する予定。
 意見書は14日付で提出。報告書が計算結果に基づき「土地の安定性は確保できる」としている点について、計算上で準拠している指針が山間地の谷間を膨大な土砂で埋める状況を想定しておらず不適当―と主張。埋め立て後に地下水位などを監視できる設備、態勢を整え、維持管理する責任の所在を明らかにしておくべきだ、とも訴えている。
 報告書の水環境に関する記載に対しては、河川への土砂流出による水の濁りの影響が工事中のみの検討に限られ、工事後について十分に検討されていないなどとし、「著しく不適当」と批判している。
 県は15日まで、JRの報告書に対し一般から意見を募っていた。県環境影響評価技術委員会での議論も踏まえ、県は「助言」として早ければ月内にも同社に提出する

大鹿村議会、住民説明など不採択 リニア工事による保安林指定解除(長野) 中日新聞 17.3.11

 リニア中央新幹線の本線トンネル掘削に伴い、大鹿村の保安林の指定解除が予定されていることをめぐり、村議会の産業建設常任委員会は十日、解除前に住民説明会などを求めた村民の陳情を不採択にした。十七日の本会議で正式に判断する。

 村民は、リニア工事に反対する「大鹿リニアを止める実行委員会」の宗像充代表。解除の告示前に住民への説明や同意の手続きがなかったことを批判し、住民説明会に加え、解除予定地に関する情報を全て開示することなどを要望していた。

 委員会では、ある委員が、指定解除までの手続きは厳しく、目的や規模など全ての要件が満たされなければ受理されないとし、「手続きが進んでいる事実から不採択とした」と発言。また同手続きでは、土地所有者や村など直接の利害関係者の同意が得られれば、瑕疵(かし)はないとする主張も出て、委員全員が採択に反対した。

 林野庁が二月、同村上蔵(わぞ)地区に計画されているトンネルの非常口一帯の保安林指定を解除すると告示。面積は二百五十七平方メートルで、木を伐採することになる。

リニア開業予定、すでにギリギリ? 掘削作業ずれ込み 朝日新聞 17.3.5

 リニア中央新幹線南アルプストンネル長野工区(長野県大鹿村)の建設工事で、JR東海が2月初めまでには着手する予定だった掘削作業がずれ込んでいる。現地の保安林指定を解除する行政手続きがJRの見立てより遅れているためだ。掘削開始は早くて4月になる見込みで、JRが予定している2027年の開業への影響も指摘され始めた。

 長野工区の本線は8・4キロ。本線工事の前に3カ所の作業用トンネル坑口から掘り進め、本線につなぐ必要がある。JRは当面、小渋川坑口の作業を優先させる方針だ。坑口は急傾斜地のため、農林水産相から土砂流出防備の保安林に指定されており、樹木の伐採や開発が規制されている。JRは昨年1月に指定解除の申請を県に提出。その後、審査は林野庁に移った。

 JRは昨年11月1日の起工式を控えた9、10月の2回、大鹿村で工事説明会を開いた。この時、工程について、坑口付近の作業場整備などの準備工事を経て「1月末か2月初めに掘削を始める」と説明していた。関係者によると、JRは、昨年末ごろまでに保安林の解除手続きが終わると見込んでいたとされる。

リニア新幹線・梶ケ谷非常口周辺への工事の影響は? あすから住民説明会(神奈川) 東京新聞 17.3.

 JR東海は四~七日、リニア中央新幹線の計画で、川崎市宮前区のJR梶ケ谷貨物ターミナル駅内に予定している「非常口と資材搬入口」の着工に向けた住民説明会を、同区や高津区の小学校など近隣の三会場で開く。同社は共同企業体(JV)と工事契約を済ませており、二〇二〇年に完成予定。 (山本哲正)

 JRなどによると、この「非常口と資材搬入口」は、地上と、リニアが走る地下をつなぐ。運行中、事故などが起きた場合に乗客らを運び出したり、保守点検用の資材などを運び入れたりする。

 リニアは二七年、東京・品川-名古屋での開業を予定。非常口は、川崎市内では梶ケ谷のほか、中原、麻生区などに計五カ所、県内では、これらを含めて計九カ所に設けられるという。

 今回の説明会は、高津区梶ケ谷、同区新作、宮前区野川などの住民や関係者を対象としており、JRは既に開催を案内したという。

 麻生区の「東百合丘非常口」工事の説明会は一月中旬に行われた。参加した住民によると、振動や地価下落への不安のほか、工事車両による大気汚染、子どもの安全を心配する声などが出たという。JRによると、この工事については二月中旬、作業時間や安全対策などを盛り込んだ確認書を、関係する地元の自治会と取り交わしたという。

 「リニア新幹線を考える東京・神奈川連絡会」共同代表の天野捷一さんによると、梶ケ谷の場合、工事で掘り出した土が市の臨海部に運ばれることになっており、説明会では、この点の説明も注目されるという。

 梶ケ谷の説明会の問い合わせは、JR東海の中央新幹線神奈川工事事務所(川崎分室)=電044(411)0173=へ。 

豊丘の候補地「使う前提で」 リニア残土処分でJR 信濃毎日新聞 17.2.9

 リニア中央新幹線建設工事に伴う残土処分計画を巡り、JR東海は7日夜、下伊那郡豊丘村の本山(ほんやま)の候補地について、「使う前提で次のステップに入らせていただきたい」とした。今後、地権者の最終的な同意などを経て候補地を確定させる。同夜開いた村リニア対策委員会で中央新幹線長野工事事務所(飯田市)の古谷佳久所長が述べた。
 本山の候補地は山間の沢筋に位置し、伊那山地トンネル(豊丘村―下伊那郡大鹿村、15・3キロ)の豊丘村内にある二つの作業用トンネル坑口(非常口)から生じる約130万立方メートルの残土を埋める計画。用地は地元の三つの区でつくる森林組合が所有している。
 同社はこの日までに村内で開いた下流域住民を対象にした住民説明会や村リニア対策委でのやりとりの結果、「多くの理解は得られた」として、行政手続きなどを進めると説明。同森林組合が3月に開く総代会での最終的な意思決定や村との相談を踏まえ、本山の残土処分用地を確定させるとした。
 同社はこの日、リニア工事に伴う村道や林道など道路の改良箇所100カ所以上を提示。通勤通学の時間帯は基本的に工事用車両は通さないようにするとした。工事に当たる清水建設(東京)と大日本土木(岐阜市)でつくる共同企業体(JV)の事務所兼作業員宿舎は同村福島区に設置し、JV社員や作業員合わせて45人ほどが入る。

リニア残土置き場候補地「本山地区前提に」 豊丘・対策委でJR(長野) 中日新聞 17.2.92New

 豊丘村リニア対策委員会が七日、村役場で開かれ、JR東海が、本山地区の排出土処分先候補地の計画などについて説明。古谷佳久長野工事事務所所長が「本山を使わせていただくことを前提に、行政手続きを始めたい」と述べた。

 JR東海の沢田尚夫担当部長は委員会終了後「(一月末から村内で開かれた)二回の住民説明会と今日で、次へ進んでいいということで理解を得たと考えている」と話した。一方で、会に出席していた伴野区の長谷川義久区長が、候補地の地権者の代表らでつくる総代会を三月に開催する予定と述べたことに触れ、最終的な判断には地権者の同意や村との相談が必要との見方を示した。工事説明会については「年度内にやりたいと思っているが、土置き場のめどがついていないとできない」と述べた。

 同委員会では、工事関係車両の通行に伴う周辺道路の拡幅計画や、大柏地区にJV現場事務所と作業員の宿舎を建設する計画についても報告された。

JRのリニア残土管理方針「一歩前進」 飯田市長(長野) 中日新聞 17.2.

 リニア中央新幹線建設工事で排出される残土の埋め立て処分を巡り、JR東海が豊丘村本山の候補地について埋め立て後も二十~三十年ほど管理する方針を出したことを受けて、飯田市の牧野光朗市長は一日の定例会見で「地域にとっては一歩前進」と評価した。

 残土処分地について同社は当初、埋め立て後の維持管理に関与する姿勢になく、地元に不安が広がっていた。しかし、一月二十三日の阿部守一知事とのトップ会談で、JR東海の柘植康英社長が維持管理の検討を示し、同三十日の豊丘村内の説明会で管理について明言した。

 残土処分後の維持管理は、受け入れ候補地の共通課題。牧野市長は「JRも責任を果たしていくと表明したと思っている。どこの残土をどこで受け入れるかなど、課題を飯田下伊那地域や県としっかり共有し、乗り越え、リニアを推進していければ」と述べた。

豊丘の4地区住民に説明 JR東海、リニア工事残土(長野) 中日新聞 17.1.31

 リニア中央新幹線の工事で、排出される土の処分先として検討されている豊丘村内の候補地について、JR東海は三十日、同村神稲の村交流学習センターゆめあるてで、候補地より虻川の下流域にある四地区の住民を対象に説明会を開いた。対象となった地区は伴野区と林区の林里、林原、木門。

 候補地は、天竜川に注ぐ虻川河口から約十キロ上流の約八ヘクタール。坂島非常口から排出される土など百三十万立方メートルを盛り土するとしている。平らな部分と、最大二十メートルの斜面を交互に設け、盛り土で埋もれた沢筋の代わりに新しい水路を設置。水路の下流には調整池を設け、池の上流部には高さ九メートルのコンクリート製の擁壁を設置する。

 JR東海の説明によると、掘削を今年秋ごろに開始。工事中はJVが管理し、工事完了後は、植樹や緑化をした上で、JR東海が管理する。管理期間は植樹した木が育ち、緑化が完了する二十~三十年を見込んでいるが、木が順調に育たない場合は地権者や村と延長について検討するとした。

 参加者からは、三六災害のような大規模災害を想定した設計がされているかという質問があり「想定外という言葉は、絶対に言わないでほしい」などの要望が挙がった。

JR東海 20~30年管理 豊丘のリニア残土処分候補地 信濃毎日新聞 17.1.31

 リニア中央新幹線建設工事に伴う残土処分計画を巡り、JR東海は30日夜、下伊那郡豊丘村の2カ所の処分候補地のうち本山(神稲)の候補地について、埋め立て後も同社が管理する考えを示した。管理期間は少なくとも20〜30年間ほどとした。同社が、埋め立て後の管理を地権者に任せるとの考えから転換する方針を示した後、県内の具体的な候補地で管理期間を説明したのは初めて。
 期間は「(切り開いた)山林の保水能力が回復するまで」を目安とし、詳細は村や地権者と協議中と説明。盛り土の点検や水路の清掃などを実施するとした。村内外の他の残土処分候補地の管理については「個別的な判断」をすると述べ、同様な観点などから検討する可能性を示した。
 23日に阿部守一知事と会談した柘植康英(つげこうえい)社長が、埋め立てた後の維持管理も「責任を持った対応を念頭に置いて検討する」として、従来方針を転換する考えを示していた。
 本山の候補地は村内で最大の流域を持つ虻(あぶ)川上流の山間に位置し、その沢筋を埋め立てる計画。村内で開いた下流域住民約70人が集まった候補地の埋め立て計画に関する説明会で、JR東海の中央新幹線長野工事事務所(飯田市)の古谷佳久所長が「工事後もJRが発生土置き場(残土処分地)を管理する」と言及。方針転換の理由については、下流域の住民に残土搬入に伴って土砂災害の懸念の声があることなどを挙げた。
 本山の埋め立て設計図も示し、盛り土面積は約8ヘクタール、容量は伊那山地トンネル(豊丘村―下伊那郡大鹿村、15・3キロ)の村内2カ所の作業用トンネル坑口(非常口)から出る約130万立方メートルと説明。最短で今夏を予定していた坂島非常口の掘削開始は今秋とし、本山の候補地の埋め立てを始めるのも同時期になるとした。
 参加者からは同社が施工後に管理するなら残土の受け入れを許容するとの意見の一方で、将来的な土砂災害を懸念する声も根強く上がった。古谷所長は説明会の最後に住民側に、埋め立て計画について「ご理解いただけたと考えている」と述べた。

山梨)リニアの騒音、住民らが学習会 中央市 朝日新聞 17.1.30

 リニア中央新幹線の予定地の住民らでつくる「山梨リニア沿線住民の会」は29日、中央市の玉穂生涯学習館で「リニア騒音について法律と人への影響を考える学習会」を開いた。約130人が参加。名古屋新幹線訴訟原告団の弁護士らが講演し、リニアが住環境に与える問題点などを指摘した。

 名古屋新幹線訴訟原告団顧問の中川武夫・中京大名誉教授は「新幹線の裁判で当時の国鉄は『音は出しているが被害は出していない』と主張したが、騒音は人間にストレスを与え、それが健康に影響を及ぼす。軽視すべき問題ではない」と述べた。

 四日市公害訴訟などにも取り組み、リニア建設認可取り消し訴訟の弁護団共同代表を務める高木輝雄弁護士は「水俣病などの4大公害訴訟以来、訴訟とともに、住民自身が立ち上がることで、公害問題が前向きに改善されてきた」と述べた。

 また、県がリニアの騒音基準を軌道両側400メートルの範囲で住宅地は70デシベル以下などと決めたことを受け、「ザー」というノイズ音を会場内に流して騒音計で測定し、70デシベルの騒音のレベルを体験した。

 建設予定地が自宅の敷地にかかるという中央市の男性(65)は「こんなに音が出るということで今日の音は衝撃的だった。孫の代に影響が及ばないように、国や県や市に、騒音に対する配慮を求めていきたい」と話した。

リニア工事残土置き場で候補21カ所 南木曽・対策協が3月ごろ県に報告(長野) 中日新聞 17.1.27

 南木曽町や町内の観光関係者らでつくる「リニア中央新幹線対策協議会」が二十五日夜、町役場で開かれ、トンネル工事で発生する残土置き場の候補地として二十一カ所が寄せられていることが報告された=写真。協議会は、町から県を通してJR東海に紹介し、選定された場合は協議会として適否などを判断することを決めた。候補地は三月ごろに県に報告する方針だ。

 トンネル工事の残土は、町内では約百八十万立方メートルが発生するとされる。JR東海が基本協定を締結する意向を示したことから、JR東海の要請を受けた町が住民から残土置き場の候補地を挙げてもらっていた。これまでに挙がったのは二十一カ所で、今後、数カ所増える見通しという。

 協議会にはJR東海側も出席し、これまでに協議会から出された質問などに答えた。

 町内の妻籠水道水源保全地区が工事対象になることには、JR東海が地元関係者への説明を始めており、三月には知事に計画書や申請書を提出するとした。

 協議会側が求めていたウラン調査は「町内にウラン鉱床はなく、調査の必要はないが、仮にウランが出てきた場合は決められた処理をする」と説明した。

 協議会長の向井裕明町長は「残土置き場の適地があるとすれば、協議会の本来の目的であるリスク軽減に向けての話し合いに一歩踏み出せたのでは」と述べた。

JR東海「維持管理検討」 リニア残土置き場問題(長野) 中日新聞 17.1.24

 県内でも着工したリニア中央新幹線の建設工事を巡り、阿部守一知事は二十三日、事業主体であるJR東海の柘植康英社長と会談した。トンネル掘削工事で発生する残土の埋め立て処分が話題となり、柘植社長は「埋め立て後の維持管理について、JRとして責任持って対応していくことを検討したい」と述べ、防災上で必要な場合は自社による維持管理を考える姿勢を示した。

 昨年十一月に大鹿村であった起工式に出席した阿部知事が柘植社長に定期的な懇談の場を設けることを提案していた。今回はその一回目で、公開されたのは冒頭だけ。「(長野県側は)全面公開でもいいと思っている」(阿部知事)が、JR側の意向で非公開になったという。

 残土の埋め立て処分は、松川町で候補地の下流住民が反対するなど関心が高いテーマ。JR東海は「地権者から土地を借りて埋めた後、地権者に返して有効活用してもらう」のが基本姿勢で、崩落した場合の管理責任をどこが負うのかなどが懸念されている。

 会談での柘植社長の発言について、JR東海の広報担当者は「防災上の観点から特段の配慮が必要な場合、個別の状況を踏まえて残土置き場の維持管理も検討する」と説明する。

 終了後に取材に応じた阿部知事は「これまでよりは一歩踏み込んだ発言」と評価し、会談の成果を強調。「JR側の対応を待って、県からも地元の要望を伝えていく」と述べた。候補地選定では「法に基づいて県が安全性を確認する。県としても責任持って地元に情報提供し、説明していく」と語った。

 残土を運び出すトラックが通る道路に対しては「大鹿村ではJRと一緒に県道の改良をしている。他の道路も(JRと一緒に)県が必要な部分はしっかり対応する」と強調した。

 会談で阿部知事は、リニア沿線市町村にJR社員の派遣を増やし住民対応を強化することも要望した。柘植社長との会談は「定期的に話し合いの場を設けることが大事。必要があれば県から申し入れたい」と述べた。

リニア残土「責任持った対応検討」JR社長、知事に表明 信濃毎日新聞 17.1.24New

沿線7町村・知事 意見交換 リニア トップ会談前に 信濃毎日新聞 17.1.18

 JR東海が2027年の東京・品川―名古屋開業を目指すリニア中央新幹線事業を巡り、下伊那郡の沿線7町村の首長らが17日、県庁で阿部守一知事と意見交換した。阿部知事と同社の柘植康英(つげこうえい)社長による「トップ会談」を23日に都内で開くのを前に、町村長側からは、同社に対して地域に丁寧な説明を尽くすことを求める意見が出た。
 知事を訪ねたのは松川、高森の2町と阿智、下條、喬木、豊丘、大鹿の5村の町村長ら。出席者によると、町村長らはリニア事業に関する地域の懸念を説明し、知事は「(JR東海側に)しっかり伝えたい」と応じた。
 地元で昨年11月に南アルプストンネル長野工区(8・4キロ)が着工した大鹿村の柳島貞康村長は「残土処理の安全性の説明」を要望。残土処分場の候補地がある松川町の深津徹町長は「安心安全を第一にした、住民に寄り添った丁寧な対応」を求めた。
 トップ会談には、県側は知事や水間武樹リニア整備推進局長ら、JR東海側は柘植社長やリニア事業の担当役員が出席する。

リニア中央新幹線 知事とJR東海社長、23日に初のトップ会談 信濃毎日新聞 17.1.14

 JR東海が2027年の東京・品川―名古屋開業を目指すリニア中央新幹線を巡り、県は13日、阿部守一知事と同社の柘植康英(つげこうえい)社長による初の「トップ会談」を23日に都内の県東京事務所で行うと発表した。阿部知事は記者会見で、リニア事業推進を重視する姿勢を示す一方、「地域の不安や懸念を踏まえて対話したい」と述べた。

大鹿村長選に現新2氏が立候補 リニア工事争点(長野) 中日新聞 17.1.11

 任期満了に伴う大鹿村長選が十日に告示された。大鹿村出身で元土地家屋調査士の新人、酒井和美氏(69)=無所属、飯田市=と、現職で三期目の再選を目指す柳島貞康氏(65)=無所属、鹿塩=が立候補を届け出た。選挙戦になるのは八年ぶり。

 争点となっているのは、村内のリニア中央新幹線工事。酒井氏は、リニアに関する村民重視の対策室設置などを挙げ、JR東海に対し強い姿勢で交渉に臨むとして、工事やJR東海に対し不安や疑問を感じている住民に訴える。柳島氏は、リニア対策委員会の設置や、リニア工事に伴って始まった松川インター大鹿線の改良など、これまでの実績を強調。経験や人脈を生かした継続的な村政を掲げる。

 酒井氏は、ほかに少子高齢化対策として利便性強化を挙げる。柳島氏は、継続的な医師確保など医療対策に力を入れるとしている。

 投開票は十五日。六日現在の選挙人名簿登録者数は九百三十一人

リニア工事で揺れる村 大鹿村長選10日告示(長野) 中日新聞 17.1.8

 二十三日の任期満了に伴う大鹿村長選が、十日に告示、十五日に投開票される。立候補を表明しているのは、現職の柳島貞康氏(65)と、新人で村出身の酒井和美氏(69)の二人だ。

 現職と村議会が、リニア中央新幹線の南アルプストンネル工事について、同意を示して二カ月半。周辺の道路整備から、着々と進められている関連工事について、村は環境や安全に関わる問題で揺れている。

 十年間にわたって続いていく工事の中で、特に住民の不安の種となっているのが、村と隣村を行き来する県道松川インター大鹿線を通る大型車両だ。JR東海が示している量は、最大で一日千台以上。住民向けの説明会では、減らすよう求める声も上がったが、村内に発生土の仮置き場を用意した場合は千三百台程度になると繰り返すに留まる。

 土の最終処分先が不透明な問題もある。JR東海は、隣接する松川町生田の生東区を候補に挙げているが、土の崩落の懸念から、下流域の区が反対を示している。仮に許可が下りなかった場合、工事を進めれば土が村内に留まる可能性も。

 住民に対して、不安を取り除く具体的な対策をとり、納得が得られるよう説明を尽くす必要がある。一方、JR東海に、明確にすべき事項が決まらないまま、なし崩しに工事を進めないよう求めていくことも大切だ。そのためには、県や周辺自治体の協力を得られる体制づくりが必要だ。

 村の将来に大きく影響する十年間を左右する選挙になる。候補者には、住民生活を守る具体的な方策が求められている。

リニア基本戦略策定へ 知事「大阪、奈良と連携」強調(三重) 中日新聞 17.1.6

原発とほぼ同じ構造のリニア―、必ず失敗する そりゃおかしいぜ第三章 17.1.5

リニア10年後開業「厳しい目標」 JR東海・柘植社長 信濃毎日新聞 17.1.1

 JR東海の柘植康英(つげこうえい)社長は31日までに、名古屋市の本社で信濃毎日新聞などのインタビューに応じた。リニア中央新幹線東京・品川―名古屋間(約286キロ)の開業目標とする2027年まで、あと10年となることについて「余裕のない厳しいスケジュール」との認識を示した。下伊那郡大鹿村と静岡市との境界付近で地表からトンネルまでの深さ(土被(どかぶ)り)が約1400メートルにもなる南アルプストンネル(25キロ)などを例示し、工事の難しさを挙げた。
 課題として、トンネル工事で大量に出る残土問題を改めて指摘。「本格的に掘削して土が出てくるまでには、処理地(処分地)を決めておかなくてはならない。地元の方の理解を得ながらやっていく」と述べた。
 長野県内などで、リニア工事に対する地域住民の不安が根強いことについては「発生土(残土)の問題もあるので、引き続き丁寧に話し合いをし、話を聞き、説明し、納得していただく努力は不可欠」としたものの、「今の段階で(工事を)遅らせることは考えていない」と明言。「しっかり説明をして、進めさせていただきたいと考えている」と重ねて述べた。New

