農業情報研究所環境原子力東電福島第一原発事故関係2018年6月8日

除染土再利用で早速「風評被害」 遠のくばかりの福島農業再生

 東電福島第一原発事故の後始末=除染で出た大量の放射性物質汚染土の最終処分どころか“中間貯蔵”にも窮した環境省は考えた、そうだ、これを全国の道路や堤防、鉄道の建設事業、さらに農地の造成事業にも「再利用」すればいい、そうすれば福島の復興に役立つばかりか、高度汚染地域の農地再生にも役立ち、被災地、被災農民にも喜ばれるに違いない。

 しかし、いきなりそんなことを本格実施すれば、原発事故災害処理が片付きつつあるときに二次災害を呼ぶと恐れる地域住民の反発は免れない。かくて、除染土再利用「実証試験事業」が各地で始まろうとしている(原発事故 第二の福島第一原発事故 除染土の全国的再利用 環境省”試験事業”に注意せよ 時評日日 2018327日)。

 避難区域外福島県二本松市でも、棚田の横の幅3メートルほどの非舗装市道を掘り返し、近くの仮置き場に積まれた汚染土五百袋を路床材として埋めるという(汚染土壌 再生利用に「待った!」汚染拡散 住民「寝耳に水」(坂本充孝のふくしま便り) 東京新聞 18.3.27 朝刊 4面)。市民団体は、「実施を決めた経過が不透明で、風評被害を招きかねない」、除染廃棄物を県外で最終処分すると定めた法律にも反すると中止を求めている(<原発事故>除染土再利用の実験中止を要請 福島・二本松の市民団体 河北新報 18.2.2)。

 「風評被害を招きかねない」は杞憂ではなかった。今日の河北新報紙によると、「予定地周辺の稲を使った家畜用発酵飼料を手掛ける市内の生産組合が、取引先から購入を拒まれていることが7日、分かった。・・・事業予定地は同市原セ才木(はらせさいき)地区。飼料は市内の畜産農家5戸でつくる安達太良飼料生産受託組合が生産主体となり、一部を外部に販売している」が、「昨年飼料を販売した県内の大規模畜産農家から5月上旬、「そういう餌は要らない」と連絡があった。理由について「除染土再利用事業の影響を不安視する顧客から問い合わせがあった」といった趣旨の説明を受けたという」。

 生産組合の高野組合長は『原発事故直後のような風評被害はやっと収まってきたのに、これでは同じことの繰り返しだ。原セ才木で実証事業をやる必要がどこにあるのか」と憤っているそうである(<除染土活用>はや風評 売れぬ飼料 二本松の道路造成事業、計画段階の被害に困惑 河北新報 18.6.8)。

 まさに「二次災害」だろう。風評払拭を復興に向けた最大の課題とする政府(福島の空間放射線量 全国・海外主要都市と同水準 人を欺く政府風評払拭「戦略」 農業情報研究所 17.12.13)が自ら引き起こした二次災害だ。福島農業の再生は遠のくばかりだ。