農業情報研究所東電福島第一原発事故関係2011年9月8日

那須塩原市、那須町のコメ 放射性物質不検出 検査方法に改めて疑問

  栃木県が9月7日、大田原市、那須塩原市、那須烏山市、那須町、那珂川町の今年産米放射性物質本検査の結果を公表した。各市町の旧市町ごとに一点の検査をした結果である。すべての旧市町で放射性物質(放射性セシウム)は不検出、市・町の全体で出荷が可能とされた。

 http://www.pref.tochigi.lg.jp/g03/documents/230907kekka.pdf

 しかし、この結果は不自然と感じざるを得ない。農地土壌の放射性セシウム濃度が1000ベクレル(/kg)を大きく下回る那須烏山市、那珂川町、大田原市についてはこれも当然かもしれない。しかし、全調査地点8地点のうち3地点で1500ベクレルを超え、1地点では3971ベクレルもの土壌汚染が見られる那須塩原市・那須町(農地土壌の放射性物質濃度の調査結果(栃木県、2011年8月31日))でまったく検出されないというのは、常識的には考えられない。1000ベクレルをわずかに超える調査地点が2ヵ所ある日光市では55ベクレル、21ベクレルの玄米が見つかっている (日光市、那須塩原市、那須町の土壌の種類に大きな違いはなさそうだ→農業環境技術研究所:土壌情報閲覧システム)。土壌放射性セシウム濃度がずっと低い茨城県や千葉県の玄米からさえ、2452ベクレルの放射性セシウムが検出されている(玄米から放射性セシウムが検出された例の一覧)。

 恐らくは、旧市町の中でも土壌汚染度には大きな差があり、旧市町ごとの一点の検査ではあり得る玄米の汚染を見逃す可能性があると思われるが、この検査結果はそれを裏付けるのではなかろうか。検査結果への(消費者の)信頼度を高めるためには、検査対象を大幅に増やす必要がある。また、採取された検体が育った土壌の汚染度も調査、それを公表することで検査結果への信頼度を高めることができよう。それは、未だ分かっていない土壌からコメへの放射性セシウム移行割合(係数)の 解明にも役立つ。

 放射性セシウム濃度が3971べクレルの水田で育つ稲の玄米の放射性セシウム濃度は最大で160ベクレル程度と推定される(進むコメのセシウム検査 規制値超えの可能性はゼロに近いが 消費者は?稲わらは?)。暫定規制値500ベクレルを下回る (出荷可能)とはいえ、これが明らかになれば消費者(特に子どもを持つ親)は受け入れない恐れがある。しかし、こんな汚染土壌がありながらコメの汚染はまったくないという検査結果は、却って消費者の検査体制への不信を、従ってコメ全体の安全性への不信を招きかねない。

 消費者のコメ離れを止めるためにも、コメの放射性物質検査体制を早急に見直す必要があるように思われる。