ニュース回顧 リニア工事で中川の県道改良 長野日報 16.12.26

JR東海は11月1日、2027年東京―名古屋間の開業を目指すリニア中央新幹線南アルプストンネル長野工区(8・4キロ、下伊那郡大鹿村)の工事に着手した。一方、中川村では本線トンネルの発生土を運ぶ県道松川インター大鹿線の道路改良で、幅員の狭い部分を迂回する新設2トンネルの掘削準備にJRが着手した。着工による工事用車両の増大に伴い、同村の渡場交差点付近は交通渋滞や振動、騒音、大気汚染が懸念される。村対策協議会とJR、県は今年1年を通じて対策案の話し合いを続けた。

村役場で今月20日に開いた第10回協議会。渡場地区住民が以前から要望する振動対策のための渡場交差点の路盤改良について、県は「以前の改良工事で固い地盤にした」という理由を挙げ、「工事車両通行の影響により、補修が必要となった場合は対応することを基本とする」と答え、現状では改良する意思がないことを改めて強調した。

これに対し、地元葛島区の北島文憲区長は、南アトンネル発生土運搬を想定して「運搬開始後、問題が起きた時に路盤改良工事が(運搬を止めて)可能なのか」と不信感を募らせた。JRが10月に開いた南アトンネル工事進捗説明会でも交差点付近に居住する住民から、「現状でもダンプカーが通ると騒音や排気ガスが多くて困る」と対策の必要性を訴える声が相次いだ。

渡場地区では、JRや県へ地元の要望を正確に伝えるため、11月に地区役員やPTA役員など約20人の委員からなる対策委員会を発足した。片桐勇地区総代は「JRや県へ要望を通すには村が一枚岩でないといけない。渡場の対策委員会は村の対策協議会へ意見を上げるための役割。JRや県は住民の切実な声に耳を傾けてほしい」と願った。

県道松川インター大鹿線に計画する新トンネルのうち、小渋ダム西側の西下トンネル(仮称)は来年1月下旬、四徳大橋東側の四徳渡トンネル(同)は同1月上旬から掘削工事に入る。

知事「残土問題、県も協力」 来月にもJR東海社長と懇談(長野) 中日新聞 16.12.21

 阿部守一知事は本紙の取材に応じ、リニア中央新幹線の工事を進めるJR東海の柘植康英社長と来年一月にも懇談する方針を明らかにした。「工事中のトラック運行やトンネル掘削で発生する残土の問題など、いろんな懸念がある。市町村や地域の皆さんに寄り添った対応をしていきたい」と語った。

 十一月に大鹿村であった起工式に出席した阿部知事が柘植社長に定期的な懇談の場を設けることを提案した。阿部知事は「一月中で調整している。市町村や地域の人が抱えている懸念を改めて把握した上で、社長と話をしたい」と述べた。

 リニア工事で発生する土砂の処分先の候補地となっている松川町など地元から懸念が相次いで出ている現状に、阿部知事は「住民がJRから説明を受ける形になっているが、専門的知見がない。県も加わって補足的な説明をしたり、JRに質問したりする役割を果たしたい」との考えを示した。

 リニア工事は現在、建設部のリニア整備推進局が住民の窓口になっている。阿部知事は「生活環境や観光面の懸念は他の部局も一緒になって対応したい」と話した。

リニア残土処分候補地の説明求める 松川町、JR東海に(長野) 中日新聞 16.12.20

 松川町は十九日、町役場で県の立ち会いのもと、JR東海に対し、リニア中央新幹線工事で排出される土の処分先として検討されている町内の候補地について、関係住民らに丁寧な説明などを求める要望書を提出した。

 要望書で、候補地の付近や下流域の住民から、生活への影響を懸念する声が多く寄せられていると指摘。候補地について、丁寧な説明を住民が納得できるまですることや、情報の公開、住民の声に迅速に対応できる組織体制の強化などを求めた。また、JR東海の説明を受けた上で、反対という結論もあり得るとした。

 町は書面提出後、非公開でJR東海と会談した。深津徹町長によると、今までの経過を述べた上で、住民に寄り添って説明責任を果たすこと、設計の安全性などを第三者に確認してもらうこと、工事が決まった場合には、安全安心のため申し合わせをすることなどを要望、JR側は、取り組む意向を示した。深津町長は「どのように説明責任を果たすか、しっかり動向を見ていきたい」と話した。

 JR東海・名古屋建設部の沢田尚夫担当部長は、地元への説明時期は未定としながらも、説明を前提に設計を進め、説明会前にも地元に足を運んで連絡を密に取っていくとし、要望書のきっかけとなった処分地下流域の福与区を訪れる意向を示した。

リニア・中アトンネル、2月にも準備工事 中津川で住民説明会(岐阜) 中日新聞 16.12.17

 リニア中央新幹線の岐阜、長野両県を結ぶ中央アルプストンネル工事で、JR東海などは十五日、中津川市の山口公民館で山口工区の工事説明会を開き、早ければ来年二月に準備工事を始め、春に非常口となるトンネル斜坑の掘削に着手すると明らかにした。

 説明会では同社や工区の工事発注業務などを受託している鉄道・運輸機構などの担当者が、工事概要や工事残土の処理方法などを説明。住民ら六十人が出席したが、マスコミには非公開で行われた。

 JR東海によると、山口-長野県飯田市間の同トンネルは全長二十三・三キロで、山口-長野県南木曽町の山口工区は四・七キロ。山口に地下トンネルと地上をつなぐ非常口を設ける。工期は二〇二二年十二月まで。

 残土は七十四万立方メートル。中津川市瀬戸の民間業者が受け入れを了解しているほか、非常口近くの木曽川岸などが埋設候補地となっている。工事のピークには、一日に残土運搬で三百台、資機材運搬で百五十台の十トントラックが生活道路を走る。

 説明会後、同社中央新幹線岐阜工事事務所の吉田昌弘・担当課長は「工事の安全や環境の保全、地域との連携を重視して計画を推進していく」と述べた。

 地元対策協議会の男性(67)は「残土の問題など説明が遅い。残土や騒音、渇水、安全対策など、今後一つ一つ詰めていかないといけない」と話した。

1000年に一度の大雨で浸水20メートル超 天竜川流域の伊那谷(長野) 中日新聞 16.12.16

 伊那谷に「千年に一度」(想定最大規模)の大雨が降ると、天竜川流域は場所によって浸水の深さが二〇メートル以上になるなど、深刻な被害に見舞われる可能性があることが、国土交通省中部地方整備局が十五日に発表した洪水浸水想定区域図から明らかになった。

 深さ二〇メートル以上は、鵞流(がりゅう)峡上流部に位置する飯田市松尾の南部。深さ一〇~二〇メートルは、同市の松尾と下久堅と川路と龍江、喬木村伊久間、中川村の小和田と飯沼、飯島町日曽利、駒ケ根市下平、宮田村北の城、伊那市の東春近と西春近など。

 深さ一〇メートル未満でも、川に近い国道153号などはかなり水に漬かり、豊丘村役場、伊那市役所、JR飯田線の伊那北駅や田畑駅で被害が見込まれる。

 天竜川上流河川事務所によると、辰野町の昭和橋から飯田市の天龍峡まで約八十キロの区間で、浸水面積は三千六百六十三ヘクタール。十四年ぶりに更新した「百年に一度」(計画規模)の四倍になる。

 担当者は「天竜川上流は河岸段丘で囲まれ水が横に逃げられず、思わぬ高さまで水かさが増してくるのが特徴。海のようになるイメージだ。『千年に一度』は来年あるかもしれない」と説明し、関係市町村に対応を呼び掛けている。

 「千年に一度」は四十八時間に六〇〇ミリの降雨を意味する。伊那谷では一九六一年の集中豪雨災害「三六災害」で一日に三二五ミリ、二〇〇六年七月の豪雨で四十八時間に三一七ミリを観測した。

 天竜川の洪水浸水想定区域図は五種類二十枚あり事務所ホームページで公開しているほか、駒ケ根市の所内で二万五千分の一の区域図の現物を自由に見ることもできる。

リニア・中アトンネル山口工区 準備工事、来年2月にも 信濃毎日新聞 16.12.16

 JR東海や独立行政法人鉄道・運輸機構などは15日夜、リニア中央新幹線の中央アルプストンネル(23・3キロ)の山口工区(木曽郡南木曽町―岐阜県中津川市、4・7キロ)について、中津川市山口地区で住民向けに工事説明会を開いた。いずれも早ければ、作業用トンネル坑口(非常口)の作業場整備などの準備工事は来年2月に、作業用トンネルは来春、本線トンネルの掘削は来秋に始める方針を示した。同機構は中アトンネル工事の発注業務などをJRから受託している。
 非公開の会合後、JR側が説明。同工区は岐阜県側が3・6キロ、長野県側が1・1キロで、この区間の工事で出る残土(発生土)の置き場は、長野県側の分も含めて岐阜県側に運ぶ計画とした。中津川市では、既に田瀬地区に20万立方メートルの残土を置ける場所を確保しており、その他にも11カ所の候補地があるという。山口工区の工事は岐阜県側からのみ進めるため、南木曽町側で掘削する時期は未定。
 残土運搬は、児童の登校時間と重ならないように午前8時以降とし、下校時は誘導員も配置する。
 住民ら約60人が会合に出席。会合終了後、JR東海中央新幹線岐阜工事事務所の吉田昌弘担当課長は「必要な準備を整え、早く着工したい」と説明。山口地区リニア対策協議会の可知和人会長(67)は「発生土置き場の問題が一番心配だが、個別に出てくる問題を一つずつ解決してもらうしかない」と話した。

埋め立てに懸念指摘 豊丘村会 リニア残土巡り議論 信濃毎日新聞 16.12.14

 リニア中央新幹線のトンネル工事で出る残土を処分するJR東海の計画の是非を巡り、下伊那郡豊丘村の13日の村議会一般質問で議論があった。土砂災害を懸念して計画に反対する村議が村の考えをただしたのに対し、下平喜隆村長は「反問権」を行使。村議の考えを聞き返す場面もあった。
 JRは、隣接する同郡大鹿村との間に設ける伊那山地トンネル(15・3キロ)の掘削で生じる残土のうち、豊丘村内の2カ所の候補地では100万立方メートル以上を埋め立てる計画。
 一般質問で唐沢健議員(共産党)は、村で最も大きな流域を持つ虻(あぶ)川上流の支流が両候補地を流れ、付近には断層も走っており、河川の防災対策も不十分と指摘し「現状を考えても埋めるべきでない」と主張した。
 下平村長は、山地にある両候補地で埋め立てができない場合、多数の残土運搬車両が民家の多い生活区域を走る恐れが高まるとし「山地にしっかり埋めた方が良い」と答弁。その上で「(唐沢)議員は下に土砂を出して1日千台(もの車両が走ること)の方を選ぶということか」と逆に質問した。唐沢氏は「運搬をしてでも(より)安全な所に持っていくべきだ」とした。
 また、下平村長は、埋め立てを受け入れる最終判断を下すのは誰か―との問いに「(地元の)区と、村が一体となって最終的にはJRとの対応を行うというのが自然の流れ」とした。
 反問権は、議会の議論の活発化などを図る目的で村議会基本条例に定められており、村側は議員の質疑に対して質問することができる。

リニア、瑞浪で県内初の起工式 活性化期待、不安の声も(岐阜) 中日新聞 16.12.14

 東京・品川-名古屋間で二〇二七年の開業を目指すリニア中央新幹線計画で、県内初の工区となる「日吉トンネル」南垣外(みなみがいと)工区の起工式が十三日、瑞浪市日吉町であった。出席した政界関係者らがあいさつで地域活性化への期待の声を口々に語った一方、地域住民からは工事への不安の声も聞かれた。

 起工式で、JR東海の柘植康英社長は「安全を第一に考え、地元の生活と環境にも十分配慮して工事を進めていきたい」とあいさつした。古田肇知事は「長年の夢がつち音に変わり、岐阜県と東京都が三十分の距離で結ばれる。東の玄関口から、新しい発展につながると期待したい」、水野光二瑞浪市長は「開業は、瑞浪市にとっても大きなチャンス。地方創生に向かってまちづくりを進め、経済活性化に取り組みたい」と歓迎した。

 県内では、岐阜県駅と中部総合車両基地が中津川市に建設されるほか、変電施設二カ所、山岳部の非常口七カ所が設けられる。工事では、約七・四キロの地下トンネルを掘削し、トンネルと地上とを約四百メートルの斜坑でつないで非常口を設ける。掘削による約百三十万立方メートルの土砂のほとんどは日吉町南垣外内に埋め立てる。

 日吉町周辺には、ウラン鉱床が点在する。JR東海は「ウラン濃度の高い土を掘削する可能性は低い」としており、工区内でウラン濃度や放射線量などを定期的に測定しながら工事を進める。管理値を超えるウラン濃度の土が発生した場合は、遮水シートや覆土などを施して工区内に仮置きするが、最終処分地は未定だ。

 南垣外の自治会長、熊谷盛治さん(65)は「JR東海から、危ない土は工事後にこの地域には置かないと言われたが、まだ処分方法も最終処分地も示されていない。情報公開を求めながら、工事の進捗(しんちょく)を見守るほかない」と話す。地元の六十代の主婦は「トラックの騒音やウラン残土など不安は残ったまま。万一のことがないよう安全な工事を望んでいます」と心配していた。

リニア残土処分 豊丘村で土砂災害などの学習会(長野) 信濃毎日新聞 16.12.11

 リニア中央新幹線建設工事の残土処分計画を巡り、土砂災害のメカニズムや異常気象の実態を学ぶ学習会が10日、下伊那郡豊丘村であった。計画の是非を住民が判断する上での基礎知識を学ぼうと、南信州地域問題研究所(飯田市)が招いた専門家2人の話に60人余が耳を傾けた。
 京都大名誉教授の奥西一夫さん(水文地形学)は、国内外の土砂災害事例を紹介。リニアのトンネル掘削残土を埋め立てた際のリスクについて、地下深くの岩石は掘り出すと急速に風化が進み、地震時に埋め立て地から泥流となって流出する恐れがある―と指摘。残土処分候補地に谷地形が多いことを踏まえ、「そもそも谷を埋めるというのが不自然な行為」と述べた。
 日本科学者会議大阪支部(大阪市)代表幹事の岩本智之さん(気象学)は、地球温暖化を背景に集中豪雨や土砂災害の頻度が増えているとし、1961(昭和36)年の「三六災害」のような大災害の可能性が高まっていると説明。「プロジェクト推進ありきで進むことがほとんど」と環境アセスメントの現状にも疑問を投げ掛け、地元住民の生活実感に基づく判断を取り入れる大切さを強調した。
 南信州地域問題研究所の岡庭一雄所長(74)=前下伊那郡阿智村長=は「(残土埋め立ては)安全であると確信できるか、勉強した上で判断することが大切。後世のために間違いのない選択をしなければいけない」と話した。三六災害

リニア工事発生土受け入れを了解 中津川の民間事業者(岐阜) 中日新聞 16.12.10

 JR東海のリニア中央新幹線の建設で、中津川市は九日、中央アルプストンネル山口工区の発生土について、同市田瀬の民間埋め立て事業者がJR東海に対して受け入れを了解したと明らかにした。同日開かれた市議会一般質問で、議員の質問に答えた。正式に決まれば、県内の発生土受け入れ先としては、瑞浪市日吉に次いで二カ所目となる。

 中津川市によると、発生土の搬入計画があるのは、山口工区から北約二十キロの田瀬の採石場跡地。埋め立て事業者が公共工事の発生土を受け入れている。最大約二十万立法メートルを埋め立てられる。十一月に事業者がリニア工事の発生土の受け入れを了解したという。

 運搬経路などについて、JR東海は月内に山口地区で開く工事説明会で住民に説明するとみられる。発生土を巡っては、県内の砂利採取業者が市内の木曽川右岸の農地へ搬入を計画しており、JR東海と交渉中という。

 一方、市議会では議員から「JR東海の地元説明が遅いのではないか」との質問があり、リニア都市政策部の山本高志部長は「残土処理など事業の情報提供が遅いと感じている。住民に丁寧に説明した後に着手するよう求めていく」と述べた。

下流域住民の同意が必要 リニア残土処分地選定で飯田市(長野) 中日新聞 16.12.9

 飯田市は八日の市議会定例会で、市内からも候補地が挙がっているリニア中央新幹線建設に伴う残土処分地について、決定に当たっては下流域住民の同意も必要だという認識を示した。森本政人議員(市民パワー)の代表質問に答えた。

 市によると、候補地は下久堅小林と龍江番入寺の二地区で、地権者同意はおおむね得られている。市側は「対象地区のみでなく、下流域など地域全体の同意が必要と考えている」として、地元が求める安全対策を注視する考えを強調した。

 また、本体工事にかかる当面の課題としては、リニア関連事業用地の住民理解と確定、工事に関連する道路の安全確保や環境面での対策、特定地域での工事集中を防ぐ事業者間の調整、移転対象者への移転先確保と提示、という四点を指摘。

 こうした課題を踏まえ、市側は「工事による生活や環境への影響が最小限となるよう、JRの責任ある対応を求め、住民の不安を解消したい」とした。残土の運搬ルートはJRが案を作成しており、年明けには関係地区に説明するという。

JRが環境保全協定締結へ 南木曽町にリニア工事残土置き場を要請(長野) 中日新聞 16.12.2

 南木曽町の行政や観光の関係者らでつくる「町リニア中央新幹線対策協議会」が十一月三十日夜、町内の南木曽会館で開かれた。非公開での会合後、事務局を務める町の説明によると、JR東海は環境保全などに関する基本協定を締結する考えを示し、トンネル工事で発生する残土置き場の候補地を紹介してほしいと要請。協議会側は、JR東海が具体的な計画を示すことを条件に住民に候補地を挙げてもらうことを了承した。

 町によると、協議会が求めている基本協定締結に関し、これまで検討するとしていたJR東海が締結する意向を示した。

 同町の地下を通過するトンネル工事の残土は、町内では約百八十万立方メートルの残土が発生する見通しで、協議会側は受け入れられないとしてきたが、JR東海は今回、「全てではなく、少しでも置ける場所があれば候補地を挙げてほしい」と要請。

 委員からは「こちらが出した質問に答えないJR東海に協力する必要はない」といった意見も出されたが、「残土の具体的な管理計画を示してもらえば、住民に説明してもいいのではないか」として協議会として了承したという。町は、候補地を挙げてもらうための住民説明に入ることにしている。

 向井裕明町長は「いろいろな意見があると思うが、町としてできることやって交渉していきたい」と話していた。

リニア残土の置き場紹介 JRと県、南木曽町に依頼 信濃毎日新聞 16.12.1

 リニア中央新幹線への対応を検討する木曽郡南木曽町のリニア中央新幹線対策協議会は30日夜、南木曽会館で18回目の会合を非公開で開いた。会合後、事務局の町は、JR東海と県側から、町内のトンネル工事で出る残土を置く候補地を紹介するよう求められていることを明らかにした。町側は区長を通じて候補地を調査することを提案し、同協議会は了承した。
 南木曽町では中央アルプストンネル(23・3キロ)の工事に伴い約180万立方メートルの残土が出る見通し。町側は「急峻(きゅうしゅん)な地形で、それだけの量を受け入れる適地はない」としてきた。同町では2014年をはじめ過去に何度も土石流災害が発生しており、残土搬入に住民の抵抗感が強いことも町側の姿勢の背景にあった。JR側は下伊那郡阿智村への搬入の可能性を示唆したが、阿智村側の反発は強かった。
 南木曽町によると、JRと県から11月中旬、「少量でもいいので、受け入れる候補地があったら紹介してほしい」との申し入れがあったという。
 30日の会合で町側は、残土の運搬や整地、防災対策などをJRが行うと説明。JRは町と環境保全などに関する協定を結ぶ予定があるとし、残土利用の希望調査を行う方針を示した。
 委員からは「環境に影響が出た場合の補償などについてJR側に問い掛けているのに回答が示されていない」として調査を疑問視する声や、「これまでの会合を通じて、町内に適地がないというのは、委員全体の共通認識だったはず」との反発が出た。
 一方、「残土処理がどうなるかは、町民の関心が高い問題。利用の希望者がいるかどうかは分からないが、町民の希望を取ってみた方がいい」との意見もあった。協議会は最終的に、JR側がいつまで残土を管理するといった具体的な内容を町民に示すことを条件に、候補地を募ることを了承した。協議会長の向井裕明町長は「町は協力、反対どちらでもなく、あくまで公平な立場」としている。

リニア工事の土処分場、住民納得まで説明を 松川町対策委がJR側に要望へ(長野) 中日新聞 16.12.1 

 松川町は二十九日夜、町役場でリニア中央新幹線建設工事対策委員会を開き、松川町生田生東区にある工事の発生土処分場の候補地について、JR東海に丁寧な説明を求める要望書を提出することを決めた。年内に、沢田尚夫・中央新幹線建設部担当部長に直接手渡す考え。

 同区の寺沢川下流域にある福与区が七日、生東区が候補地となることに反対する意見書を提出したことから、処分場について、両区の住民などの納得が得られるまで説明することなどを要望書に盛り込み、町長と対策委員長の連名で提出する。

 委員会では、福与地区リニア工事対策委員会の米沢正幸委員長(71)が、十月二十二日に開かれた同地区での説明会の内容を報告。当初示されていた三十万立方メートルという残土の量をJR東海が「根拠のない数字」として新たに三十六万立方メートルに増やしてきたことなどに「より多くの残土を置きたいだけの説明で、福与区の関心事に応えていないという印象を強く持った」と語った。

