農業情報研究所環境原子力資料紹介2011年4月28日

それでも人類は原発を棄てるべきではない 英国エネルギー・気候変動担当相

 チェルノブイリ25周年と東電福島原発事故が重なり、多くの国で多くの反原発・脱原発デモが繰り広げられている。それにもかかわらず、日本を含む大多数のの国の政府は原子力エネルギーを棄てるつもりがない。ウクライナ・キエフで開かれたチェルノブイリに関する会議に出席したチャールズ・ヘンドリィ 英国エネルギー・気候変担当相の意見は、これら政府の意見を代表する。キエフ・ポスト紙とのインタビューに応じた彼は、人類は原発を拒否してはならないと言う。その論理は?

 以下は、キエフ・ポスト(KP)とヘンドリィ(CH)との一問一答の抄訳である。管首相も、その後釜を狙う政治家も、これは覚えておいた方がいいかもしれない。

 British energy minister: Mankind should not refuse nuclear power,Kyiv Post,11.4.27
 http://www.kyivpost.com/news/nation/detail/103042/


 KP:チェルノブイリの爆発からたった25年後の東電福島の重大事故だ。次の事故も時間の問題ではないか?

 CH:我々は安全を最優先する。原子炉のタイプは、チェルノブイリや東電福島より50年も進んでいる。イギリスでは、東電から何が学べるか、独立検査官に研究させる。

 KP:いつの日か人類が地球から消えることを望まないなら、人類はチェルノブイリと東電の事故に学び、核エネルギーの利用を拒否すべきだと思わないか?

 CH:そうは思わない。核は低炭素電力源への第一の道だ。それは気候変動抑制を可能にする。また、最も安上がりな大規模な低炭素テクノロジーだ。

 KP:核エネルギーの代替物はあるか?

 CH:イギリスではさまざまなテクノロジーを探究しており、一つのエネルギーに頼るつもりはない。核は一部をなす。再生可能エネルギーが大きな役割を演じることを望んでいる。炭素排出を大きく減らすことを可能にする石炭・石油・ガスの炭素捕獲技術の開発にも非常に熱心だ。

 KP:いつの日か、代替エネルギー源が核エネルギーに取って代わることは可能か?

 CH:我々は炭素排出を2050年までに80%減らすさまざまな方法を探ってきた。これは法的要請だ。核はその重要部分をなす。それなしでも80%削減は可能だが、非常に高くつく。消費者に安価なエネルギーを供給するために、核を継続する。再生可能エネルギーは基本的需要を満たせず、風力は不安定、核は24時間働き、予測可能だ。

 KP:核エネルギー代替はないということか?

 CH:安全性への懸念から核を棄てねばならないと感じれば低炭素の目標を達成する別の方法はあるが、大部分は高すぎる。だから、代替はあるが、核は推進する。

 
 KP:世界中で何百もの原発が建設中であるか、計画されている。これらの計画は、東電以後、停止されるだろうか。

 CH:それは国ごとにさまざまだ。

 KP:ウクライナや日本で起きたと同じことは他の国でも起こらないと誰が保証できるか?

 CH:ウクライナでは技術のために事故が起きた。技術は進歩したから、同じようなことは二度と起きない。日本の事故は、特に原発ぞのものに破滅的影響を与えるバックアップを襲った巨大な地震と津波が引き起こしたものだ。極端な天候条件から原発をどう守るか学ぶ必要はあるが、その他の点では原発は他の電力源よりもずっと安全だという記録がある。石炭発電は、毎年数千の人々を殺している。


 KPに成り代わっての農業情報研究所の質問:イギリスでは今、1940年以来のすべての核廃棄物がセラフィールドの地上に貯蔵されている。一時、カンブリアに白羽の矢が立てられた深地層処分場の建設は、地元の強い抵抗があって実現の見通しが立っていない。日本同様、地上貯蔵所が満杯になる日がすぐそこに迫っている。それでも安全は確保できるのか。日本の例は、プールに貯蔵された使用済み核燃料も重大事故を引き起こし得ることを示している。安全な廃棄物処理をどう確保するつもりか?

 CH:・・・(口ごもって答えられず)