英国検査院報告、セラフィールドMOX工場閉鎖も選択肢

農業情報研究所(WAPIC)

04.10.19

 18日付の英国”ガーディアン”紙の報道(Sellafield's £600m nuclear fuel factory faces closure before opening,The Guardian,10.18)によると、今までに納税者に6億ポンド(約1,200億円)の負担をかけた核燃料工場が、一銭の収益をもたらすこともなく閉鎖されることにかもしれない。ガーディアン紙は7月、ブレア首相が工場の生産開始を命じたとき、工場は財政破綻に陥るだろうという閣僚からの警告を退けたと暴露した。これに続き、議会のお目付け役・国家検査院の長であるジョン・ボーンによる調査が、政府内で閉鎖の選択肢が議論されていることを明らかにしたという。

 国有の英国核燃料社(BNFL)のこのセラフィールド工場は、海外原発からの注文を受け、使用済み核燃料から取り出した小量のプルトニウムとウラニウムの混合酸化物(MOX)から新たな核燃料を作る、いわゆるMOX工場だが、深刻な技術的問題から計画実現は8年も遅れている。なお一つの製品引渡しもできず、事実上破産に等しい負債が積み重なるばかりだ。閉鎖となれば、最初の契約の履行もできないことになる。だが、ジョン・ボーン氏は、閉鎖には、さらに2億2,500ポンド(450億円)の公的資金が必要になることも発見したという。

 調査はミーチャー前環境担当相のときに始まった。ミーチャー氏は政府内で工場の操業開始に反対したが、ブレア首相により退けられた。そのミーチャー氏は、何も生産する前に政府が閉鎖を考えているのは驚きだ、想像以上に状況が悪化していると語ったという。

 ジョン・ボーン氏は報告で、「工場の将来に関するいかなる決定も、事業継続か閉鎖の選択にかかわることになる」、また「即時閉鎖の決定は、顧客への違約金支払も含め、大きな費用を生み出す」と言う。BNFLは工場を財政的に存続できるようにする十分な注文が得られると主張してきたが、今までに受注したのは2件にすぎない。報告は、BNFLがなおこの主張を続けていると言い、さらに調査結果は、操業を続けるよりも即座に閉鎖するほうが、はるかに高い費用がかかるとも言う。英国通商産業省(DTI)は、MOX工場の改善プログラムを調査中で、技術的問題が克服できるかどうか決めつつあると言う。

 政府は来春にも工場の将来を見直すことになりそうだが、この点について、BNFLの負債の増加は、英国核廃棄物処分の資金をMOX工場の収益から調達しようとしている大蔵省を困惑させるだろうという。英国の核廃棄物の山の処分を引き受ける核解体機関が来年4月に発足するが、大蔵省は、その年々の20億ポンド(4,000億円)の費用の半分はセラフィールドのMOX工場と関連再処理事業の収益で賄うように要求してきた。