 深津徹町長は「残土置き場については、住民や下流域への説明がまだまだ不十分。現時点では理解が得られていない」と発言した。

リニア「着工も依然、住民不安」 南信州広域連合長 中日新聞 16.11.29

 南信州広域連合長の牧野光朗飯田市長は二十八日、広域連合議会定例会の冒頭あいさつで、大鹿村で県内初の本線工事に着手したリニア中央新幹線事業について「依然としてトンネル掘削土の運搬や処理に対する懸念が残るなど、処理候補地域を中心に住民の不安は解消されていない」と指摘した。

 牧野連合長は「事業が本格的な第一歩を踏み出し、地域振興や早期完成に期待が高まる」と述べる一方、住民の不安に言及。「課題解決に対して個々の自治体の比重が高まるが、地域全体に関わる課題もある」として、事業全体の推移を注視し、必要があれば広域連合としても対応する意向を示した。

 また、本年度末までに基本計画がまとめられるリニア駅の周辺整備については、広域連合の関わり方を検討する必要性を示唆。「最終的には経費負担が課題になる。市を中心とした検討内容を注視し必要に応じて提言するとともに、広域連合としても必要な準備を進めていく必要がある」と訴えた。

リニア工事残土受け入れ反対表明 松川町福与区(長野) 中日新聞 16.11.22三六災害

 リニア中央新幹線建設工事をめぐる松川町生田生東区の残土置き場候補地について、寺沢川下流域の福与区が町に文書を提出し、受け入れ反対を正式表明した。JR東海は、既に着工した大鹿村で発生する残土の処分地にしたい意向のため、今後の成り行きが注目される。

 町が二十一日の町議会全員協議会で報告した。候補地の容量は三カ所で六百三十万立方メートル。区は一九六一年の三六災害で被害を受けており、急傾斜地の崩落の危険性に対する不安が根強く、七日に福与地区リニア工事対策委と連名で、区としての態度を示した。

 町は八日、担当課長がJR東海側に福与区の反対を伝えた。併せて、受け入れによる地域の分断を望まないことや、説明を重ねることが賛成につながるとは限らないことなどを申し入れた。今後、町と町リニア中央新幹線建設工事対策委が、JRに真摯(しんし)な対応を書面で求める予定。

 JRの広報部は「残土置き場は県から頂いた候補地から検討協議している。引き続き、できるだけ早く決められるように、関係者と協議を続けたい」としている。

◆松川町も名乗り ガイドウェイ関連施設候補地

 松川町は、リニア中央新幹線建設工事に関わるガイドウェイ(鉄道のレール)関連施設の候補地として、中央道松川インターに近い上片桐の農地約七ヘクタールを県に情報提供した。二十一日の町議会全員協議会で報告した。

 候補地は、企業誘致を進めている松川インター企業団地。十月中旬から地権者たちに説明し、同意を得られたため十一月七日に情報提供した。企業団地の前提にならい、土地は借地ではなく売買を望むという。

 町の担当者は「五十人規模の地元雇用が生まれる可能性が期待できる」としている。ガイドウェイの関連施設は、飯田市と高森町、喬木村も候補地を挙げており、先行する喬木村では一日に地権者協議会が設立された。

リニア関連工事で暴力団排除を 飯田で対策協設立総会(長野) 中日新聞 16.11.8

 リニア中央新幹線の関連工事について、暴力団など反社会勢力の介入や不当要求を防ぐため、JR東海や工事共同企業体(JV)、鉄道・運輸機構がつくる暴力団等排除対策協議会の設立総会が七日、飯田市錦町のシルクホテルで開かれた。

 JR東海やJVなどの会員六人のほか、顧問として県警や県弁護士会、オブザーバーとして県と大鹿村、豊丘村、中川村の計四十人ほどが出席した。協議会長に南アルプストンネル新設(長野工区)工事共同企業体の鎌城隆現場代理人、副会長にJR東海中央新幹線長野工事事務所の古谷佳久所長を選任。全二十一条の会則案や年会費を五千円とする予算案などを可決した。幹事会は年数回程度、反社会的勢力の動向を確認しながら適宜開催。JR東海が工事を発注するごとに、受注企業には随時協議会に加入してもらうという。

 県警の田中泰史刑事部長は「県内は、指定暴力団六代目山口組と神戸山口組の勢力が拮抗(きっこう)している状況」といい、暴力団が工事に関与して活動資金を得ようとする可能性があると指摘した。

 鎌城会長は「力を合わせて課題を乗り越え建設工事からの暴力団排除を徹底すべく頑張りたい」と述べた。

◆山口組分裂抗争は利権巡る争いか 県警警戒

 暴力団が関与して資金源になるのを防ごうと、大規模な公共工事では警察や行政などが連携して対策協議会を設立している。県内でも着工されたリニア中央新幹線は、品川-名古屋間で総工費五兆五千億円に上る巨大事業。その工事は県内で約十一年にわたる計画。指定暴力団山口組から神戸山口組が分裂して県内でも相次ぐ抗争は「リニア利権」を巡る勢力争いとの見方もあり、県警などが神経をとがらせている。

 「リニア工事は業者の裾野が広く、関係する人数も膨大。暴力団が入り込まないよう特に注意が必要だ」と語るのは、県警組織犯罪対策課の担当者。リニアのような大規模な工事では、暴力団とつながりの深い業者が下請けに入ったり、建設業者らに対して資材の購入を要求したりする恐れがあるという。

 昨年八月に山口組から神戸山口組が分裂して以降、県内では同年十月に飯田市で暴力団関係者の男性が射殺され、山口組系幹部の男が殺人罪で起訴された事件など今春にかけて抗争事件が相次いだ。

リニア時代へ広域観光 下伊那郡北部5町村が合同でツアー(長野) 中日新聞 16.11.3

 飯田下伊那地域ではリニア時代に向けて、観光や移住促進といった分野で、広域連携の重要性が指摘されている。下伊那郡北部五町村は「少ない観光資源を集約しよう」と合同でツアーを企画し、集客を図っている。

 ツアーは七月、「自分の自治体だけではツアーを組めない」と考えた五町村の観光担当者が、初めて連携。担当者イチ押しの観光資源を持ち寄って二泊三日で計画し、東京や県内から十八人が参加して好評だった。

 一般的なツアーと違うのは、参加者にインターネットで様子を発信してもらう仕掛け。江戸時代の茶室の珍しさや温泉宿の絶景など、七月に地域外の視点で発信された感想は、隠れた観光資源の発掘にもつながった。

 次回は十二月三~四日の一泊二日。七月の感想から、ソーセージの手作りや茶道の体験を盛り込んだ。県地域発元気づくり支援金を活用し、参加費は六千円。担当者は「温泉やグルメに癒やされて」と呼び掛けている。

 (問)南信州観光公社=0265(28)1747

斜面 信濃毎日新聞 16.11.2

鷹(たか)が鼠(ねずみ)を食らうように大きな権力で小さな声をかき消す。どんなに叫んでも声をあげても―。大鹿中の3年生が柳島貞康大鹿村長に宛てて書いた手紙の一文だ。小さな声が届かない理不尽への怒りが満ちる
  南アルプスをトンネルで貫くリニア工事。掘削口が設けられるのが大鹿村だ。人口千人余。豊かな自然と大鹿歌舞伎が伝承され都会から移住した人も多い。工事は10年以上にわたり、本格化すれば掘削で出る残土を運ぶ工事車両が、1日に千台以上も走る
  「音の風景が変わる」と静穏な暮らしを失う住民の不安は当然だ。その側に立つべき村と議会は、環境や安全対策の確認書を結んだ2日後に工事に同意した。「住民の理解を得たかどうかはJRが判断する」と繰り返したJR東海には脚本通りの展開か。きのう起工式にこぎつけた
鷹に鳥獣を捕らえさせる「鷹狩り」は古くから権力者に受け継がれてきた。岡崎寛徳著「鷹と将軍」によれば江戸時代は大名が鷹を徳川将軍に献上、将軍は育てた鷹や獲物を大名に与えた。鷹や鷹狩りは主従関係を継続・確認する権力と支配の象徴だった
リニア開通は近未来の伊那谷の暮らしを変えるだろう。期待も大きい。だからこそリニア風を吹かす強大な力にあおられ、日常生活の犠牲を強いられる人々の声をかき消してはなるまい。自らを鼠になぞらえる中学生の心情に寄り添って。 

生活、観光、環境に影響は… リニア南アトンネル工事着工(長野) 中日新聞 16.11.2

 大鹿村大河原で一日に執り行われたリニア中央新幹線南アルプストンネル新設(長野工区)工事の起工式には、JR東海と県、大鹿村をはじめ下伊那地域の町村や飯田市など周辺の自治体が参加した。阿部守一知事は「大きな一歩」と着工を喜んだ。

 本工事で建設するのは、長野、静岡、山梨の三県にわたる全長約二十五キロのトンネルのうち、大鹿村内の八・四キロ。村内の小渋川、除山、釜沢地区の三カ所の非常口からそれぞれ工事を始め、リニアが通る本坑に掘り進める計画。火薬を爆発させて掘削し、土を運び出しては内側をアーチ形の鋼材やコンクリートで補強する工程を繰り返していくという。

 工事はこの日をもって着工。工事契約期間は今年二月から二〇二六年十一月の約十一年間としているが、予定通りに進めば掘削は二〇二四年に終了し、ガイドウェイの整備などを経て三年後には開業が見込める。

 一方、長期間にわたる工事に対して住民は、さまざまな不安を抱えている。村の説明会では「子どもが通園、通学に使う道路をダンプが通るのは不安」「工事後に何か問題が起きたら、誰が責任を取るのか」など、日常生活への悪影響を懸念する声が相次いだほか、「工事用車両とすれ違う恐怖を感じた観光客が再び村に訪れるのか」など、観光業への打撃を危ぶむ声も上がっている。

 (リニア取材班)

◆解説 JR側は歩み寄りを

 県内初のリニア本線工事が着工した。起工式で、地元選出の代議士らの祝辞が次々と読み上げられる一方、式場の外からは「理解も同意もしていない」と訴える大鹿村民らの声が聞こえてきた。「ご理解いただきたい」と繰り返し、住民の要望に歩み寄ろうとしないJR東海に対する悲鳴のようにも聞こえた。

 大自然に囲まれた人口千人余ののどかな村にとっては、村外から大勢の作業員が毎日通勤してくるだけでも心的負担になる。ダンプカーなどの大型車両が、主要道を一日最大千七百台余も通ると言われればなおさらだ。

 土を運ぶトラックがまき散らす砂ぼこりも子どもを持つ親たちにとって心配の種。保育所前を避けるルートが完成するまでは土を運ばないよう、説明会などで要望してきたが、JR東海は要望に応える姿勢を見せない。

 掘削によって出た土の処分地では、雨で崩れて川に流れ出す危険性も指摘されている。村には豪雨で大きな被害が出た一九六一年の「三六災害」の記憶が残る。不安解消は簡単ではない。

 「想定外」は許されない。禍根を残さないためには、JR東海が本当の「歩み寄り」をするしかない。そのためには県の仲介も必要だ。今後、関連工事が始まる周辺市町村の住民も注目している。納得のいく対応で、住民の不安を一つ一つ解消してほしい。

 (服部桃)

県・JR、定期的トップ会談 リニア長野工区着工 信濃毎日新聞 16.11.2

 JR東海が2027年の東京・品川―名古屋間開業を目指すリニア中央新幹線計画で、県内路線のトップを切って下伊那郡大鹿村の南アルプストンネル長野工区(8・4キロ)に着工した1日、阿部守一知事と同社の柘植(つげ)康英社長は、今後定期的に両者によるトップ会談の場を持つことを明らかにした。大鹿村で開いた同工区の安全祈願・起工式への出席後に公表した。
 リニア工事を巡っては、国連教育科学文化機関(ユネスコ)のエコパークに登録された南アに代表される村の豊かな自然や山あいの静かな生活への悪影響が懸念されている。工事着手を前に県が10月30日に村内で開いた村関係者との意見交換会での要望を踏まえ、阿部知事が1日の式の前に柘植社長に提案した。
 式後、阿部知事は、地域住民の懸念解消に向け「私と(柘植)社長とで定期的にお話をさせてほしいと相談をし、快く受け止めていただいた。地域がより発展し、大勢の方々の理解や協力が頂けるように取り組んでいきたい」とした。柘植社長も「意見交換の場を持つという提案をいただいた。地元にもいろんな影響があり、私どもの方から十分説明すべき点もある。そういう場を設けてもらえるのは大変ありがたい」と答えた。
 トップ会談について同社広報部は「まだ口頭で話をした段階。具体的な内容は今後(県側と)協議していきたい」とした。
 南アトンネルは全長25キロ。山梨、静岡、長野の3県にまたがり、長野工区は昨年12月の山梨県早川町側の工区(7・7キロ)に次いでの工事着手。静岡市の工区は業者の契約手続きが始まっていない。

リニア長野工区着工 南アトンネル、大鹿で起工式 信濃毎日新聞 16.11.1

 JR東海は1日午前、2027年の東京・品川―名古屋間(約286キロ)開業を目指すリニア中央新幹線南アルプストンネル長野工区(8・4キロ)の安全祈願・起工式を長野県下伊那郡大鹿村で開いた。長野県内の路線52・9キロで工事が始まるのは初めて。信州の高速交通体系を激変させる可能性があるリニアが実現に向けて踏み出す。
 式は同村上蔵(わぞ)地区の作業用トンネル(斜坑)の坑口「小渋川非常口」前で開催した。JR東海の山田佳臣会長、柘植(つげ)康英社長、阿部守一知事、大鹿村の柳島貞康村長ら沿線地域の市町村長、同工区の工事に当たる共同企業体(JV)の大手ゼネコン鹿島(東京)、飛島建設(同)、フジタ(同)の役員ら約100人が出席。安全祈願式で山田会長らがくわ入れし、起工式で柘植社長らがあいさつした。
 最難関とされる南アトンネル(25キロ)の工事開始は昨年12月の山梨県早川町側に続く。長野県側から、南アの荒川東岳(悪沢岳、3141メートル)と小河内岳(2802メートル)の稜線(りょうせん)直下を貫く。柘植社長はあいさつで南アトンネル工事について「25キロにわたり、土の厚みは(国内最大の)1400メートルになる。これまでにないような大変難しい工事」と言及。鹿島を中心とするJVと共に「何をもっても安全に進めていきたい」とした。
 長野工区の作業用トンネルは、小渋川非常口と釜沢地区の2カ所の計3カ所あり、作業場を設ける準備工事を経て、年明けにも掘削を予定している。本坑(本線トンネル)掘削着手は2018年初め以降になる見込み。長野工区の掘削完了は24年度を目指す。南アトンネルのうち静岡市の工区は工事業者の契約手続きがまだ済んでいない。
 南アは国連教育科学文化機関(ユネスコ)のエコパークにも登録されており、大鹿村でのリニア工事を巡っては、自然環境への悪影響や山あいの住民生活にかかる大きな負担が懸念されている。1日も住民約50人が工事に反対を表明する横断幕を村内で掲げたほか、安全祈願・起工式の会場まで歩き抗議の声を上げた。
 県内が関連する工事では、飯田市と岐阜県中津川市を結ぶ中央アルプストンネル(23・3キロ)の山口工区(木曽郡南木曽町―中津川市、4・7キロ)と、大鹿村と下伊那郡豊丘村を結ぶ伊那山地トンネル(15・3キロ)の坂島工区(豊丘村、5・1キロ)で工事契約済み。JRは坂島工区について、来春に工事に着手したい考えだ。県内駅に関係する工事の着手は18年秋を予定している。

リニア工事 住民の要望を最優先に(社説) 信濃毎日新聞 16.11.1

 JR東海がきょう、リニア中央新幹線の南アルプストンネル長野工区(8・4キロ)の起工式を開く。
 10年以上にわたる工事になる。下伊那郡大鹿村では、住民の生活が大きな影響を受ける。安全第一、住民優先の姿勢をJRに求める。
 地元の不安は根強い。
 村の生命線といえる主要県道を通行する工事用車両は、最大で1日千台以上になる。村中心部には迂回(うかい)ルートを設置する。それでも利用できる2018年度までは、1日最大68台の車両が保育所や小学校などの近くを走る。
 大鹿村は工事開始に同意する前、JRと確認書を結んだ。工事用車両の運行日や通行時間を定めており、交通誘導員を配置し、速度低減に努めることなどを規定。JRが大気や騒音、振動を測定し、環境基準に適合しているか調査することも盛り込んでいる。
 確認書厳守は言うまでもない。今後の問題は工事でトラブルが生じた際のJRの対応にある。あくまで住民の立場に立って、解決に努めなければならない。
 工事着手に至るまでのJRの対応を疑問視する住民は多い。
 住民の理解を得たかどうかをJRが判断する姿勢を続けた。説明会開催を理由にJRが「理解を得た」と判断するのではないか、という不信感を住民は募らせた。
 そのため、村議会はJRに、村議会と村長が同意を表明した後の工事開始を求めた。結果的に同意を表明したのは、JRと確認書を結んだわずか2日後だった。住民意見を重視したとは思えない。
 議長は、同意までの日程はJRの計画に合わせざるを得なかったと述べている。JRは住民の理解と同意より工事日程を優先し、村と議会に同意を迫ったのではないか。JRと村は最優先するべきものを間違えてはならない。
 工事が順次始まる予定の沿線には、人口規模の小さな自治体が多い。大鹿村の事例は、小規模自治体がJRと対等に交渉するのが難しいことを示している。
 県の役割は大きい。住民の不安や疑問が解消されるよう、地元自治体と一緒になってJRに働き掛ける必要がある。
 今回の県の対応は後手に回ったのではないか。10月30日に大鹿村の地元関係団体の代表者らと阿部守一知事の意見交換会を開いた。本来は村内が同意を巡って混乱した時期に開催するべきだった。同様の会合は大鹿村で継続的に実施し、他の沿線自治体でも早急に行うべきだ。

「県部局も連携し対応」 知事、大鹿村でリニアの意見交換(長野) 中日新聞 16.10.31

 リニア中央新幹線の南アルプストンネル工事が十一月一日に着工する大鹿村で、阿部守一知事と柳島貞康村長、村議らの意見交換会が三十日、村役場であった。

 商工会や観光協会の幹部らを含め二十四人が参加した。柳島村長は「JR東海は大きな組織で、村が現場の担当者と話をしても上層部まで届いているのか疑問がある。県には細かい要望もJRに伝えてもらい、村民の不安軽減に一緒に取り組んでほしい」と要望。熊谷英俊議長も「県内のリニア沿線自治体全てが工事の情報を求めている。県に連絡調整の場を設けてほしい」と求めた。

 工事期間中に一日最大千七百三十六台の工事車両が通行することによる生活環境の悪化や観光客の減少対策、村の主要道路である県道松川インター大鹿線の全線二車線化など、多くの要望が出た。

 阿部知事は「工事中の観光対策など、建設事務所だけでなく(環境部など)県の部局でも連携して対応したい。意見を整理し(村へ)投げ返したい」と約束。「工事中や終了後にどういった村づくりをするのか、前向きな議論もしていきたい」と述べた。

JRとの折衝 県「協力」 大鹿のリニア意見交換会で 信濃毎日新聞 16.10.31

 県は30日、JR東海が11月1日に下伊那郡大鹿村でリニア中央新幹線の南アルプストンネル長野工区(8・4キロ)の起工式を開くのを前に、阿部守一知事と地元関係団体の代表者との意見交換会を村役場で開いた。村側からは、JRとの折衝に県側の協力を求める意見などが出て、知事は協力する考えを示した。
 村側は柳島貞康村長と村議会のほか、農業委員会、教育委員会、自治会長会、商工会、観光協会、老人クラブ、赤十字奉仕団の代表者ら計24人が出席。約30人が傍聴した。
 柳島村長は「(JRは)大きな組織。私たちの話が(十分に)上層部に届いているか疑問」と説明し、同社との折衝に県の協力を求めた。各団体からは、工事用車両の通行に伴う生活や観光への影響を懸念する声のほか、さらなる道路改良、工事に関するJR側の具体的な説明を求める意見や要望が出た。
 阿部知事は、子どもや高齢者の安全対策や観光業者への支援など、全庁を挙げて検討すると説明。掘削残土については「置きっ放しではなくJRが責任を持つよう、交渉する」と述べた。
 一方、工事に反対する村民3人が意見交換会後、それぞれ抗議書などを阿部知事に手渡した。リニア計画自体や工事着手までの過程に異議を唱え、県の指導などを求めた。

リニア工事中止を国に申し入れ 大鹿の住民団体(長野) 中日新聞 16.10.29

 リニア中央新幹線の工事中止を求める大鹿村の住民団体「大鹿リニアを止める実行委員会」は二十八日、衆議院第一議員会館を訪れ、日本共産党の本村伸子議員(東海ブロック選出)の仲立ちで、国土交通省と環境省に申し入れ書を手渡した。国交省鉄道局施設課の坂元範也補佐、環境省環境衛生審査室の伊藤史雄室長補佐ら五人が対応した。

 リニア新幹線沿線住民ネットワークなど県内外の支援者十人余が立ち合う中、代表を務める宗像充さん(41)らが、住民説明会でJR東海は「住民が理解したか判断するのは我々」と繰り返すのみで、住民の要望に対し返答がなかったと指摘。「きちんと指導してほしい」と要望した。

 坂元補佐は、住民理解について「誰がどう判断するかは難しい。そういう意見があったことは伝えたい」と返答。要望を伝えた上でJR側の返答を知らせるように、との本村議員からの求めには、対処すると応じた。

 宗像さんは、この日の懇談で「JR東海がしていることが、少しでも村の外に伝われば」と期待を示し、JR品川駅東口でビラを配り工事中止を訴えた。さらに、リニア事業中止を求める申し入れ書を持ってJR東海本社を訪問したが、本社は受け取らなかった。

