農業情報研究所環境原子力東電福島第一原発事故関係2011年10月27日

11年産稲わらの飼料利用が次々解禁 水分補正で暫定許容値超えは皆無

  福島県が10月26日、「伊達市」「桑折町」「国見町」「二本松市」をはじめとする16市町村64点の11年産稲わらの放射性物質緊急時モニタリング検査結果を公表した。全ての地点で暫定許容値であるキログラム当たり300ベクレル(300Bq/kg)を下回ったから、飼料利用を全面解禁するという。

  H23.10.26公表:稲わら(H23.10.6〜10.19採取分)

 変だと思わないか。農水省は9月30日、放射性セシウム濃度が土壌改良資材等の暫定許容値(400Bq/kg)を超えた場合、関係都県は、もみがら、稲わらを土壌改良資材等に利用しないよう指導せよという通知で、もみがら中の放射性セシウム濃度は玄米中の放射性セシウム濃度の3倍として算出するのが適当とした。つまり、もみがらには玄米中の放射性セシウムの3倍の放射性セシウムが含まれるというのである(農水省 平成23年産稲からのもみがら・稲わら通知 私には実行不能)。

 それでいて稲わらと玄米の放射性セシウム濃度の比率については何も言わないのは変な話だが、稲の中のセシウムは、稲わら、白米、、ぬか、もみ殻、根にそれぞれ73%、7%、10%、7%、3%が分布するという畜産草地研究所の研究に照らしても、この濃度比がもみがらと玄米の比率3以上になのは確実であろう。この比率を3と仮定すると、玄米の濃度が300÷3=100Bq/kgを上回った場所の稲わらは飼料利用の暫定許容値を超える。この濃度比を5とすれば、玄米の濃度が60Bq/kgを上回れば暫定許容値を超えることになる。

 ところが、伊達市と国見町の玄米本調査では、163Bq/kgを筆頭に、2点が100Bq/kgを超え、4点が60Bq/kgを超えている(2011年産米放射性物質検査結果)。それなのに暫定許容値を超える稲わらが一つもないとはどういうことなのか。

 理由の一つは、調査された稲わらの点数が少なすぎ、汚染の実態が正しく捉えられていないことにある。例えば玄米本調査では、伊達市で42点、国見町で10点が調査されたが、稲わらでは伊達市で5点、国見町で3点が調査されたにすぐない。

 もっと重要なのは、乾燥した稲わらの濃度実測値が、水分含有量80%をベースとする牧草の暫定許容値と比較するために、水分80%の値に補正されてしまうことだ。そのために、伊達市の稲わら3点の実測値は133(セシウム134:55+セシウム137:78)Bq/kg、380(180+200)Bq/kg、960(430+530)Bq/kgと、5点中2点で暫定許容値を上回るのに、暫定許容値と比較し、飼料利用の可否を判断するために使われる水分補正値は38Bq/kg、108Bq/kg、251Bq/kgにまで下がってしまう。

 しかし、こんな補正を何故行わねばならないのか。収穫され、乾燥された稲わらは、そのままの状態で家畜の飼料に供される。家畜の口には実測値の放射性セシウム濃度の稲わらが入るのだ。 補正しなけれなならない理由は全く理解できない。これは、飼料利用が許されず、処分に困る稲わらを出さないために農水省が仕掛けたカラクリに なのではないかと疑いたくなる。だから、もみがらのよう玄米との濃度比を示さなかったのではないか。

 この調子で、福島のみならず、どこの稲わらも飼料利用が許されつつある。結果は放射性セシウム汚染牛肉の続出、牛肉はますます売れなくなるだろう。牛農家は、暫定許容値を超えようが超えまいが、汚染稲わらは一切使わないことだ。行き場を失った稲わらは、すべて東電にお引き取り願えばいい。