農業情報研究所環境原子力東電福島第一原発事故関係2011年4月22日

警戒区域内の放射線量はバラバラ 何を根拠に強制退去 安全確保の真意を疑う

 政府の指示によって原則一律立入禁止の「警戒区域」に指定された東電福島第一原発から半径20キロ圏の放射線量の調査結果が初めて公表された。

 文部科学省 福島第一原子力発電所20km圏内の空間放射線量率の測定結果(4月21日)

 4月18−19日に測定されたという放射線量は、木造住宅に居住の場合には健康被害の危険が増すとされる毎時0.019ミリシーベルトを超えるのは17地点、双葉町や大熊町の中の原発から5キロ圏内の地点と、浪江町北西部に限られる。原発から南に10キロ以上離れた梄葉町の全測定地点と富岡町の一部、西方の田村市と大熊町西端部、5キロ以上北に離れた浪江町西部(沿岸部)や南相馬市では、すべての測定地点で、学校等の屋外活動を制限する基準値とされた0.0038ミリシーベルト(一日8時間の屋外活動を想定して、年間被曝量は20ミリシーベルト)も下回っている。

 これでは、罰金付きで一律退去を強制される住民は納得できないだろう。政府の原発事故避難対策は矛盾だらけ、これに関しては政府は無能というほかない。一方では、本来は1ミリシーベルト以下にとどめる べき年間被曝量を、放射線の影響を受けやすい子供についてさえ20ミリシーベルトまで許容、子供を見殺しにするのかとの批判さえ呼ぶ”現実的”な選択をする。かと思うと、このレベルに達しない区域の住民はすべて強制的に追い立てる。何の罪を犯したわけでもないのに、理由も告げられず、行先も保証されないで出て行けと言われて納得できる住民がいるだろうか。これは、秘密主義に基づく圧政ではないか。

 キエフに滞在した2日の間にチェルノブイリ事故が起きたが、モスクワに戻って外国からの情報で初めて事故を知ることになった元ロイター通信員は、圧政的で秘密主義的な政治システムは安全性の文化を欠き、危機においては無責任に行動するというのがチェルノブイリの最も重要な教訓だと書く。

 Chernobyl’s guide to tyranny ,FT.com,4.19