リニア南アトンネル長野工区 工事着手の中止求め2省に申し入れ 信濃毎日新聞 16.10.29

 JR東海のリニア中央新幹線計画に反対する下伊那郡大鹿村の住民らが28日、11月1日に予定する南アルプストンネル長野工区(8・4キロ)の工事着手中止を求め、工事実施計画を認可した国土交通省や環境省に申し入れ書を提出した。
 申し入れ書は、村と村議会が工事着手への同意を表明したのが、工事着手の前提となる「確認書」締結の2日後と早く、「村の同意がJR東海のスケジュールのためになされたのは明らか」と主張。2014年の計画認可時に、当時の太田昭宏国交相が「地元住民への丁寧な説明を通じて地域の理解と協力を得ること」とJR側に求めたことに反するとした。
 反対派住民でつくる「大鹿リニアを止める実行委員会」の宗像充代表(41)と、メンバーで村リニア対策委員だった前島久美さん(34)らが東京・永田町の衆院議員会館で両省の担当者らと会談し、申し入れ書を手渡した。宗像代表は「村の民主主義にJRが介入している。適切に指導してほしい」と要望。国交省の担当者は「反対の意見があることをJR側に伝える」とした。
 住民らはこの日、リニア駅となる東京・品川駅で抗議活動をした。

中川村も運搬車両の安全面や排ガス懸念  リニアでJR東海報告会(長野) 中日新聞 16.10.27 

 JR東海は二十五日夜、中川村でリニア中央新幹線の南アルプストンネル(長野工区)工事に関する報告会を開いた。参加した村民約三十人から、発生土を運搬する大型車両が通る県道松川インター大鹿線の渡場(どば)交差点付近の環境悪化を懸念する声が相次いだ。

 交差点付近の工事用車両の往復通行台数は、県道のトンネル新設工事が終わる予定の二〇一八年四月末までは一日最大百七十八台、道路拡幅工事完了後の一九年四月から約千三百五十台を見込んでいる。一方、県道で昨年調査した日中の交通量は、大型車が五百八十二台だった。

 参加者は「危なくて子どもを自転車通学させられない」「トラックの排ガス規制強化を」「今の村の環境を基準に対策を講じて」「交差点での交通シミュレーションを見たい」「信号機を撤去して環状交差点にしては」などと訴えた。

 JR側は、交通誘導員を配置して信号待ち車両を減らすこと、遮音板設置などの対策案を提示。担当者は工事車両通行について事前に情報提供する意向を示し「発生土運搬を始める前に、周辺住民個々の意見を聞く場を設け、事情を把握しながら工事を進めたい」と述べた。

 (小沢伸介)

◆大鹿村長らと知事意見交換 村役場で30日

 リニア中央新幹線の南アルプストンネル工事が十一月一日に大鹿村で着工するのを前に、阿部守一知事は三十日、柳島貞康村長や村議、観光団体幹部らと意見交換会を村役場で開く。会議は公開で一般傍聴もできる。

 着工を巡っては、村議会が二十一日に四対三の賛成多数で同意を決め、村も同日に同意表明した。村民の間では賛否が割れ、大量の工事車両が走ることを懸念し、トンネル掘削で発生する土砂処分先が決まらない段階での着工に反発もある。阿部知事は二十一日、JR東海に対し「大鹿村など関係する市町村の切実な要望に丁寧かつ誠実な対応を求める」と注文した

知事、大鹿で意見交換会 30日 リニア起工式を前に 信濃毎日新聞 16.10.26

 JR東海が下伊那郡大鹿村で11月1日、リニア中央新幹線の南アルプストンネル長野工区(8・4キロ)の起工式を行うのを前に、県が今月30日、阿部守一知事と地元関係者が意見交換する場を設ける方向で調整していることが25日、分かった。知事は工事着手を前に地元関係者の意見を聞き、JR側に伝える見込みだ。
 意見交換会は村内で開き、村や村議会、村観光協会といった各種団体の参加を想定。詳細は検討中だが、公開の場で行う方針という。出された意見は起工式などの機会に知事がJR側に伝える見通し。
 ベトナム訪問中の阿部知事は25日の取材に「リニア建設は関係の皆さんにとって長年の悲願。県としては建設の推進に協力していく立場」と説明。その上で「中には生活環境などについてさまざまな不安や懸念を持っている人もいる。地元の村長、村議会などと率直な意見交換をして、意識を共有したい」と述べた。
 2027年東京(品川)―名古屋間の開業を目指すJR東海のリニア中央新幹線計画を巡っては、大鹿村の柳島貞康村長と村議会が21日、県内初の本体工事となる南アトンネル長野工区の工事着手に同意。同社はこれを受け、11月1日に長野工区の起工式を開くと発表していた。

リニア本体工事 中川で報告会 JR東海 信濃毎日新聞 16.10.26

 JR東海は25日夜、下伊那郡大鹿村で11月1日に工事着手を予定する南アルプストンネル長野工区(8・4キロ)を含むリニア中央新幹線の本体工事などについての住民向け報告会を上伊那郡中川村で開いた。約30人の出席者からは村内での車両通行に伴う生活環境の悪化を懸念する声が相次いだ。同社は今後、自治会単位などで説明会を開く意向を示した。
 本体工事で出る掘削残土運搬などの工事車両通行に備え、中川村の県道松川インター大鹿線で改良工事が進んでいる。県道改良後、工事車両の台数は大鹿村内の残土仮置き場を使った場合、1日平均最大約1350台を見込む。
 質疑では車両の通行時間帯に子どもの通学が重なることを心配する声が上がり、JR側は安全確保のため通学路に誘導員を置くことを考えるとした。季節によって車両の通行時間帯を遅らせてほしいとの出席者の要望に、工事担当者は検討する意向を示した。
 県道を使って通勤する人や観光業に対する配慮についても質問があり、JR側は長期休暇時や地域で催しがある時は極力、車両を走らせず、普段の工事内容もあらかじめ地域に通知するとした。
 同社の沢田尚夫・中央新幹線建設部担当部長は、沿線に集落がある県道渡場交差点の円滑な交通や付近の生活環境保全に向け、「交通量のシミュレーションも使い、住民の声にも耳を傾けながら対策を検討したい」と述べた。

JR東海、環境保全計画を提出 リニア工事で大鹿村と県に(長野) 中日新聞 16.10.26

 リニア中央新幹線の南アルプストンネル新設(長野工区)工事と、大鹿村内の発生土仮置き場計画地三カ所について、JR東海は二十五日、県と大鹿村に、環境保全措置などをまとめた資料を提出。自社ホームページ上に公開した。

 環境影響評価(アセスメント)書に基づき、大気や水、動植物などの環境要素ごとの保全措置の方法を記載。工事計画がまとまってきたとして、措置対象の工事箇所も載せた。今後実施する事後調査やモニタリングについては、場所と頻度を記述した。

 大鹿村民を対象とした九、十月の説明会で既に発表した内容以外には、植物の保護に関する措置を新たに盛り込んだ。希少種の生息場所をできるだけ回避して工事施設やヤードを設計し、影響の低減措置をとる。どうしても回避できなかった場合は、工事前に移植などをするとしている。

 具体的な回避場所や種は、希少種保護のため公開した資料では省いた

発生土置き場候補地、町に取り下げ要望へ 松川・福与地区リニア対策委(長野) 中日新聞 16.10.24

 松川町生田の福与ふる里ふれあい館で、第二回福与地区リニア工事対策委員会が開かれた。JR東海から、町内のリニア中央新幹線工事の発生土置き場候補地の現状などについて説明があり、対策委はこの説明に基づき、候補地取り下げを求める要望書を町に提出することを決めた。

 委員会には、地区の対策委員や町職員のほか、傍聴に来た住民ら計三十人ほどが参加した。

 北原忍区長によると、JR東海は、候補地三カ所のうち丸ボッキ地区について、地権者への説明を終え、今後は土地に立ち入って詳細設計に入るなどと説明。埋める土の量が、当初の三十万立方メートルから三十六万立方メートルに増えたことも報告した。

 対策委は、候補地の選定方法が不透明なことや、発生土を置く危険性などを問題視し、候補地の取り下げを町に求める要望書を提出することを決定した

“密室”で僅差の賛成 リニア工事着工、大鹿村議会同意(長野) 中日新聞 16.10.22

 「密室」での結論は賛成四、反対三の僅差だった-。工事車両による生活環境の悪化を懸念する声は根強く、住民の賛否が割れるリニア中央新幹線の南アルプストンネル工事。二十一日、着工同意の是非を非公開で審議した大鹿村議会の判断は、身内の村議からも「村民の反発が出る」と疑問の声が上がった。

 村議八人が集まった村役場の一室では、近くに異例の規制線が張られ、一時間半の議論が続けられた。複数の村議によると、途中まで賛否を保留する村議もおり、最後まで同意に至るかは分からない状況だったという。

 終了後に会見した柳島貞康村長と熊谷英俊議長は「(過去に)リニアを巡る発言から傍聴人に激しく詰め寄られた議員がいた」として「自由に議論するため非公開とした」と説明した。村役場に駆けつけた住民団体からは「密室での決定は住民軽視だ」と批判の声が上がった。非公開を巡っては村議の意見も割れた。

 同意に反対した東村邦子村議(67)は「議論して悩んだ結論だという面が見えなくなってしまった」と非公開に疑問を呈した。同じく反対した河本明代村議(59)は「確認書の公表からわずか一日余り。議会として村民への説明責任を果たしたとは言えない」と述べた。

 一方、賛成した斎藤栄子村議(58)は非公開はやむを得ないとの立場。「村議も賛成、反対の支持者がいて板挟みで心苦しさがある。熟慮の上での非公開だったのでは」と理解を求めた。

◆知事、歓迎と注文

 阿部守一知事は「着工が広く県の地域振興につながる第一歩となると期待している」と歓迎する一方、JR東海に対し「大鹿村など関係する市町村の切実な要望に丁寧かつ誠実な対応を求める」と注文した。

リニア工事「理解、進んでいない」 反対住民が大鹿村長に文書提出(長野) 16.10.22

 二十一日、大鹿村と村議会がリニア中央新幹線工事の着工同意を僅差で決めたことを受け、反対する住民団体「大鹿リニアを止める実行委員会」代表の宗像充さん(41)は「結果は議員間でも意見が割れている証拠。住民の理解はまだまだ進んでいない」と強調した。

 午前八時前、宗像さんらは村役場近くに立ち「リニア反対」のプラカードを掲げた。村議会の会合が始まった後も、マイクで「もっと住民の方を向いて議論して」と庁舎に向けて呼び掛けた。

 宗像さんらは村議会の会合前、拙速な同意に対する反対文書を柳島貞康村長に手渡した。「村民への説明責任を果たしていない。会合も公開するべきだ」と訴えた。

 九~十月の住民説明会では、大量の工事車両が走ることによる生活環境悪化への不安や補償を訴えた。JR東海は「努力する」「ご理解いただきたい」と述べるにとどまり、納得のいく回答は得られなかったという。村が住民の不安解消より、工事を急ぐJR東海の立場を重んじているように感じる。

 リニア工事の禁止を求める仮処分命令を申し立てている住民グループの弁護団は二十日、村長と議長あてに抗議書を提出した。確認書締結に抗議し、着工同意を中止して住民投票するよう求めている。

JR、11月1日起工式発表 リニア長野工区 信濃毎日新聞 16.10.22

 2027年東京(品川)―名古屋間の開業を目指すJR東海のリニア中央新幹線計画で、同社は21日午後、11月1日に下伊那郡大鹿村で南アルプストンネル長野工区(8・4キロ)の安全祈願・起工式を開き、工事に着手すると正式に発表した。リニアの県内路線約50キロでは初の本体工事で、準備工事を経て、来年初めごろにも作業用トンネルの掘削を始める。
 大鹿村の柳島貞康村長と村議会(8人)は21日午前、村役場で協議し、南アトンネル長野工区の工事開始に同意。JRの発表はこれを受けた。
 同社によると、本体工事の起工式は、昨年12月の山梨県早川町の南アトンネル山梨工区(7・7キロ)、今年1月には起点駅の東京・品川駅などで行っており、3都県目となる。長野工区の工事期間は26年11月まで。
 大鹿村の安全祈願・起工式には、JR東海の山田佳臣会長、柘植(つげ)康英社長のほか、阿部守一知事や関係市町村長らが出席する予定。大手ゼネコン鹿島(東京)を中心とした共同企業体(JV)関係者も参加する。
 JR東海は工事着手に合わせ、暴力団などの反社会的勢力を工事から排除するための協議会を県警などと設置する予定。日程は「関係機関と調整中」(広報部)としている。
 リニア建設で最難関とされる南アトンネルは長野、静岡、山梨3県にまたがる全長約25キロ。国内のトンネルでは最も深い地表から約1400メートルの場所を掘削する計画だ。

リニア着手、大鹿村同意 南アトンネル 県内初、本体工事 信濃毎日新聞 16.10.22

 2027年東京(品川)―名古屋間の開業を目指すJR東海のリニア中央新幹線計画を巡り、下伊那郡大鹿村の柳島貞康村長と村議会は21日午前、村役場で協議し、県内初の本体工事となる南アルプストンネル長野工区(8・4キロ)の工事着手に同意すると決めた。村側は協議後、電話でJR側に伝えた。同社は「地域の皆さまにはご理解を深めていただけたと考え、工事を始めさせていただく」(広報部)と表明した。
 JRは11月1日に村内で安全祈願式を開き、準備工事に取り掛かる方向で調整を進めている。リニア計画で最難関とされる南アトンネル(全長約25キロ)は長野、静岡、山梨3県にまたがる。山梨工区(7・7キロ)は昨年12月に起工しており、長野側からも掘削のめどが立ったことになる。
 村議会が冒頭以外非公開で開いた協議には村議全8人が出席。柳島村長と共に、南アトンネル長野工区の工事開始について同意の可否を議論した。柳島村長は全会一致が望ましいとしていたが、採決となり、議員側は議長を除く7人中、賛成4人、反対3人の賛成多数で同意を決めた。
 約2時間の協議を終えた柳島村長は「確認書や住民説明会で住民の不安は低減された。村内には工事に対し賛成、反対さまざまな声があるのは承知している。村民の皆さんは心を一つにしてご協力いただきたい」と述べた。熊谷英俊議長は「JR東海に村民から要望する中、環境負荷の低減をある程度勝ち得た。議員はそれぞれの意思を表明する中で議会は同意を支持することになった」とした。
 JRが14日に開いた2回目の全村民対象の工事説明会では出席者から異論もある中、JRが「住民理解を得た」と結論付け、17日に工事着手の意向を正式に村側に伝達。19日には工事用車両の運行ルートなどをまとめた確認書を同社と締結、内容を公表した。
 村議会は今月3日、工事は村議会と村長が「工事開始への同意」を表明した後に行うなど8項目の意見書をJR側に提出し、JR側も尊重すると回答していた。21日の協議はこれに基づいた手続きで、確認書締結からわずか2日間での同意となった。
 大鹿村ではリニア本線のトンネル2本の掘削工事で約300万立方メートルの残土が発生する見込み。1日最大1736〜1350台の工事用車両が生活道路を通行する。JRによる14日夜の工事説明会では、生活環境を脅かされるとの懸念に加え、「住民理解」の捉え方を巡り、工事に反対の意見があるにもかかわらず「理解が進んだ」とする同社の姿勢に村内から批判も出ていた。
 反対派住民でつくる「大鹿リニアを止める実行委員会」は21日午前の村長と村議会との協議前、確認書締結を「結論ありきの拙速な手続き」として抗議し、工事開始の同意に反対する意見書を柳島村長らに提出した。

リニアに同意 民意をくみとったのか(社説) 信濃毎日新聞 16.10.22

 JR東海のリニア中央新幹線計画の南アルプストンネル長野工区(8・4キロ)について、下伊那郡大鹿村と村議会が工事開始に同意することを決めた。
 これを受け、JRは11月1日に起工式を行うと発表している。10年余にわたって村民生活に影響を与える工事である。着工の前提となる確認書をJRと締結する前に、村と議会は内容を村民に十分に周知し、民意をくみとったのか。手続きへの疑問は残ったままだ。
 JRは本格着工する前提として「住民理解」が必要としつつ、理解を得たかどうかはJRが判断する考えを示してきた。村民には説明会の開催を理由に、JRが「理解を得た」と判断し着工するのではないかという不信感があった。
 そのため、村議会は3日、村議会と村長が同意を表明した後の工事開始をJRに求める意見書を提出している。工事内容に納得できるのか判断するのは村民である。意見書は当然の対応といえる。
 ただし、村と村議会には村民がJRの対応に納得したのか、見極める責任があったはずだ。
 JRの説明会では、出席者から工事に対する不安や疑問が出た。確認書はそれらに対するJRの回答でもある。それなのに村が確認書を公開したのは締結した後だ。これでは村民に異論があっても反映できない。さらに締結から同意表明まで、わずか2日である。
 議長はJRに意見書を出した後、「各議員で住民の意見をくみ取った上で、工事開始に同意できるか全村議で協議する」と話していた。この約束は守られたと言えないだろう。村政に対する不信も生みかねない。
 県内のリニア工事は、南アルプストンネルのほか、伊那山地トンネルや中央アルプストンネルといった長大トンネルが控えている。関係市町村が今後、同様の対応を続けると、住民と自治体、JRの信頼関係は築けない。
 JRもこれまでの対応を改める必要がある。大鹿村で最後に開いた説明会でも「住民理解」の考え方を巡り、村民から何度も疑問の声が出た。JRは「(手続き論で言えば)法律上はもう工事を進めていい状態になっている」と述べた。住民の不安と真摯(しんし)に向き合う姿勢があるのかが問われる。
 県内の関係自治体の首長には、JRの対応について「むしろ住民理解を遠ざける要因になっている」という見方がある。住民が理解し納得しなければ、予定通りに着工できたとしても工事を円滑に進めることは難しくなる。

長野工区11月1日着手 リニア工事 JR東海が調整 信濃毎日新聞 16.10.21

 JR東海がリニア中央新幹線南アルプストンネル長野工区(8・4キロ)の安全祈願式を11月1日に下伊那郡大鹿村で開き、工事に着手する方向で調整していることが、複数の自治体関係者への取材で分かった。大鹿村では10月21日に村議会が柳島貞康村長と協議し、工事開始に同意する見込み。建設を巡る住民らの根強い不安や異論を残したまま、県内初の本体工事に入っていくことになる。
 同社の沢田尚夫・中央新幹線建設部担当部長は14日の全村民を対象とした工事説明会後、「住民理解が得られた」と表明。17日に工事着手の意向を村に伝え、19日には、長野工区着手の前提となり、工事用車両の通行時間やルートなどをまとめた確認書を同社と村で取り交わしていた。長野工区の作業用トンネル坑口(非常口)の作業場は既に整地が進んでいる。
 工事着手を巡り、県内沿線の住民には、トンネル掘削で生じる残土量に応じた埋め立て地や仮置き場が決まっていないことや、工事用車両の増加などを懸念する声が根強い。長野県など沿線1都6県の住民らが国を相手に工事実施計画の認可取り消しを求めた訴訟は東京地裁で係争中だ。
 同社広報部は取材に「関係機関との調整はしているが、安全祈願式の日程や場所はまだ決定していない」としている。

リニア 住民理解置き去り認可2年、工事は加速(核心) 東京新聞 16.10.20

リニア中央新幹線計画が、国の工事認可から十七日で二年を迎えた。この間、東京・品川-名古屋間の二〇二七年開業に向け、沿線各地で相次いで着工。政府が財政投融資(財投)の支援を決めるなど、計画は加速しているようにも映る。一方で、本格化する南アルプストンネルの掘削は最難関とされる上、着工に向けた地元合意を巡って住民の反発を招くなど課題はくすぶり続けている。 (石原猛、小笠原寛明)(1020日 紙面から)

JR、リニア来月着手方針 大鹿村、21日に同意へ 信濃毎日新聞 16.10.20

 下伊那郡大鹿村は19日、リニア中央新幹線・南アルプストンネル長野工区(8・4キロ)を含む村内の本体工事に関する確認書をJR東海と取り交わし、内容を公表した。住民への周知期間を経て、21日に村議会が柳島貞康村長と協議し、工事着手に同意するかどうか判断を下す。これまでの村長や村議会の対応から、同意される見通しだ。関係者によると、同意が得られた場合、JRは11月中に初の県内本体工事に着手する方針だ。
 長野工区着手の前提となる確認書は、工事開始後の同社の対応を取り決めた。同社が17日に案を提示。議会から了承を得た村が18日に修正案を返していた。村や村リニア対策委員会がこれまでの同社との協議で要求し、主に口頭や説明会で回答を得ていたことを改めて書面化した内容で、工事用車両の通行に関することを主として14条にわたる。
 車両の通行ルートは、国道152号や県道松川インター大鹿線など7路線に限定。JRは、小学校や保育所、福祉施設が近接する国道152号では通学などの時間帯に車両台数を低減するよう努力し、大気や騒音、振動の測定を定期的に行うことも定めた。村は、残土(発生土)に関しては、工事用車両の台数低減のために村内での有効利用を図るよう努めるものとした。
 村議会側が修正を求めていた工事影響の低減対策では、「追加の環境保全措置をとるなど」との文言を追加。NPO法人「日本で最も美しい村」連合(東京)に加盟するなど豊かな自然に囲まれた山間地の同村で、環境基準を画一的に適用しないように担保を取ることを念頭に置いた。
 長尾勝副村長は「当初は(JRから)文書の取り交わしもしないと言われていた。修正部分も入れられ、配慮していただいた内容となったと感じている」と述べた。熊谷英俊議長は「事前に決められることは一定程度対応してもらえた。残土などで不確定な部分はあるが、何かあった都度に協議していただきたい」とした。
 JRは17日、住民理解を得たとして工事着手の意向を村に伝達。既に釜沢地区の作業用トンネル坑口(非常口)の作業場は整地が進んでいる。同社広報部は工事着手の具体的な時期について「今後、村で改めて協議があると聞いている。回答は差し控えたい」とした。

大鹿村会、確認書案了承 締結後にリニア工事同意か判断 信濃毎日新聞 16.10.19

 下伊那郡大鹿村議会は18日、全員協議会を開き、リニア中央新幹線南アルプストンネル長野工区(8・4キロ)を含む本体工事に関してJR東海が村に提示していた確認書案の内容をおおむね了承した。村は議会側との協議の結果、環境保全について一部の文言を追加した修正案を同社に提出。修正案に応じれば、近く正式に取り交わす。締結後に確認書を公表し、数日間の周知を経てから、柳島貞康村長と議会側が協議し、工事着手に同意するかどうか判断する。
 JR東海は17日、住民理解を得たとして工事着手の意向を村に伝えるとともに、工事用車両の運行ルールや環境保全策など10項目余について同社の対応を取り決めた確認書案を村に提示した。これを受け、柳島村長は全村議8人が出席した18日の協議会で案を報告し、対応を話し合った。
 全員協議会では、騒音や振動など環境保全措置に関わる項目で一部修正を求めることを決めた。修正を前提として議会として案を了承するかどうかも採決し、議長を除く7人中4人が賛成、3人が反対で、賛成多数で了承された。出席者によると、賛成の側からはこれまでに村などが求めていたことがほぼ網羅されているとの意見があった。反対の意見は、案の内容を精査する時間が必要―などだった。
 この日に工事着手について同意の判断も下すよう求める声もあったが、締結した確認書を住民に説明する期間が必要―として持ち越した。
 協議を終えた熊谷英俊議長は、議会としては基本的に工事容認との立場を説明しつつ「まだ不安材料を拭い切れていない住民もいる。異論をしっかり拾い上げたい」と強調。柳島村長は同意の判断について「個人的には、確認書を取り交わした段階で村が(工事に)同意したとの考えもある」と述べつつ、確認書の正式締結後に設ける村長も含めた協議の場で可否を決めたいとした。
 一方、反対派住民でつくる「大鹿リニアを止める実行委員会」はこの日の全員協議会前、工事着手に同意せず、同意の判断の議論を住民に開かれた場で行うよう求める要望書を村議会事務局に提出した。

リニア工事着手意向 大鹿村に伝達 JR東海、正式に 信濃毎日新聞 16.10.18

 JR東海は17日、下伊那郡大鹿村に対し、リニア中央新幹線・南アルプストンネル長野工区(8・4キロ)の工事に着手したいとの意向を正式に伝えた。併せて、工事開始後の同社の対応について10項目余を取り決める確認書案を提出した。確認書締結は工事着手の前提となり、村側は18日に村議会全員協議会で内容を示し、対応を話し合う。
 同社の沢田尚夫・中央新幹線建設部担当部長は14日の全村民を対象とした工事説明会後、「住民理解が得られた」と表明。村によると、沢田氏が17日、村役場を訪れ柳島貞康村長に確認書案を手渡し、これまでに住民理解が進んだとして、工事着手したいとの意向を伝えた。
 確認書案は、協定の締結などを念頭に村が9月に同社に提出していた協議書に基づいた内容。協議書では工事用車両の通行関連を主とし環境保全措置や残土処分について9項目を載せていた。確認書案にはほかに、工事により経済損失があった場合の補償対応も盛り込まれたという。
 村議会も今月上旬にJRに出した意見書で、村との確認書締結を求めていた。
 また、同社は17日までに、鉄道の軌道部分に当たる「ガイドウェイ」組み立て作業場について、候補地となっている同郡喬木村堰下(せぎした)地区の地権者らを対象に説明会を開催。村によると、用地の範囲約5・5ヘクタールを示して活用したいとの意向を示した。近く、地権者でつくる協議会が発足する。

JRが確認書案、大鹿村長に提出 リニアの工事車両問題(長野) 中日新聞 16.10.18

 JR東海の沢田尚夫・中央新幹線建設部担当部長らが十七日、大鹿村役場を訪れ、村内のリニア中央新幹線工事について、村が締結を求めている確認書の案を柳島貞康村長に手渡した。村は十八日の村議会全員協議会で内容を示し、対応を協議する。

 村によると、確認書は、村内を通る工事車両に関する事項を中心に十項目以上。柳島村長が九月二十三日にJR東海に提出した協議書や、村議会が三日に提出した意見書の内容も取り入れられているという。

 沢田部長は十四日の説明会後「住民の理解を得た」との立場を示した。JR東海は村と確認書を締結した上で村長、村議会の同意を得て着工する見込み。

リニア、各地の懸念を共有 飯田で7人が不安語る 信濃毎日新聞 16.10.17

 飯田下伊那地方各地で工事着手に向けた準備が進むリニア中央新幹線計画の情報共有を図る「リニアのふあんを語る集い」が15日、飯田市内であった。リニア本線が通る下伊那郡大鹿、豊丘、喬木の3村と飯田市の住民7人が工事に対して抱える懸念や不満をそれぞれ語り、約60人が聞いた。
 JR東海が14日夜に最後の工事説明会を開いた大鹿村の釜沢地区の自治会長、谷口昇さん(46)は、工事の是非を巡り地区内できしみが生じている現状を報告。リニアに関して話し合うことに対して「萎縮した村の雰囲気を変えないといけない」と述べた。同村の宗像充さん(41)は「工事に問題があるならば、取りやめる選択肢を(住民が)持つことが重要」と話した。他の参加者からは、工事に不安を持つ住民に行政が寄り添えていない―などとの意見も出た。
 集いは、伊那谷の自然を学ぶ会が主催。米山義盛代表(61)=下伊那郡松川町=は「いろいろな視点を学びながらリニアについて考えていきたい」と話した。

ウラン鉱床点在、生活道路にトラック… リニア工事、拭えぬ住民不安(岐阜) 中日新聞 16.10.17 

◆瑞浪・日吉で来夏にも着工 

 JR東海が二〇二七年の開業を目指すリニア中央新幹線の計画では、県内には駅一カ所、地上とを結ぶ非常口七カ所が設けられる。JR東海は、県内で最初に、瑞浪市日吉町南垣外(みなみがいと)の日吉トンネル南垣外工区について工事契約を結び、来夏にもトンネル工事着工を想定する。地元住民は、環境問題や工事期間中の安全など計画に不安を抱きながらも、工事を受け入れる方針を固めた。

 森や田んぼが広がり、静寂の中に、鳥や虫の鳴き声が聞こえる。七十八世帯が暮らす日吉町南垣外は野生の動植物にあふれ、瑞浪市でも、自然豊かな場所として知られる。

 JR東海は、この地域に約七・四キロの地下トンネルと、地下と地上とを斜坑でつなぐ非常口を設けるほか、発生する残土の埋設を計画。すでに工事用道路や歩道の整備などの準備工事に着手しており、今年中に起工式を行い、来夏にトンネル工事を始める予定だ。

 計画によると、南垣外工区では、十トントラックなどの工事車両の通行が一日平均で最大百六十台に上る。百三十万立方メートルの残土が出ると想定し、このうち八割強の残土を同工区に埋め立てる。残りの二割弱の残土の行き先は、まだ決まっていない。

 地元住民は、二〇一四年十二月、JR東海が同町で開いた地元説明会で、初めて計画の内容を知ったという。一年後の一五年十二月に南垣外の自治会でリニア対策委員会を編成。リニア工事に向けた地元の要望や意見、問題をまとめた。

 自治会が「反対はしない」との方針を決めたのは今年一月。自治会長の熊谷盛治さん(65)は「理由は、国家的プロジェクトに反対するのは現実的ではないに尽きる。心の中ではもちろん、全員が反対している。住民には何のメリットもなく、迷惑でしかない。だが、反対闘争をすれば、みな疲弊してしまう。苦渋の選択だった」と打ち明けた。

■安心安全求める

 JR東海と住民の意見交換会は、一五年十一月から今年九月まで四回あった。日吉町周辺には、ウラン鉱床が点在していたり、狭い生活道路の市道を十トントラックが走ったりするため、住民はこれまで、具体的な対策について要望を出してきた。

 今月二、六日には、県内で初めて、本格的なトンネル工事説明会が日吉町で開かれ、計百四十人以上が参加した。関係者以外には非公開で行われ、説明会後、JR東海の中央新幹線岐阜工事事務所の渡辺隆所長は「生活道路の安全対策やウラン鉱床を心配する声が上がった。だが、万全の管理体制で進めるので、安全は確保できると思う」と話した。

 しかし、地元住民の多くは「説明は十分ではない」と受け取る。小学六年生の男児を育てる会社員の女性(49)は「息子が大きくなって、一度出て行っても、また戻ってきたいと思えるような、ふるさとの自然を残しておきたい。本当はこの自然を壊したくない」と憤りを示す。熊谷さんは「今後も意見交換会を開いて、生活の安心と安全を守れるよう交渉を続けたい」と話した。

 (篠塚辰徳)

 <リニア中央新幹線>2027年の開業を目指し、東京・品川-名古屋間の約285キロを結ぶ。県内の路線は2割弱。県内では岐阜県駅と中部総合車両基地、変電施設2カ所、山岳部の非常口7カ所を設ける。

リニア関連工事「住民の理解得た」 JR側、大鹿で説明会(長野) 中日新聞 16.10.16

 JR東海が十四日夜に大鹿村で開いたリニア中央新幹線の南アルプストンネル関連工事の説明会は、参加した住民七十人から質問や疑問の声が相次ぎ、午後七~十時半まで続いた。終了後、JR側は「住民の理解を得た」と言い切った。これ以上の説明会は開かず、村と工事に関する確認書を交わして着工に動きだす考えだが、住民の不安や不満が強く残る中で、村が確認書に応じるか注目される。

 「事業主であり、リニア工事の責任はJRにある。着工の判断は住民の多数決や村の同意を得る問題ではない。私たちが判断する」

 沢田尚夫・中央新幹線建設部担当部長は、参加者から「住民の理解と同意をどう考えているのか」と問われると、こう答えた。一方で「村長が反対と言っているうちはできない」とも述べた。

 住民の間では、工事で発生する土砂の処分先や土砂を運ぶトラックの運行に対する不安や不満が根強い。特に村民の生活に欠かせない県道松川インター大鹿線は、ピーク時に千七百台の車両が通行する。全線二車線化を求める声が少なくない。

 九月の住民説明会でも二車線化や土砂処分先が決定した後の着工を求める声が上がったが、この日もJR側はトンネルの新設や道路拡幅工事で対応する従来の回答を繰り返した。「工事で住民生活に影響が出ることは承知している。不満をなくす努力をしていく」と語っても、新たな対応策は打ち出さなかった。

 参加者からは「住民自治をどう考えているのか」との声も上がった説明会。終了後、沢田部長は「説明会は終わり。次のステップに移りたい」ときっぱり語った。

 (沢田佳孝、服部桃)

◆住民ら不安や憤り 飯田で集い

 リニア中央新幹線に関連する工事の影響や移転に対し、住民らが不安な思いや現状を述べる「リニアのふあんを語る集い」が十五日、飯田市鼎中平の鼎文化センターで開かれた。約六十人が参加し、大鹿村、豊丘村、喬木村、飯田市上郷飯沼の議員や住民計七人が、各自治体の近況を報告した。

 飯田下伊那地方の自然を学び守っていく「伊那谷の自然を学ぶ会」が主催。大鹿村からは、大鹿リニアを止める実行委員会の宗像充さんらがこれまでの経緯を紹介。宗像さんらが要望している住民主体の説明会についても「村は住民が勝手にJR東海と交渉してくれと、無責任。不信感を持つ」と憤りを示した。

 このほか、豊丘村神稲の源道地の発生土置き場候補地を、JR東海が断念するまでの住民の動きや、喬木村のリニア工事による壬生沢川の水害の恐れなども報告された。

 リニア県駅が建設される飯田市上郷飯沼の北条地区については、大坪勇さんが九月三十日の住民説明会の内容を説明した。

 市が代替地候補として示したエリアの地権者と事前に話し合いがされなかったことに対し「ずさんな計画」と指摘。駅周辺整備区域の活用方法やJR飯田線の新駅設置に疑問を呈した。

JR側、工事の都合強調 リニア、大鹿で住民説明会(長野) 中日新聞 16.10.15

 リニア中央新幹線の南アルプストンネル長野工区の関連工事で、JR東海は十四日夜、工事現場となる大鹿村で二度目の住民説明会を開いた。九月七日にあった一回目の説明会では、トンネル掘削で発生する大量の土砂を運ぶ工事車両について、住民から不安や疑問の声が相次いだ。こうした問題を解消するのが狙いだ。

 JRは、県道の改良工事などを今秋から着手し、全長八・四キロの本線トンネルは年明けから着工する計画。

 この県道松川インター大鹿線は村民の暮らしに欠かせない生活道路になっており、工事車両が一日最大千七百台が通行する。

 JRはトンネル二本を新設し、五カ所で拡幅工事をする。県道の二車線化を求める声があるが「不都合が生じた場合、県と相談して対応する」と現段階での二車線化を否定。渋滞、事故の心配については「運転手を教育し、交通誘導員を配置する」とかわした。

 工事に伴う土砂は村内分で三百万立方メートルにものぼり、ナゴヤドーム二個分弱の規模。土砂の最終処分先が決まらない段階で工事を始めることへの反発が根強い。

 JRは「工事を始める段階で、すべての運搬先を確保するのは難しい。村内の仮置き場は、めどがほぼ立っている」と工事の都合を強調し、処分先決定前に着工する姿勢をあらためて示した

大鹿でリニア説明会 JR「住民理解得られた」 信濃毎日新聞 16.10.15

 JR東海は14日夜、今秋中ごろの工事着手を目指すリニア中央新幹線の南アルプストンネル長野工区(8・4キロ)について、下伊那郡大鹿村で全村民対象の2回目の工事説明会を開いた。同社の沢田尚夫・中央新幹線建設部担当部長は終了後、「今日の説明会を終えて住民の理解が得られたと考えている」と述べた。今後の工事説明会は予定されておらず、沢田氏は「工事着手の条件は整った」と強調。リニア計画は県内初の本体工事開始に向けて大詰めを迎えた。
 一方、説明会後、反対派住民でつくる「大鹿リニアを止める実行委員会」が記者会見。代表で同村上蔵地区の宗像充さん(41)は「これまでより一層理解と同意が遠くなった」と述べ、JRの姿勢を批判した。
 また、JR側は、大鹿村長と村議会の同意後に工事を始めることなどを求めていた意見書に関し、口頭で回答したことを明らかにした。村議会によると「基本的には意見書の通りに対応する」との回答があった。
 JR側はこれまで工事着手の見極めは、事業者に課された義務として「第三者にお伺いを立てるというものではない」としてきた。村議会は今月3日、南アトンネル本体工事は、村議会と村長が「工事開始への同意」を表明した上で行う―などとする8項目の意見書を提出していた。
 村議会によると、回答は意見書を尊重するといった趣旨だったが、最終判断は従来通りJR側が決めるとの内容だった。今後、全村議8人と村長により、工事開始に同意するか協議する見通しだ。
 自治体との協定締結に関し、同社は工事用車両の運行計画や環境保全策について村と確認書を取り交わす予定と説明。これを踏まえてJR側が工事着手するかどうか決め、村側が同意するかどうか判断することになる。
 同社はこれまでに、工事着手の前提となる「住民理解」を得るため、9月7日に全村民対象の説明会を開き、その後、計4カ所での自治会単位の説明会を順次実施してきた。2回目の全体説明会は「(住民に)より理解を深めてもらうため」として開き、自治会単位の説明会などで受けた質問や要望に対して同社の考えを改めて示した。工事への「住民理解」は「社員が肌で感じる村の状況も重要な判断要素」とした。
 住民ら約70人が出席。質疑では、住民側がこれまでと同様の説明だとして「JRに歩み寄りが見られない」と批判の声が上がった。住民が主催する説明会の開催を求める提案をしたのに対し、同社は否定的な姿勢を示した。

リニア工事、観光に悪影響も 大鹿村協会、県と意見交換(長野) 中日新聞 16.10.14

 リニア中央新幹線関連工事が大鹿村の観光に与える影響などについて、村観光協会と県リニア整備推進局の担当者が十三日、村役場で意見交換し、協会側から悪影響を懸念する切実な声が上がった。

 工事用車両が通る予定の県道松川インター大鹿線工事について、「恐怖を体験した観光客がまた村に来るのか」などと指摘。また、「県はJR東海の言う通りにするのではなく私たちに寄り添ってほしい」と訴えた。

 一方、県側は、観光シーズン中の工事用車両の通行台数を減らしてほしいという協会の要望に、「対策は最大限講じていく」と回答。発生土運搬車両の通行を夜間にする案には「技術的には問題ないので、要請していきたい」と話した。県道の全面二車線化は、「いつまでにとは言えないが、将来的につなげられるよう設計している」と述べた。

 県側が会合を打ち切ったため、協会側の要請で再度、開催されることになった。日程は未定。

瑞浪で来夏にもリニア着工 県内初、JR東海発表(岐阜) 中日新聞 16.10.8

 二〇二七年の開業を目指すリニア中央新幹線の建設で、JR東海は七日、瑞浪市の日吉トンネル南垣外(みなみがいと)工区(約七・四キロ)の工事を、来夏にも始めると発表した。県内でリニアの着工時期が明らかになるのは初めて。

 日吉トンネル自体は延長約十四・五キロ。南垣外工区の発生土は百三十万立方メートルになる見通しで、大半は近くに確保した土置き場に移し、契約業者が再利用する予定。

 JR東海は、同工区の環境保全対策もまとめた。生息する希少種への影響は回避、もしくは低減できるとしている。瑞浪市を含む東濃地域にはウラン鉱床が点在しているが、同工区は鉱床を避けており、担当者は「ウラン濃度が高い土を掘削する可能性は低い」としている。

リニア、工事は「同意」後に 大鹿村議会がJRに意見書(長野) 中日新聞 16.10.5

 大鹿村議会は村内のリニア中央新幹線本線工事について、八項目の意見書を、JR東海に提出した。JR東海がリニア工事に関して、村民の理解と同意を得たかどうかはJR東海が判断すると繰り返してきたことに対し、南アルプストンネル本体工事については、村長と議会が協議の上、工事開始への同意を表明した後に工事を開始するよう求めた。

 また、環境影響評価(アセスメント)書にない損害が発生した場合の補償を明記した協定ないし確認書を村と交わすことを要望。発生土置き場については、トンネル掘削前に見通しをつけることなども盛り込んだ。

 村議会は意見書で、工事用車両が通行する道路や発生土置き場など「村民の不安、不満が完全に解消されたわけではない」と指摘。一方で、リニア事業を前向きにとらえ、村の発展につながるよう、村とJR東海が「十分な情報共有と協議をつくしていくべきだ」として、村民の不安解消のための対応を求めた。

JRの姿勢に厳しい意見 リニア工事県内首長ら意見交換で 信濃毎日新聞 16.10.4

JR東海のリニア中央新幹線建設工事を巡り、県は3日、同社幹部と関係市町村長との意見交換会を飯田市の県飯田合同庁舎で開いた。両者が直接意見を交わす場がこれまでなかったため、県が主導して開催。JR側が今秋中ごろにも下伊那郡大鹿村から県内で本体工事を始める構えの中、首長からは同社の工事説明や合意形成の図り方に厳しい意見が相次ぎ、同社は工事開始後も一方的に進めるのでなく、関係市町村と連絡調整を続けることを約束した。
 会合は「率直な意見交換の場としたい」(県リニア整備推進局)として冒頭以外非公開。関係市町村側は飯田市と、天龍村を除く下伊那郡12町村、上伊那郡中川村、木曽郡南木曽町の計15市町村の首長らが出席した。同社の宇野護・中央新幹線推進本部長(専務執行役員)ら幹部3人、県の水間武樹リニア整備推進局長らと意見を交わした。
 出席者によると同社は、南アルプストンネル長野工区(8・4キロ)の工事開始に向けた道路改良や説明会の開催状況を説明。残土置き場の選定状況や環境保全の考え方も示した。県内を通る本線の地上区間(計4・4キロ)については、全体の85%で中心線測量が完了していると説明したという。
 出席した市町村長らは、環境悪化や住宅移転などの住民不安にJR側が十分応えていないとして問題視した。大鹿村の柳島貞康村長は、現場の意見や要望が同社の上層部に伝わっているのか見えてこない―と指摘。工事開始後に課題が生じた場合、村との連絡、調整を迅速に行うよう求めたという。
 会合後に取材に応じた宇野本部長は「工事開始以降も各市町村と連絡調整を積極的に行うことを説明した」と述べた。水間局長は「JRとの意見交換会を継続的に開くよう要望も出た。今後も開いていく考え」と述べた。

大鹿村会、JRに意見書 「リニア工事開始 同意後に」 信濃毎日新聞 16.10.4

 下伊那郡大鹿村議会は3日、リニア中央新幹線建設について、村議会と村長が工事開始への同意を表明した後に行う―など8項目の意見書をJR東海に提出した。リニア建設を前向きに捉えた上で、工事に伴う今後の生活に不安を抱える村民の意思を尊重するよう求めている。同村議会がリニア工事に絡みJR側に意見書を出すのは初めて。
 JRはこれまで、工事着手の前提として「住民理解」が必要としつつ、その判断はJR側が行うと主張している。一方、意見書は「村民の不安、不満が完全に解消されたわけではない」と指摘。熊谷英俊議長は取材に「各議員で住民の意見をくみ取った上で、工事開始に同意できるか全村議で協議する」と説明した。
 大鹿村議会は9月定例会で、住民が出したリニア建設中止を求める陳情を僅差で不採択としたが、JR側に「民意」を示す必要があるとして、8人の全村議が一致して意見書を出した。
 熊谷議長が村役場で、JR東海長野工事事務所大鹿分室の社員に意見書を手渡し、JRによる2回目の全村民対象の工事説明会開催日をめどに回答するよう求めた。同社側は「社内で確認させていただきたい」とした。柳島貞康村長も立ち会い、取材に「村民代表の方たちの意見だ。JRには慎重に対応してほしい」と述べた。
 意見書はこのほか、まだ確定していない残土処分地について南アトンネル掘削開始前に見通しを示すこと、工事で村民生活や事業者の経済活動に損害が発生したことが明らかな場合に補償などを行うよう協定書や確認書に明記すること―などを求めた。
 JR東海は9月から南アトンネルの工事説明会を全村民対象と、自治会単位で順次開いている。工事の最前線となる釜沢地区では11日に開く。2回目の全体説明会は釜沢地区の開催日以降で調整中。

リニア残土に強い懸念 JRと自治体が初の意見交換(長野) 中日新聞 16.10.4

 リニア中央新幹線沿線十六市町村の首長とJR東海による初の意見交換会が三日、駅のできる飯田市で開かれた。トンネル掘削で生じる土砂の処分先など懸念が解消されない中、南アルプストンネル関連工事の準備が大鹿村で進む。調整不足を指摘される県が市町村やJRとの連携を強めようと企画したが、JR側が住民の不安を解消した上で工事を進めるかは、これからとなる。

 「JRは住民の立場に立っていない」

 冒頭を除いて非公開で開かれた。出席者によると、工事で発生する残土の処分先への懸念が根強く、首長からJRへ厳しい意見が出た。残土置き場予定地の地権者だけでなく、住民全体にしっかりと説明すべきだとの意見が相次いだという。

 終了後、取材に応じた県リニア整備推進局の水間武樹局長は「住民説明会があっても一度だけで、住民のストレスがたまっているという報告があった。残土の処分先が未決定な部分など、住民の不安や切迫感は非常に大きいものがある」と説明した。

 JR東海からは、取締役の宇野護中央新幹線推進本部長らが出席した。宇野取締役は「地元説明会の後、工事が一方的に進んでしまう感じがあった」と自社の対応を振り返り「市町村ごとに情報提供や意見交換する場を設け、地元の不安を払拭(ふっしょく)したい」と強調した。

 懸念が残るまま工事にまい進するJR東海の姿勢に、不満を抱いてきた地元住民たちからは「県の姿が見えない」との批判が聞かれる。水間局長は「県はリニア推進の立場だが、沿線自治体や住民の立場にも寄り添っていく」と語り、この意見交換会を今後も開く考えを示した。

岐阜)リニア中央新幹線、瑞浪市で県内初の工事説明会 朝日新聞 16.10.3

 リニア中央新幹線開通に向けて建設される「日吉トンネル新設(南垣外工区)工事」の工事説明会が2日、地元の瑞浪市日吉コミュニティーセンターであり、住民ら47人が出席した。県内で初めて開かれた工事説明会で、JR東海は今年秋ごろに安全祈願起工式を開いて着工し、来年夏ごろからトンネル掘削を始める計画を示した。

 JRの説明によると、地上部6・5キロ、トンネル部48・6キロの県内路線のうち、日吉トンネルは7・4キロで非常口も設けられる。中央新幹線岐阜工事事務所の渡辺隆事務所長は、工区の特徴はウラン鉱床に地質が類似した地域を通過する点だとした上で、「ウランを含んだ土が出る可能性は低く、地質調査の結果は県の審査会の専門家からも『妥当』との意見をもらっている」と述べた。

 ウランが出た場合の最終処分場は決まっていないが、土や湧水(ゆうすい)のウラン濃度を測定して地元にも伝え、管理値を超過した場合の管理方法も説明会で示したという。渡辺事務所長は「きちんと管理しながら工事はやっていけると考えている」と語った。

 日吉町の南垣外自治会は、昨年11月からJRと4回の意見交換会を開いてきた。住民が最も懸念するのは、1日あたり最大で160台に達する工事車両。ルートとなる市道の一部は通学路と重なるため、自治会長の熊谷盛治さん(65)らは「住民の安全安心」を一貫して要望しており、説明会では歩道やガードレールなどを設置する対策が示された。熊谷さんは「工事が終われば地元には何も残らない。地域の疲弊、分裂の心配もある」と話した。

リニア代替地「交渉これから」 北条地区住民の移転、飯田市が候補発表 中日新聞 16.10.2

 飯田市は九月三十日、同市上郷飯沼の北条振興センターで住民向け説明会を開いた。牧野光朗市長も出席し、北沢武人リニア推進部長らが意向調査の結果を報告。移転を迫られる住民の代替地候補として、検討している上郷飯沼地区のエリア三カ所を明らかにした。

 候補エリアのうち、二カ所が国道153号西側、一カ所が東側。六・五ヘクタールの駅周辺整備区域に接した西側のエリアなど、北条、飯沼南、丹保地区が対象となっている。丹保地区は大半が農振農用地のため、市は二〇一七年から、指定解除も含めて用途地域を見直す方針。リニア本線上と駅周辺整備区域を合わせた七・八ヘクタール内の約八十軒の移転先を、候補エリア内で確保したい意向だが、地権者との交渉はこれからという。

 牧野市長は、代替地確保に関して「全ての移転先を確保するまで、市として責任を持って対応させていただく」「事業主体ごとに不公平が生じないよう配慮する」などと説明。あっせん方法には、これまでの代替地登録制度のほか、宅建業者との連携なども加えた。

 住民からは「(駅の設置地区が示されてから)三年間何をしていたのか。代替地の交渉に何年かかると思っているのか」「ここの人たちは被害者。本当に寄り添ってやってほしい」などの意見が出た。

 牧野市長は「対応が遅くなったことは率直に申し訳ない。その上で最後まできちんと対応していく」と述べた。

リニア県内本線3件目工事契約 「伊那山地トンネル」中間付近 信濃毎日新聞 16.9.30

JR東海は29日、リニア中央新幹線の伊那山地トンネル(下伊那郡大鹿村―豊丘村、15・3キロ)のうち、中間付近の「坂島工区」5・1キロで、大手ゼネコン清水建設(東京)を代表とする共同企業体(JV)と工事契約を結んだと発表した。締結は28日付で、工期は29日から2026年9月30日まで。リニアの県内本線工事(52・9キロ)で工事契約が結ばれたのは3件目。
 JR東海の柘植康英(つげこうえい)社長が29日、都内で開いた記者会見で明らかにした。柘植社長は伊那山地トンネルの工事着手は「できるだけ早い方が良いが、(地元への)説明会のほか、さまざまな準備があるので、いつの着手になるか言える段階ではない」と述べた。JVは清水建設と大日本土木(岐阜市)で構成する。
 JR東海によると、今回の契約工区では最大で地下900メートル以上の深さを掘る。地中の圧力が高く、大量の出水など難工事が予想される。同社は「伊那山地トンネルでは最も地中深く、工事が難しいため、最初に契約した」(広報部)と説明。豊丘村内の山腹から作業用トンネルを本線の計画部分に向かって掘り、到達点から大鹿村方面へ本線を掘り進める。
 JR東海は、今年2月に南アルプストンネル長野工区(8・4キロ)の工事契約を別のJVと締結。同社から工事を受託した独立行政法人鉄道・運輸機構も8月、中央アルプストンネルの西側の木曽郡南木曽町―岐阜県中津川市間(4・7キロ)で鹿島(東京)、日本国土開発(同)、吉川建設(飯田市)の3社のJVと契約している。
 JR東海は、南アルプストンネル長野工区の説明会を地元の大鹿村で開いている。柘植社長は会見で「誠心誠意、理解を深めてもらうための取り組みをしている。地域の皆さんの理解は少しずつ深まってきていると考えている」との認識を示した。

県が県道改良案示す リニア北条地区説明会(長野) 中日新聞 16.9.28

県道市場桜町線の改良計画案に関する説明会が二十七日、同所の北条振興センターで開かれ、県飯田建設事務所は改良ルート案を示した。また、本年度から二〇一七度にかけて測量や詳細設計をし、十八年度から物件調査に入るなどのスケジュールを示した。

 説明会には改良工事に関係する県や市と、北条地区の住民約八十人が出席した。県道工事の起点は、土曽川から百メートルほど元善光寺寄りの地点。県は、起点から市街地へ向かう延長約九百メートルについて、道路幅を十五メートルに、交差点付近は十八メートルに拡幅すると説明した。

 市道上郷1-87号との交差点は、傾斜を考慮して東側へずらす。リニア本線との交差場所は、駅の規模などの詳細が未定のため、確定できていない。県道改良と駅周辺整備、リニア本線上の立ち退き家屋は、約三十軒になる見込みだ。

 住民からは「拡幅が、市街地につながる道の途中で終わるのはおかしい」などの意見が出た。市道と交差する位置などの詳細は測量してから、リニア駅周辺整備の詳細は市の駅構想が固まってから、具体的に決めるとした。

 上郷北条まちづくり委員会の木下喜文会長(66)は「肝心のリニア駅との交差部について、JR東海はできるだけ早く検討しますと言い続けている。JRと県、市が協議をして内容を、地元の住民が安心できるよう、市は責任を持って早めに情報を流してほしい」と話した。

リニア、事後調査は月1回60地点 南木曽町でJR東海説明(長野) 中日新聞 16.9.19

 南木曽町の行政や観光の関係者らでつくる町リニア中央新幹線対策協議会が、町内の南木曽会館で開かれた。町によると、JR東海の担当者も出席し、水量や水質などを約六十地点で調べる事後調査案の説明があった。今月中にも環境影響評価で調査する地点を確定するために、地域の住民と話し合いを始めたい意向だ。

 協議会は非公開で行われた。

 町によると、JR東海は、事後調査やモニタリング調査は月に一回、行う予定だという。

 調査地点については、JR案と地域の人の要望を勘案して決めていくと説明があった。

 委員からは「調査の回数を増やしてほしい」「客観性のある調査をしてほしい」などの意見が出た。今後、委員の意見をまとめて、JR東海へ提出するという。

 向井裕明町長は「住民の意見を聞いて、手落ちのないように調べてもらいたい」と話していた。

 他にJR東海は、二カ所の非常口予定地のボーリング調査を十月から始める。

残土「JR、しっかり説明を」 リニア工事で豊丘村長 信濃毎日新聞 16.9.15

 JR東海のリニア中央新幹線建設工事に絡み、下伊那郡豊丘村内2カ所の候補地で進める残土処分計画を巡り、14日の村議会一般質問で、村議側が白紙にすべきだ―と村側に求めた。下平喜隆村長は否定的な見解を示した上で、同社が残土の埋め立てに関して詳細設計などを示した段階で「地元住民へのしっかりとした説明を求めたい」と述べた。残土処分候補地の下流域では一部住民から土砂災害への懸念が出ている。
 JR東海は、隣接する同郡大鹿村との間に伊那山地トンネル(15・3キロ)を計画。豊丘村からは3本の作業用トンネルを掘り、本坑(本線トンネル)を掘削する予定。当初3カ所あった村内の残土処分候補地のうち1カ所は、候補地を流れる沢の下流域の住民らが反対し、計画中止となった。
 村によると、残る2カ所の候補地もともに沢筋にあり、最大計約165万立方メートルの残土を埋め立てる計画だ。JRが測量や地質調査を進めている。
 一般質問では、唐沢健議員(共産党)が、埋め立て後の管理について「JRや県は行わないとしている」と問題視。他県の土砂災害の事例などを挙げ「人間のやることの安全性には限界がある」として、埋め立ては中止すべきだとした。
 これに対し、下平村長は「今はどういう形で埋め、どういう問題が起きてくるかも分からない段階」と説明。埋め立ての方法などが明確になってから下流域を含む地元住民に理解を得るようJR側に求めると答弁した。
 豊丘村では、伴野区にある源道地(げんどうじ)の候補地に対して沢筋下流の小園地区住民が反対運動を展開。JRが6月に計画中止を表明した。同社は50万立方メートル以上の残土の埋め立てを計画していた。

「残土の環境影響、回避・低減」 リニア工事でJR調査結果 信濃毎日新聞 16.9.14

JR東海は13日、リニア中央新幹線建設工事に絡み、トンネル掘削工事で発生した残土を仮置きする下伊那郡大鹿村内にある3カ所の計画地について、周辺環境に与える影響などの調査結果を公表した。大気や水質、景観など7項目について仮置きの影響を検討。各項目とも環境保全措置を取ることで「影響は回避、低減されることを確認した」とした。
 一方、同社は7日の全村民を対象にした工事説明会に続き、村内の自治会別の説明会を13日夜、大河原の村交流センターで始め、約30人が参加した。計4カ所で開く予定。
 残土置き場の調査は、2014年8月の環境影響評価(アセスメント)書の確定後にリニア工事の環境影響を調べる「事後調査」の一環。県内の残土置き場に関する調査結果が公表されたのは初めて。JR東海は南アルプストンネルの長野工区(約8・4キロ)掘削に直結する作業用トンネル坑口(非常口)の準備工事を今秋の中ごろから始める考えを示している。
 本置き場に運ぶまでの期間限定で残土を置く仮置き場が環境に与える影響について同社は、大気汚染や騒音、振動など国や自治体が定めた基準値があるものはいずれも下回ると説明。動植物の生息・成育環境については「変化は生じないか、わずかで影響は一部にとどまる」とした。環境省のレッドリストで絶滅危惧2類に指定されているサナギイチゴなど希少な4種の植物が仮置き場の用地で確認されたため、生息地を回避した仮置きか移植などで対処する。
 同社が7日に大鹿村で開いた南アトンネルに関する工事説明会では、残土処分に関する環境保全措置として、工事規模に合わせた建設機械の使用や工事に伴う改変区域のできる限りの小規模化、盛り土周辺に排水設備を設置することなどで影響を回避、低減させるとしている。
 同村の残土本置き場の候補地は2カ所、仮置き場は6カ所で、容量は計約53万立方メートル。結果が公表されたのは釜沢地区の2カ所と上蔵(わぞ)地区の1カ所のいずれも仮置き場。同社はこの3カ所を、地権者の了解を得るなど、使用できる見通しがついたとして計画地と位置付けた。最大容量は北側から順に約15万立方メートル、約1万5千立方メートル、5万5千立方メートル。北側の計画地は仮置き場として使用後は変電施設を設置する計画だ。
 15日の県環境影響評価技術委員会で調査結果について専門的な見地から審議する。
 JRは調査結果を13日付で県と村に送付。同社のホームページでも見られる。

リニア説明会 誰の理解が進んだのか 信濃毎日新聞 16.9.9

 誰の理解が進んだというのか。都合の良い解釈を続ける限り、住民との信頼関係は築けないだろう。
 JR東海が下伊那郡大鹿村で開いたリニア中央新幹線の工事説明会である。南アルプストンネルの長野工区(約8・4キロ)について、日程や工事内容、自然や生活への影響対策などを示した。作業用トンネル坑口(非常口)の準備工事を今秋の中ごろから始めるとしている。
 JRは説明会終了後、「説明会を通じて理解が進んだと考えている」との認識を示した。工事用車両の通行時間帯などに対する具体的な要望が出たことなどで判断したという。
 約3時間半に及んだ説明会では、住民から質問が相次いだ。
 生活圏を避ける迂回(うかい)ルートの運用を始める2018年度までは、1日最大68台の工事用車両が村中心部を走る。JRは「1年間は我慢しろというわけではないが、受け入れてほしい」と要望。ある住民は「迂回ルート完成まで通らせないでほしい。我慢するのはJR東海のはずだ」と異議を唱えた。
 トンネルから排出される約300万立方メートルの残土の処分場所が決まる前に着工することへの疑問も根強い。迂回ルートが完成した後は、最も多い時期で1日約1350台の工事用車両が県道などを走る影響への質問も目立った。
 どんな工事が実施されるのか理解することと、納得することは違う。工事の内容に不信感を強める住民も多い。納得が得られるかどうかは今後のJRの対応次第と考えるべきだ。
 不信の根本には、理解を得たかどうかはJRが判断する考えを何度も示していることがある。説明会が理解を得たという既成事実になり、着工につながることへの懸念が強い。
 説明会では中学生女子が「リニアはやめてほしいという気持ちが(JRに)伝わらないのに、説明会に来ると(JRは)理解されたと言っている。私は意味が分からない」と率直な疑問をぶつけた。
 JRは「推進したいという意見も多くいただいている。両方の意見を聞いていきたい」と述べた。それなのに説明会後に「理解が進んだ」と発言していては、住民の納得は得られない。
 住民の暮らしは10年以上にわたって影響を受ける。豊かな自然環境を求め、都会から移り住んだ人も多い。JRは説明会で「工事着手の見極めは事業者に課せられた義務だ」と強調した。不安に真摯(しんし)に向き合うことも義務である。

リニア本線トンネルは年明け着手 大鹿で説明会、24時間体制で掘削(長野) 中日新聞 16.9.9 

 大鹿村内のリニア南アルプストンネル新設工事に関して、JR東海は七日夜、村交流センターで村民を対象とした説明会を開き、約百三十人が参加した。

 JR側は赤石岳公園線の改良工事など関連工事の本格着手は今秋から、全長八・四キロの本線トンネルは年明けごろの着手を見込んでいると説明。ヤード整備などの作業は午前八時~午後五時に、トンネル掘削は二十四時間体制で実施するとした。

 また、村内を通る工事用車両の予測台数を時期を四段階に分けて説明。小渋川左岸迂回ルートの運用が始まる二〇一七年末までの第一段階は、資機材を運ぶ車両が一日あたり最大五十二台、村中心部の旧小渋橋交差点を通るという。

 さらに、本線トンネルに平行する先進坑が完成する一八年夏までの第二段階と松川インター大鹿線の改良が完成する一八年末~一九年初頭の第三段階の工事車両数も示した。二〇一九年以降の第四段階で、発生土仮置き場を利用した場合は最大千三百五十台の工事用車両が役場前を通過するという。

 住民からは、迂回ルート運用開始までの間、村内の主要生活道路を工事用車両が通ることについて「一年間だからがまんしろということか」「保育所の前をダンプ車が通るのは心配」などの意見が出された。また、工事用車両だけでなく関係者全ての車両にステッカーを貼ってほしいという意見も出た。

 さらに、JR側が「(住民の)理解が進んだ」などと再三発言していることに対し、「住民の不満は山ほどある。ここで意見が出るということは、理解していないということ」などの疑問の声が上がっていた。

 JR東海の沢田尚夫・中央新幹線建設部担当部長は説明会後「多くの意見いただき、丁寧にお答えした。説明会を通じて村民の理解がまた進んだと考えている」と話した。

リニア説明会 住民置き去りはだめだ 信濃毎日新聞 16.9.3

 説明会開催をリニア着工に向けたアリバイにするのではないか。
 JR東海のリニア中央新幹線南アルプストンネル(約25キロ)の長野工区(約8・4キロ)である。10月中にも着工する方向で調整している。掘削する下伊那郡大鹿村では7日に全住民向けの説明会を開く。村内の各地区でも開催することになっている。
 住民の理解を得るための説明会である。大鹿村だけで300万立方メートル余になる残土の処分地など、住民には不安と疑問が根強く残っている。JRは真摯(しんし)に向き合い、解消に努める必要がある。
 大きな問題は、工事の本格着手には住民の理解が必要とししつつ、理解を得たかどうかはJRが判断するという考えを何度も示していることだ。
 理解を得たという既成事実をつくるための説明会になるのでは―。住民側からはそんな懸念が出ている。JRにはこれまで、2027年開業という目標を最優先する姿勢が目立つからだ。
 JRは15年4月に県と交わした基本合意書で「工事の安全、環境の保全、地域との連携を重視して進める」と明記している。
 それなのに、県や沿線自治体が挙げた要望のうち、作業用トンネル坑口数の削減や橋の地中化など、工期の遅れにつながりかねない要望は聞き入れてこなかった。
 先月29日には残土の処分地問題が解決しない下伊那郡阿智村のリニア対策委員会で、JRが「大鹿から木曽まで、他の所と比べても当地域は進んでいない」と早期決着を求めている。
 住民たちの暮らしは、工事が始まれば10年以上にわたって影響を受ける。JRの説明や対応に納得できるかどうかは、住民が自治会などの組織で話し合い、決めることだ。JRがこのままの姿勢を続けると、住民との信頼関係は構築できない。
 説明会に対する姿勢にも疑問が多い。先月26日に大鹿村釜沢地区で開いた非公開の関連工事説明会で、地区の正副自治会長が求めた村リニア対策委員のオブザーバー出席を拒否している。正副会長は抗議して退席した。
 対策委員はリニアに慎重な姿勢を取っていた。計画に疑義を持つ住民を含め、誠実に理解を得ようとしているとは思えない。
 これまで非公開で実施するとしていた7日の説明会は、一転して公開されることになった。透明性を高めるため、今後、県内各地で開く説明会も同様に公開で実施するべきだ。

リニア関連工事、県内初の着工 中川村で安全祈願式(長野) 中日新聞 16.9.1

 県内初のリニア関連工事着工となる松川インター大鹿線道路トンネル新設工事(西下工区、四徳工区)の安全祈願式が三十一日、中川村の現場付近であった。大鹿村、中川村、松川町の関係者やJR東海職員など約三十人が出席し、工事の安全を祈った。

 沢田尚夫・中央新幹線建設部担当部長や、大鹿村長で松川インター大鹿線及び松川大鹿線改良促進期成同盟会の柳島貞康会長らが式後会見。柳島会長は「長年、村や同盟会として改良をお願いしてきた。リニア関連道路として、安全で安心に通行できる道ができることをうれしく思っている」と話した。改良の必要性に疑問を投げかける一部の住民の声に対しては「これまで落石事故などが多数あった。安全安心な道ができる工事が進んでいるのを見てもらう中で納得してもらえれば」と話した。

 二十六日に大鹿村釜沢地区で開かれた赤石岳公園線改良工事の説明会で、地区外に住む同村のリニア対策委員がJR東海に参加を拒まれたため、自治会長と副自治会長が退席した。この事態を受け県は、丁寧な対応をするようJRに要望。JR側は三十日、副自治会長宅を訪問。この対策委員の説明会への参加を今後は認めるとの説明があったという。

 (服部桃)

◆知事「大変悪い」 JR対応に不快感

 阿部知事は三十一日の記者会見で、JR東海の対応について「大変悪い」と不快感を示した。

 その上で県リニア整備推進事務所(飯田市)が三十日、同社に対し、住民の理解に向けて幅広い意見を聞き、誠実で丁寧な説明に努めるよう求める申し入れをした、と明らかにした。

「住民理解」への協議揺らぐ 大鹿村釜沢のリニア関連説明会 信濃毎日新聞 16.8.30

 JR東海が、リニア中央新幹線の南アルプストンネル長野工区(約8・4キロ)の掘削が始まる下伊那郡大鹿村釜沢地区で26日に開いた非公開のリニア関連工事説明会で、地区の正副自治会長が求めた地区外の村リニア対策委員のオブザーバー出席を「関係者のみが対象」として拒否していたことが29日、分かった。正副自治会長はJRの対応に疑義を唱えて退席したが、説明会はそのまま続行された。自治会側は、南アトンネルの工事を含め、JR側が9月上旬以降、同地区で予定する説明会の開催を拒否する方向で調整している。
 説明会は26日夜に開かれた。内容は、村中心部から釜沢地区の作業用トンネルの坑口へと続く県道赤石岳公園線の改良について。関係者によると、一部の住民が「地区住民とは別の視点を持った人に参加してもらいたい」と、同地区のリニア対策委員とは別に、リニアに慎重な姿勢を取っている地区外の対策委員、前島久美氏(34)の同席を要望した。
 自治会長の谷口昇氏(46)らがオブザーバーとして前島氏の同席を会場で申し入れたが、JR側は「関係者のみが対象」として拒否。谷口氏は、正副自治会長の判断を一方的に拒否するのは住民自治の観点から受け入れられない―と考え抗議したが、JR側は受け入れず、谷口氏は副自治会長のサイモン・ピゴット氏(66)と共に退席した。
 大鹿村では、1日最大1736台の工事関係車両が生活道路を通過することや、南アトンネルの生態系への影響などを懸念し、工事に反対する住民がいる。JR側はこれまで、反対意見の住民も含めて説明し、「理解を得る」としていた。
 谷口氏は「出席の線引きが一方的に決められては対話の余地がない」と主張。「住民理解を得たという既成事実のための説明会と捉えられても仕方ないのではないか」としている。
 JR東海広報部は「より地域に密着したきめ細かな説明をし、ご意見を頂くことで工事への理解を深めてもらうのが工事説明会の目的。そのため、地元住民とその関係者の方々に限定するのが基本的な考え方」と説明。地元住民以外の参加は事前に連絡があれば対応するが、参加の可否は同社が判断するとしている。
 この問題で、建設に反対する沿線住民らでつくる市民団体「リニア新幹線沿線住民ネットワーク」は29日、同社の対応に抗議する声明文を発表。同社宛てに郵送する。 

県内10月にも工事開始 リニア南アトンネル 信濃毎日新聞 16.8.26

 リニア中央新幹線の南アルプスの山岳トンネル(約25キロ)のうち長野工区(約8・4キロ)について、JR東海は早ければ10月中にも本体工事に着手する方向で調整していることが25日、関係者への取材で分かった。同トンネルは、2027年に開業を目指す東京(品川)―名古屋間で最難関の工事とされる。同社は9月上旬から地元の下伊那郡大鹿村で工事説明会を開くなど準備を進め、工事に踏み出す考え。
 JRの柘植康英(つげこうえい)社長は25日、信濃毎日新聞の取材に対し、「いろいろな手続きがあり、秋になる」と述べた。
 同社は工事説明会開催に続き、暴力団などの反社会的勢力を一連の工事から排除するために地元自治体や県警と協議会を設置する予定。その後安全祈願式を開き工事を始める方針。
 同社は今年2月、大手ゼネコン鹿島(東京)を中心とする共同企業体(JV)と工事契約を締結。今年夏にトンネル工事に着手する方針だった。
 大鹿村は、工事で出た残土を村外に運ぶ多数の工事用車両が通り、安全面の不安があるとして、県道松川インター大鹿線の改良工事を先行するよう強く要求。JRは今月23日に沿線の上伊那郡中川村、24日に大鹿村内でそれぞれ県道改良の工事説明会を開き、県道改良の着手には地元の理解を得たとしていた。29日に県道改良の準備工事に入る。

リニア関連県道工事 振動や騒音住民懸念 長野日報 16.8.25

JR東海と県は23日夜、リニア中央新幹線南アルプストンネル工事の発生土運搬に使う県道松川インター大鹿線の改良工事説明会を中川文化センターで開いた。関係者約80人が出席。地元住民からは工事用車両通行による振動、騒音、大気汚染などを懸念する声が上がり、JRや県に対応を求めた。

県道改良は、同村渡場交差点から四徳地区までの区間で実施。狭い幅員を拡幅するほか、新たに西下トンネル(仮称・878メートル)と四徳渡トンネル(同・1201メートル)を掘り、交通の円滑化を図る。2トンネルは準備工事を経て来年1月に掘削を始め、2018年春に供用を開始する。

JRによると、トンネル掘削は24時間態勢で行い、土や岩盤を発破で掘り進む。発破作業は昼夜行い、基本的には西下トンネルが1日4回、四徳渡トンネルが1日4~6回を計画する。工事区間は一時的に片側交互通行になる期間がある。工事車両はトンネル発生土を置く半の沢橋付近と西下工区の作業場となるきりがくぼ橋間で最も交通量が多く、来年7月には最大で1日最大552台(往復)が通行する見通し。JR側は「準備が整い次第、工事に着手したい」と意向を伝えた。

一方、今でも通行車両の振動に悩む渡場交差点付近の住民からは、通行車両が増加するリニア本線南アルプストンネルの着工前に、同交差点付近の振動や渋滞緩和のための地盤強化と幅員拡張を求める声が上がった。地元の主婦は「子どもの交通事故が心配。通学時間帯は工事用車両の通行を控えて」と要望。JRは「全く通行しない訳にはいかないが、極力回避したい」と回答した。

発破の音や振動対策への質問もあり、JRは「音漏れはするが坑口の扉を閉めて対応する。振動は近隣住民の話を聞きながら低振動工法を用いたり、夜間の発破を控えることも検討する」と説明した。JR東海中央新幹線建設部の沢田尚夫担当部長は「地元の皆さんから意見を聞いてきめ細かく対応したい。問題等は随時、各工事事務所で受け付けるので相談してほしい」と述べた。

トンネル掘削、来年初めから リニア工事車両通行の県道 信濃毎日新聞 16.8.10

JR東海は9日、上伊那郡中川村で開いた村リニア中央新幹線対策協議会で、リニア中央新幹線の工事車両が通行する県道松川インター大鹿線の改良に伴い新設するトンネル2本の本坑掘削を、来年初めに着手したいと説明した。改良工事に関する住民説明会を今月23日に同村で、24日に下伊那郡大鹿村で開く予定と明らかにした。
 掘削に向けた準備工事については「8月の終わりから入りたい」とし、本格的には9月初めからになるとした。
 県道改良計画は、四徳大橋を挟んで東に約1・2キロ、西に約880メートルのトンネル2本を新設。渡場交差点から西側の新設トンネルまで計5カ所で拡幅を予定している。
 JRは、トンネル掘削の発生土を、改良区間とは別の区間に架かる半の沢橋付近に置くことを想定。原則、24時間態勢で掘削し、平日と土曜日の午前7時半〜午後5時半に車両を通行させたいとした。資材や残土運搬などで県道を往復する車両台数は最も多い区間で、1日平均最大約550台になるとの見通しを示した。協議会側からは、観光や通学への影響を懸念する声が出た。
 半の沢橋付近への盛り土を巡っては、県道整備に活用することが前提、との声が協議会側から出ている。協議会に出席した県の担当者は「(活用が可能かどうか)掘削開始までに示したい」と述べた。

15年度リニア環境調査 重要動植物54種確認(静岡) 中日新聞 16.7.28

 静岡市は二十七日、JR東海が南アルプスのユネスコエコパーク(生物圏保存地域)で計画するリニア中央新幹線建設工事に伴う二〇一五年度の自然環境調査を公表した。絶滅危惧種や特別天然記念物など動植物の重要種は、前回より八種多い五十四種を確認。この中には、JRの現地調査で未確認のチチブコウモリやヤマトイワナなど十二種が含まれる。

 県の絶滅危惧種の渓流魚ヤマトイワナは前回調査に続いての確認。今回、新たに確認されたのは、昆虫類がエゾアカヤマアリ、フジミドリシジミ、植物はタチキランソウ、オオウバユリなど。

 調査は市が一四年度から独自に行い、市ホームページで結果を公表している。基本的に五~十月の毎月、現地に入って大気質、水質など計六項目を調べた。前回調査した水資源は今回除外し、新たに植生、景観、騒音・振動の三項目を加えた。大気汚染物質濃度や河川水質は良好な状態だった。

 リニア工事では、大井川の水量減少やトンネル掘削工事による自然破壊が懸念される。地元の井川漁協などはヤマトイワナへの影響を懸念し、昨年五月と今月二十日、JR東海に環境保全の要望書を出した。

リニア工事、環境調査継続を要望 井川漁協と市民団体 静岡新聞 16.7.21

 静岡市葵区の井川漁業協同組合と、魚類の保護活動などに取り組む市民団体「やまと渓流会」は20日、名古屋市のJR東海本社を訪ね、リニア中央新幹線の建設工事に伴う大井川上流部などの環境調査活動を継続的に行うよう要望した。
 両者の要望活動は2015年5月に続き2度目。調査継続のほか、工事に伴う土砂の河川流入を最小限に抑えることや渓流魚の養殖、放流活動などの支援を求めた。15年5月の要望に対する回答が口頭だったため、文書での回答を要望した。
 やまと渓流会の村田幸信会長ら3人が、同社担当者に書面を手渡した。村田会長は「工事に反対していない。将来にわたって自然を守る約束をしてほしい」と話した。
 同日、名古屋市で定例記者会見を開いたJR東海の柘植康英社長は要望について「環境への影響を回避、低減することが基本方針。河川や沢の流量を計測し、減水がある場合は適切な対応を検討していきたい」と述べた。
 文書による回答については「現地には事務所を置いて直接話をしてきている。会って必要なことを丁寧に説明していく」と話した。

JR東海が動植物や水資源調査結果公表 リニア環境アセス(長野) 中日新聞 16.6.29

 JR東海は二十八日、リニア中央新幹線の環境影響評価(アセスメント)書などに基づき、県内で二〇一五年度に観測した動植物の生態系や水資源の調査結果を公表した。年度単位で結果がまとまるのは今回が初めて。

 工区に生息するオオタカ、ノスリ、クマタカの個体調査をはじめ、地下水の水質や地表水の流量に関する工事前データを公表した。飯田市、大鹿村、喬木村の生息調査では、対象の鳥が施工ヤード設置箇所の近くで確認され、巣を作って繁殖した例もあった。同社は保全措置をとり、影響を減らすとしている。

 豊丘村の虻川と飯田市の松川の水質について、カドミウムやヒ素の重金属が環境基準を下回っていたとする調査結果なども公開された。

 同社は、結果を県や沿線自治体へ報告した。今後は年度ごとに項目別の調査結果をまとめ、環境変化を把握する。

リニアのトンネル掘削、12月から 大鹿村対策委で月単位の計画案(長野) 中日新聞 16.6.28

 リニア中央新幹線建設事業について協議する大鹿村リニア対策委員会が二十七日、村役場であり、JR東海がリニアの南アルプストンネル非常口・変電所建設と、県道改良に関する来年三月までの計画案を月単位で提示した。トンネルは、八月に工事説明会を開き、早くて十二月初旬に掘削を始める。

 県道改良は、赤石岳公園線の拡幅の工事説明会を七月終わりから八月初旬に開催。同月に着工する。松川インター大鹿線の拡幅とトンネル新設は工事説明会を経て、八月下旬から施工ヤード設置や工事に着手する。トンネル掘削は十二月から。

 トンネル掘削で出る残土は、最終的な置き場が確定していない。委員からは「置き場が未確定で、なぜ計画を進められるのか」「残土運搬車両の行き先が分からなければ、影響を判断できない」「豊丘村で白紙撤回された候補地があったが、下流域の同意も得ているのか」など残土関連の質問が多く出た。

 JRは地権者、隣接地権者、地域や下流域住民らの理解を得ながら進めるので、残土置き場の確定には時間がかかることを説明。「関係者と協議中だが、想定通りには進んでおり、想定に基づいて計画を立てている」と答えた。委員らは工事説明会に先立つ対策委で、より具体的な回答を求めた。

リニア工事現場、基準超土壌汚染 名古屋(愛知) 中日新聞 16.6.24

 名古屋市は二十三日、同市中区三の丸のリニア中央新幹線の非常口工事用地で、基準値の一・八~二・五倍の鉛やその化合物を検出したと発表した。

 市によると、JR東海が土壌調査を業者に委託し、二カ所で基準値を超えていたことが判明。二十一日に市に報告があった。JR東海は詳細調査する。土の運び先は未定。工期は二〇一九年九月末までで、JR東海広報部は「現時点では工程に影響は出ない」と説明している。市環境局の担当者は「自然由来の可能性が高く、健康への影響はない」と話している。

リニアのトンネル工法「JRの回答待ち」 飯田市政懇で市担当者(長野) 中日新聞 16.6.18

 リニア中央新幹線の中間駅やトンネルがつくられる飯田市上郷地区で、住民と市幹部が語り合う市政懇談会が開かれ、住民側はJR東海と市それぞれの整備の計画をただした。市担当者は、JR東海が検討しているトンネル工法や掘削土の運搬経路の変更について「十分な説明はなされていない」と述べた。

 JR東海は環境影響評価の段階で、掘削機や火薬を使う「山岳(NATM)工法」が適当と判断していた。しかし、その後に実施したボーリング調査を基に、軟弱な地質でも地下水に影響が少ない「シールド工法」への変更を検討。掘削土を土曽川沿いに運ぶ検討案などを示している。

 土曽川堤防を利用した運搬法を「地域への影響が大きい」とした住民側の指摘に対し、市担当者は「改めて適正な工法と、運搬経路についてJR東海の回答を待っている」と説明。同社の回答を得た上で、地元との協議を深める方針を示すに留めた。

 また、住民側は、市が同地区の約六・五ヘクタールを区域とした駅周辺整備にも言及。「コンパクトな設計とは思えない」という主張に対し、市側は整備区域内の具体的な施設や配置を今後に検討し、地元に説明する。

基本協定書締結時、南木曽町との協議検討 リニア、対策協でJR初回答(長野) 中日新聞 16.6.15

 南木曽町の観光・商工、行政関係者でつくる「リニア中央新幹線対策協議会」が十四日、町役場で開かれた。JR東海は、協議会側が提出していた要請書に初めて回答し、建設工事に関係した基本協定書の締結では、協議会事務局の町と協議し、検討する意向を示した。

 協議会は今年三月、基本協定書の締結や工事車両の運行計画作成、水源対策など七項目の要請書と、工事用道路や水資源など五項目を盛り込んだ四回目の質問書をJR東海に送っていた。

 要請書に対するJR東海の回答によると、協議会側が建設工事を起因とする環境への悪影響などがあった場合、損害賠償や事後処理に関する基本協定書の締結を求めていることに対し、これまでは「取り決めはしない」との姿勢だったが「町と協議し、検討する」とした。

 工事車両の運行計画作成では「発生土置き場や運行ルートが具体化した段階で、必要なら交通シミュレーションして示す」とし、水源対策では渇水などが発生した場合は給水車などを手配するとした。

 環境影響評価(アセスメント)後の事後調査に関しては「三年間で十二回の予定だが、状況に応じて増やすことも検討する」との考えを示した

豊丘村長が住民に陳謝 リニア、残土置き場候補取り下げで(長野) 中日新聞 16.6.15

 豊丘村の下平喜隆村長は十四日の村議会一般質問で、リニア中央新幹線建設事業で残土置き場候補地から外れた「源道地」の近隣住民に対し、「怖い思いをさせ、ご迷惑をおかけして申し訳なかった」と陳謝した。

 源道地は、一部地権者から測量の立ち入り同意が得られず、JRが候補地から外した。しかし、村議会リニア特別委員会は十三日、報告取り下げを村に求める請願書を採択。同意を確認せず、源道地を候補地として県に報告した村の姿勢が問われていた。

 下平村長は「源道地は白紙なので安心して」と呼び掛け、源道地に近い坑口から出る約七十万立方メートルの残土処理を今後の課題とした。報告取り下げについては、「JR東海はもう取り下げている」と述べるにとどめた。

 この坑口は村道壬生沢線を挟んで高架橋につながり、工事の影響が大きいため、JRが坑口から約四百メートル離れた場所に、新たな斜坑を検討している。工事ヤードを設け、残土の仮置き場としても活用できる構想という。

リニア整備で河川や交通に配慮要求 飯田の推進特別委で市議(長野) 中日新聞 16.6.14

 飯田市議会リニア推進特別委員会と同協議会が十三日に開かれ、市内の各地区にJR東海が示した、リニア中央新幹線の整備案が報告された。市議からは開発に伴う水質の変化や、交通の在り方に配慮を求める意見が相次いだ。

 報告があった北条(上郷)、座光寺、丸山、羽場、鼎切石の五地区は、トンネル掘削土の運搬方法、河川への影響対策、本線の防音・防災対策など地区によって、住民の問題意識が異なる。

 鼎切石では、松川流域でトンネルと橋梁(きょうりょう)工事が予定されており、川への汚濁水の流入が懸念されている。市議の指摘に対し、市はJRが流入を防ぐ装置を検討していると説明。発生土の運搬先は「地元の了承を基に県を通じてJR東海と調整する」とした。

 中間駅西側にトンネルを造る上郷地区に関しては、掘削法が地下水への影響が少ない「シールド工法」への変更が検討されている点を、行政はどうとらえているかをただした。

 市側は、JRがボーリング調査で軟弱な地盤だと判断したことを示し「(JRには)さらに調査を進め、影響をしっかりと判断して全体計画を立ててもらう」と説明した。

喬木村長、残土行き先に懸念 リニア建設(長野)中日新聞 16.6.9 

 喬木村の市瀬直史村長は八日開会した村議会定例会で、リニア中央新幹線建設事業をめぐり、豊丘村で住民が残土置き場候補地の取り下げを求めている件に言及。「残土の行き先に懸念を抱いている。今後の推移を重大な関心を持って見ていきたい」と述べた。

 候補地は源道地エリアにあり、下流域の住民が土砂災害を警戒して署名付きの請願書を豊丘村議会に提出し、十三日に審議される予定。懸念を抱く理由について市瀬村長は「村内が残土運搬のルートになれば、村民生活に多大な影響が出ることが予想される」と説明した。

 村内では阿島北地区が沿線に当たり、堰下地区がガイドウェイ関連施設の候補地、伊久間地区が移転先対象地域になっている。市瀬村長は「リニア対策委で諸課題をしっかりとJRと交渉し、安心安全の確保や環境負荷の低減を図りたい」と、あらためて述べた。

 (石川才子)

◆県道改良は現計画で開始 大鹿村長

 大鹿村の柳島貞康村長は八日の村議会定例会で、リニア中央新幹線事業に関連した県道改良について「今、示されている改良計画でスタートすることになると思う」と述べ、計画に理解を示した。

 トンネル掘削で出る残土を運ぶ県道松川インター大鹿線は、JR東海と県が改良を予定している。改良工事中の渋滞や通行止めに村民の関心が高く、改良場所の追加を求める声も根強い。

 柳島村長は交通障害の対応をJRと県に求める一方、「過去から求めている改良箇所は継続して改良を求めていくこととして、今示されている改良計画でスタートすることになると思う」と述べた。

JR、リニア残土処分計画を断念 豊丘・神稲伴野区の源道地 信濃毎日新聞 16.6.9

 JR東海がリニア中央新幹線建設工事に伴う残土の処分候補地としていた下伊那郡豊丘村神稲伴野区にある源道地(げんどうじ)について、計画を取りやめたことが8日、分かった。源道地の沢筋に残土を埋め立てる計画に対し、下流にある小園地区の住民が反対署名活動を展開。村はJRに計画中止を求めていた。JRの担当者が同日、村役場や候補地の地権者宅を訪れ、源道地での計画取りやめを伝えた。
 JR東海広報部は取材に対し、一部の地権者の理解を得ることが困難で、工期を考慮すると他の候補地を速やかに確保することが望ましく「取りやめが合理的と判断した」と説明。同社独自の判断で、「村からの中止要請とは全く関係がない」とした。
 源道地の候補地で処分予定だった残土約51万7千立方メートルの行き先については「県から示されている候補地の中から検討していく」とした。
 源道地の候補地を巡っては、残土処分に反対する小園地区住民でつくる「リニア残土NO!小園の会」が地区の人口の約7割、387人の署名を集め、村議会6月定例会に請願書の提出もしている。JRの断念の意向を受け、同会の原道治会長(79)は「手続きはともかく、結果として目的は達せられて良かった」と話した。

リニア南ア保全 県に公開質問状 静岡県山岳連盟など 静岡新聞 16.6.3

静岡県山岳連盟(滝田博之代表)などは2日、リニア中央新幹線計画における南アルプスの環境保全に係る公開質問状を川勝平太知事らに提出した。
 計画で事業者のJR東海は、トンネルの掘削で約360万立方メートルの発生土(残土)が生じるとしている。質問状はJRが自然由来の重金属などの有害物質にどのような処理計画を示しているかや、県がこの課題について同社とやりとりをしているか-などを盛り込んだ。JRが示した土石流シミュレーションと、河川流量を確保するための導水路トンネルに対する認識もただした。
 提出者はほかに静岡市山岳連盟、県勤労者山岳連盟、日本山岳会静岡支部、南アルプスとリニアを考える市民ネットワーク静岡の計5団体。

リニア残土、反対の請願 豊丘村小園の住民 信濃毎日新聞 16.6.1
 リニア中央新幹線建設工事に伴う残土処分を巡り、下伊那郡豊丘村神稲伴野区の小園地区住民有志でつくる「リニア残土NO!小園の会」は31日、小園地区の上流にある源道地(げんどうじ)の沢筋を埋め立てるJR東海の計画に反対する請願書を村議会事務局へ提出した。県リニア整備推進局によると、リニア建設の残土処分候補地となっている県内自治体の議会に処分計画の中止を求める請願や陳情が提出されるのは初めて。

 請願書は、源道地の残土処分計画について、沢筋の谷を埋め立てる安全性に専門家や土木関係者が疑問を呈していると指摘。将来、大規模地震などがあれば大量の土砂の流出によって「想像を絶する被害」が予想されるとし、▽村が県へ上げた源道地の候補地の報告を取り下げる▽JR東海にこの候補地の設計を中止させる▽この沢筋の治山状況を調査するよう県へ申請する―の3事項を村へ求めた。

 小園の会は4月中旬に発足し、源道地の埋め立て計画に反対する署名活動を実施。JRへ働き掛けて計画を中止させることも村に求めていた。村は要求を受けてJRへ計画の撤回を求めたが30日までに撤回されなかった。また、会が求めた県への報告の取り消しを村が行わなかったため、請願の提出を決めた。

 下平喜隆村長は取材に、「今後も計画の取り下げをJRに強く求める」とした。県への報告については、地元の要望に応じて候補地の情報を伝えただけとして、今後も取り下げない考えを示した。

 小園の会の原道治会長(79)と事務局の大沢俊郎さん(75)が31日、議会事務局を訪れ、請願書を片桐章久議会事務局長に手渡した。小園地区の住民の約7割、387人分の署名も提出。原会長は「自分はリニアの開通を待ち望んでいるが、このままでは安心して寝られない」と話した。請願は、1日開会の村議会6月定例会で審査される。

 JR東海広報部は源道地の残土処分計画に対し「関係者から話を聞き、今後の計画について検討したい」とした。

リニア、残土などでJRから聞き取り必要 大鹿村対策委が確認(長野) 中日新聞 16.6.1

 リニア中央新幹線建設事業について協議する第十六回大鹿村リニア対策委員会が三十一日、村役場であった。四月のJR東海の住民説明会と、五月の村の住民懇談会の内容を基に、委員が意見や要望を出し合った。

 県道改良や安全対策、環境保全に要望や不安が寄せられた懇談会を踏まえ、対策委では残土に有害物質があった場合や、薬液注入工で薬液が沢水にしみ出した場合の対応について、JRに詳しく聞く必要性を確認した。

 古墳の可能性が指摘されていた残土仮置き場候補地横の三正坊神社跡地は、県教委の現地確認で古墳の可能性が低いと分かったと報告があった。

 中部電力の送電計画は、懇談会で地中化を訴える住民もいたが、中電は一貫して架空案を示している。対策委には六~七月に地元説明、八月から現地踏査や技術測量、地質調査、十月から用地測量という計画案が示された。

 一方、水資源の事後調査(三十五地点)とモニタリング(十二地点)の結果は、JRから村に、一昨年十二月から一年分の年次報告が出されたという。個人水源もあり、今後、村とJRで公表方法を考える。

「リニアは人格権否定」相模原で原告会見 生活環境の保全訴え(神奈川) 東京新聞 16.5.21

 リニア中央新幹線の沿線住民らが国に工事認可取り消しを求めて二十日に東京地裁で起こした訴訟には、県内からも多くの原告が参加している。中間駅が設置される相模原市内では同日、同市内の原告百十三人のうち、市民団体「リニア新幹線を考える相模原連絡会」メンバーの原告五人が記者会見し、生活環境の保全を訴えた。(寺岡秀樹、小形佳奈)

 中間駅は、同市緑区のJR・京王橋本駅に設置される。原告らはこれまで沿線各地で起こりうる自然破壊や水枯れ、残土問題、同区の山あいにある鳥屋地区に車両基地が建設されることで生じる生活環境破壊などのおそれを指摘してきた。

 元城山町議松本三望さん(75)は「リニアは人格権を否定するような鉄道。裁判を通じて、計画の妥当性を問うとともに、環境や人間と共生できない乗り物であるとの世論が出てくることを期待する」と話した。

 車両基地は盛り土の上に東京ドーム約十個分の広さで建設され、訴状は「景観の破壊は明らか」「(工事車両の通行で)交通事故の危険性増大、排ガスなど受忍限度を超える生活環境の悪化を予想」と指摘。

 鳥屋地区の農業栗原晟さん(70)は「何が大切なのか、何を守っていくべきなのか、自然や環境の大切さを国民全体に問うた訴訟と意義付ける」と語った。原告ら十一人は建設予定地に地上権を登記し、事業の中止や遅延を図るトラスト運動も開始している。

 中間駅設置で、橋本駅近くの県立相原高校は移転が決まっている。同校には緑が広がり、市民に親しまれてきた。主婦桜井真理さん(60)は「相原高校の緑が失われ、市民の安心安全はかき消される。市民の犠牲の下に大きな計画が進められている」と訴えた。

川崎でも会見 残土問題を指摘

 川崎市役所では二十日、「リニア新幹線を考える東京・神奈川連絡会」のメンバーが会見し、「JR東海は計画を白紙に戻して再検討を」と訴えた。

 矢沢美也(よしや)共同代表(69)=麻生区=は「工事車両による大気汚染、工事の騒音などが心配」と話し、地下を掘って出る残土の行き先を決めないまま着工したことも問題だとした。会員は川崎市と東京都町田市に住む約六十人で、提訴に加わったのは半数という。

 JR東海の計画では、品川-名古屋間二百八十六キロの中で川崎市内の工事区間は約十六キロ。地権者の権利が及ばない深さ四十メートル以上の大深度地下を通る。中原、宮前、麻生の三区に合わせて五カ所の立て坑が設けられ、開業後は非常口になるという。

リニア認可、取り消し求め 東京地裁(静岡) 中日新聞 16.5.21

◆県内住民ら国を提訴

 JR東海が二〇二七年に品川(東京)-名古屋間で開業を目指し建設中のリニア中央新幹線は安全性が確保されておらず、自然環境への悪影響が大きいとして、沿線の一都六県の住民を中心とする七百三十八人が二十日、国に工事実施計画の認可を取り消すよう求める行政訴訟を東京地裁に起こした。

 リニアの工事実施計画は一四年十月、国土交通相が認可した。

 訴状では、リニア技術は未熟で、時速五百キロ走行には問題があると指摘。断層帯である中央構造線が走る山岳地帯を通ることは危険な上、全長の八割以上を占めるトンネル内で地震や火災が起きた場合の避難も難しいなど、安全性が確保されていないと主張している。

 また、工事による南アルプスの自然破壊や地下水脈への影響、トンネル掘削で発生する土の処分先の確保といった問題点があるのに、JR東海は環境影響評価(アセスメント)で十分な検討をしていないと批判している。

 提訴後、東京都内で記者会見した原告団長の川村晃生(てるお)慶応大名誉教授(69)は「JRの説明会で問題点を指摘してきたが、十分な回答が得られなかった。訴訟を通じて情報を入手し、反対運動をさらに進めたい」と話した。

 国土交通省は「訴状を受け取っていないので、コメントは差し控える」としている。

     ◇

 リニア中央新幹線の着工認可の取り消しを求める訴訟の静岡県の原告が二十日、県庁で記者会見した。会見した原告の林弘文静岡大名誉教授らによると、県内の原告は学者や山岳団体、環境問題の市民団体関係者ら四十人。

 林氏は「南アルプスのトンネル掘削工事で大井川の水量が減る」と指摘。竹本幸造県勤労者山岳連盟理事長は「トンネル工事で南アルプスの太古からの貴重な自然が破壊される」と訴えた。

リニア残土処分 豊丘村小園の住民の7割「反対」署名 信濃毎日新聞 16.5.20

 JR東海がリニア中央新幹線建設工事の残土を下伊那郡豊丘村神稲伴野区源道地(げんどうじ)の沢筋に埋め立てる計画を巡り、下流の小園地区で、全住民(560人余)の約7割に当たる391人から埋め立てに反対する署名が集まっていることが19日までに分かった。署名活動を進めた同地区の有志は村に対し、5月末までにJRに計画を撤回させることなどを求めている。実現しない場合は、村議会6月定例会に請願の提出を検討する。

 小園地区では4月中旬、地元住民9人が呼び掛け人となって「リニア残土NO!小園の会」(原道治会長)が発足。リニア開通に対する賛否は問わず、源道地の埋め立て計画を中止させ、村が県に示した埋め立ての候補地の取り下げを村に求める署名を4月下旬までに集めた。

 同会事務局の大沢俊郎氏(75)は「想像以上の賛同があり驚いた。住民の素直な不安な気持ちが一つになった」とする。熊本地震の被災地で盛り土の被害が広範囲で出たことも、署名活動を後押ししたという。同会は5月上旬までに下平喜隆村長と非公式で2回話し合いの場を持ち、村としての対応を求めた。

 取材に対し、下平村長は「地権者とJRの話し合いを村が調整し、良い解決方法を図っていきたい」とした。JRの沢田尚夫・中央新幹線建設部担当部長は「どういった理由で反対されているのか承知していないが、ご理解いただけるよう説明をしていきたい」と述べた。

 源道地の候補地は谷あいの沢筋に2カ所あり、JRは計約51万7千立方メートルの残土を埋め立てる計画。作業用トンネル坑口の近くに位置し、村は工事用車両の走行距離が短く済み、住民生活への影響を抑えることができるとして源道地での処分を進める姿勢だった。

 一方、候補地から下流に約100メートルほどの地点からは小園地区の住宅が立ち並び、住民には地震が発生した際に土砂流出などの被害を招きかねないと懸念する声がある。4月12日には埋め立ての安全性を考える学習会が同地区で開かれ、署名活動のきっかけとなった。

リニア取り消し求め提訴 県内沿線住民含む738人 信濃毎日新聞 16.5.20

 JR東海のリニア中央新幹線計画に反対する沿線1都6県の住民らが20日午後、工事実施計画の認可取り消しを国に求める訴訟を東京地裁に起こした。原告団計738人の大規模訴訟で、県内からは飯田市や下伊那郡大鹿村など沿線住民ら29人が参加。生活被害や環境への影響が甚大などとし、総工費約9兆円の巨大プロジェクトの中止を訴える。
 原告団は県内や、東京、神奈川、山梨、静岡、岐阜、愛知の沿線住民らで構成。計画の認可取り消しを国土交通相に求めた2014年12月の異議申し立てに全員が関わっており、建設に反対する市民団体「リニア新幹線沿線住民ネットワーク」が呼び掛けた。
 原告団は訴状で、JR東海による環境影響評価は調査内容も情報公開も不十分で、これに基づく認可は環境影響評価法に違反していると主張。トンネル掘削と発生土の運搬による環境悪化、地下水や河川の枯渇、輸送の安全性などに懸念があるとし、「建設を強行することは社会的合理性に欠ける」としている。
 国は14年10月、JR東海に対し、東京(品川)―名古屋間286キロの工事実施計画を認可。同社は同区間の開業を27年に予定している。今年1月にリニア品川駅の工事に着手、2月には南アルプスの山岳トンネル(全長約25キロ)のうち下伊那郡大鹿村側から掘削する長野県側の工区(約8・4キロ)で共同企業体と工事契約を結ぶなど、各地で建設工事を本格化させている。

リニア認可取り消し求め提訴へ 残土膨大 行き場は? 処分先確保しなと「トイレなきマンション」(特報) 東京新聞 16.5.17 朝刊 26

地下水脈変化 水源枯渇も ユネスコのエコパーク 南アの自然 壊さないで(特報) 東京新聞 16.5.17 朝刊 27

リニア新幹線中止求め来週提訴 沿線住民ら700人超「南アルプス破壊や残土大量発生」と主張 産経ニュース 16.5.12

どうするリニア残土 東京・神奈川でドーム14個分 起点の品川駅着工 東京新聞 16.1.27 夕刊

 JR東海は二十七日午前、二〇二七年に東京-名古屋間の開業を目指すリニア中央新幹線の起点となる品川駅の工事に着手した。東海道新幹線の営業運転を続けながら、既存の駅舎の直下を四十メートルの深さまで掘り新駅を造る難工事を行う。

 同駅での起工式で、JR東海の山田佳臣(よしおみ)会長は「非常に神経を使う複雑な工事。日本の大動脈を発展的に維持する使命感で取り組みたい」と強調。舛添要一東京都知事は「品川駅は羽田空港に近く、世界と日本各地を結ぶ結節点。名古屋、大阪も通勤圏となり、リニア開通でさらに可能性が広がる」との見方を示した。

 今回の工事では、深さ十メートルの地点まで掘り進める計画で、二一年二月までを予定。地下部分は南北約四百五十メートル、幅六十メートルにわたる。その後、既存の駅舎の基礎を更新し、さらに深さ四十メートルまで掘削しながら新駅を建設する。新駅の完成時期は未定。

 リニア中央新幹線での品川-名古屋間の総延長は二八五・六キロ。このうち86%の二四六・六キロがトンネルとなる。地下水脈への影響を抑えることや、東京ドーム四十六個分、五千六百八十万立方メートルに及ぶ大量の建設残土処理が大きな課題となる。

 残土は原則として、発生した都府県内で処理するが、都内の全区間(一九・四キロ)のトンネルから出る約六百万立方メートルの残土の行き先はまだ白紙だ。

 横浜市在住のジャーナリスト樫田秀樹さんによると、残土の量は都内と神奈川県内だけで千七百四十万立方メートル、東京ドーム十四個分に上る。東京都品川、大田区、町田市、川崎市の沿線に直径三十メートル超の非常口が計九カ所設置され、工事の残土が排出される。

 樫田さんは、残土を運ぶトラックによる生活環境の悪化なども今後大きな課題になってくると問題視。「長期間にわたり、ダンプカーが朝から晩まで行き交い続ければ、住民の生活が破壊される恐れがある。JR東海は説明会で市民の疑問に答えてこなかったが、積極的に情報公開して、説明責任を果たしてほしい」と指摘している。

 リニア建設に反対する市民でつくる「リニア新幹線沿線住民ネットワーク」の懸樋(かけひ)哲夫共同代表は「見切り発車の着工で、無理な受け入れが起きる恐れもある。環境への影響や事故防止がなおざりになってはならない」と訴えている。 (皆川剛、佐藤大)

リニアは「東京問題」 JCJ賞受賞・横浜の樫田さん「残土処理など関心を」 東京新聞 15.12.16

 最高時速五百キロで東京・品川-名古屋間を四十分で結ぶリニア中央新幹線が着工してから十七日で一年となる。横浜市在住のジャーナリスト樫田秀樹さん(56)の著書「悪夢の超特急リニア中央新幹線」(旬報社)が今年、注目された。超巨大事業には「夢の新線」「地域活性化」の期待が先行するが、樫田さんは「東京問題でもあることを知ってほしい」と話す。

 JR東海は十二年後の二〇二七年の同区間開業を目指し、大阪までの全面開通は四五年の予定だ。十八日に南アルプストンネルの山梨側工区の起工式を行う。

 樫田さんは一九九九年から取材を続け、市民集会で講演も行う。「大阪で聴衆が百人は集まるのに、春の東京では十五人と少なかった。残念なことに都民の関心が一番薄い」

 しかし著書が今年の日本ジャーナリスト会議(JCJ)賞を受賞し、リニア事業の実情を広めた。今後、都民らが関心を持ってほしい東京問題とは何か。

 「名古屋までは延長約二百八十六キロあり、実にトンネルが86%を占める。品川駅の地下四十メートルから掘り進めていき、膨大な建設残土が出るものの、多くの処分先が決まっていない」

 残土の量は東京都と神奈川県だけで千七百四十万立方メートル、東京ドーム十四杯分に上る。品川・大田区、川崎市、東京都町田市の沿線に直径三十メートル超の非常口を計九カ所設置。工事の残土が搬出され、開業後はトンネルの換気口と避難通路の非常施設となる。相模原市には神奈川県駅ができる。

 これから建設地の地権者との交渉をはじめ、残土を運ぶトラックによる生活環境の悪化、新幹線の三倍を超える電力の供給、総事業費九兆円の自己負担など課題は多い。樫田さんは「JR東海は説明会で市民の疑問に答えてこなかった。積極的に情報公開し、説明責任を果たしてほしい」と語った。

地下水保全措置や調査を実施 南木曽でリニア対策協、JR回答(長野) 中日新聞 15.10.21

 南木曽町の観光・商工、行政関係者でつくる「リニア中央新幹線対策協議会」が二十日、町役場で開かれ、JR東海は、協議会側が提出したリニア中央新幹線の建設工事に関する質問書に対する回答を提示。地下水関係では「破砕帯周辺の地下水に影響を及ぼす可能性があり、環境保全措置や事後調査を実施したい」との方針を示した。

 質問書は、工事用トンネルや土砂の仮置き場、地質や水資源などに関する九項目で、七月下旬に提出していた。

 回答のうち、工事用トンネルに設けられる土砂搬出口(二カ所)の削減には「削減すると施

工条件が厳しくなる」として難しいと説明。土砂の仮置き場の管理では「適切にするよう請負業者に指導する」とした。

 工事によって被害が出た場合の損害補償に関しては、被害などが出ないように配慮するとした上で「影響があった場合は因果関係を確認して対応する」と回答した。

 このほか、妻籠地区の湧き水状況を目視で確かめる地表踏査は十一月ごろ、地中に埋設した電線から漏れる電量を測る地質調査は十一月以降に、それぞれ実施する考えを示した。

 JR東海の回答について、協議会側からはより具体的な説明を求める意見が相次いだ。同協議会は、十二月に開く次回の会合で今後の対応などを話し合う。

リニアは今<2> 「地域社会維持を」集落分断 神奈川新聞 15.9.22

一層の環境対策求める声 リニア工事、大鹿村で住民説明会(長野) 中日新聞 15.6.4

JR東海は二日夜、リニア中央新幹線の建設にかかわる道路改良などについての住民説明会を大鹿村で開き、これまで今秋としていた村内のトンネル工事着工が今冬にずれ込むことを明らかにした。

 時期の変更は県や地元とのもろもろの調整状況を総合的に検討したためといい、具体的理由は示さなかった。

 同村では、南アルプスを貫く長大トンネルの掘削工事が行われる予定で、これがリニアの県内ルートで最初の工事となる。

 二日夜に大鹿村交流センターで開かれた、リニア中央新幹線に関するJR東海の住民説明会。JR側は、建設工事で発生する残土を運搬する工事用車両の急増が懸念されている問題について、村内八カ所に残土の仮置き場を設けることで、通行量を一日最大千七百三十六台(往復)から三百八十台余り減らすことが可能との試算を提示。集まった約百八十人の村民らからは、JRの説明スタンスへの不満や、さらなる環境対策を求める声が相次いだ。

 JRと、同席した中部電力による主な説明は以下の通り。

 【道路の改良】県道松川インター大鹿線は、柳沢洞橋付近で三カ所、柳沢口付近で四カ所、西下トンネル付近で一カ所の拡幅を検討。西下トンネル付近と滝沢トンネル付近では二車線のトンネル新設を県と共同で計画しており、負担割合は今後協議する。

 (釜沢地区のトンネル非常口と村中心部を結ぶ)県道赤石岳公園線は、上市場地区で一カ所、上蔵地区で五カ所、小渋温泉から日向休地区で二カ所、釜沢地区で三カ所の改良を実施する。国道152号は検討段階だが四カ所の拡幅が必要。下榑渡橋は幅員が狭く、工事用車両専用の仮桟橋設置を検討している。

 【発生土の仮置きによる工事用車両台数の平準化】釜沢地区に四カ所、青木・上蔵地区に四カ所の計五十七万立方メートルの仮置き場を計画。これにより、ピーク時の通行車両を一日千三百五十台に引き下げることができる。千二百台にするにはさらに十三万立方メートル、千台にするにはさらに四十九万立方メートルの仮置き場が必要になる。

 【送電線の地中化】故障や事故時の復旧に時間がかかる、建設時の発生土量が多くなる、設備寿命が短くなる、建設費が極めて高くなる、などの点から架空送電線を想定している。送電線の長さは、豊丘村内に新設する変電所から小渋川変電所までで十一キロで、鉄塔は三十~四十基設置する。うち村内は四キロで鉄塔は十~十五基。景観対策を施した低光沢仕様の設備を検討。今後三年間で調査測量などを行い、二〇一九年度から送電線の工事にかかりたい。

 【工事スケジュール】トンネル工事は、釜沢地区に設置される非常口で今冬から予定。橋梁(きょうりょう)は一七年度から。変電施設の設置予定地は一六、一七年度は発生土の仮置き場として使用し、一八年度に土を運搬してから工事に着手する。県道松川インター大鹿線は今秋にも着手し、一八年春ごろまでに完了したい。赤石岳公園線、国道152号については今冬から着手したい。

◆「納得できぬ」住民からは不満

 「ご理解をお願いしたい」と繰り返すJR東海と、JRや中電の説明にはとても納得できないという住民側。二日午後七時に始まった説明会は予定の時間が大幅に延び、午後十時十分まで質疑が続いた。

 会場から真っ先に不満の声が上がったのは、JR側が説明資料の抜粋しか配布しなかったことだった。JRは「これだけ配布すれば理解していただけると思った」と弁解。一日付で村内に設置した中央新幹線長野工事事務所大鹿分室ですべてを閲覧できるように準備するとした。

 JRの姿勢に対しては「『誠心誠意』というのなら、住民説明会で出た意見を取り入れる姿勢を見せてほしい」「動植物への影響は大きい。対応策をどれくらい考えているのか」などの声が相次いだ。

 また送電線の地中化をめぐっては、住民が「大鹿のための電気が通ってくるわけではない。必ず地中化して」と要望したが、中電は「安定したリニアの運行のためには架空線がふさわしい。鉄塔や電線の色を目立たなくして景観悪化の軽減に努めたい」と述べるにとどまった。

 同村鹿塩で豆腐店を営む森さよこさん(56)は「環境を守りたい村民側と、なんとしてでも推し進めたいJR側の間に大きな隔たりがある。何もかも『ご理解を』で、我慢を押しつけられていると感じる」と話していた。

リニア建設「森林壊す」 住民・登山者 疑問の声 断層対策も不十分 「着工より合意形成を」(こち特報部・ニュースの追跡) 東京新聞 15.5.25 朝刊 22