業情報研究所環境原子力東電福島第一原発事故関係2011年11月29日

福島 放射性セシウム暫定規制値超玄米がさらに 脅かされる食品安全、農業存続、農業者の健康

 これを書いている時点では県のホームページには公表されていないが、新聞報道によると、福島県が28日、伊達市霊山町小国地区(旧小国村)2戸、月舘町(旧月舘町)1戸の米から国の暫定基準値を超える放射性セシウムが検出されたと発表したそうである。

 両旧町村は特定避難勧奨地点を含む地域で、県は旧小国村の101戸119点、旧月舘町の6戸8点を調べた。旧小国村の2戸からは580、780ベクレル/kg、旧月舘町の1戸からは1050ベクレル/kgが検出された。

 旧小国村2戸の米はJAの保管米や自家保有米がほとんどだが、直売所に出荷された18キロのうち、9キロは販売済みとみられる。旧月舘町1戸の米は全て自家保有米か、JAに保管されていたという。

 伊達市のコメも基準超 福島市大波でも新たに4戸 福島民報 11.11.29

 相変わらず、当該水田の正確な位置や土性や土壌の放射性セシウム濃度については何の情報もない。従って、どうして規制値超えの米が出たのかも知りようがない。

 農業環境技術研究所の土壌図によると、旧小国村については砂質から粘土質までの様々な土壌―細粒灰色低地土、細粒黄色土、細粒褐色低地土、細粒褐色森林土、中粗粒褐色森林土―が混在している。月舘についても同様だ。従って、それぞれの玄米への土壌中セシウムの移行係数がどれほどのものかは、(水田の位置が地図上で確認できないかぎり)、見当のつけようがない。

 移行係数が最大で0.2(土壌中のセシウムのすべてが水に溶けだした場合)、最小で0.005〜0.015(灰色低地度を使っての福島県総合農業センターの試験研究結果)とすると、小国の当該水田の放射性セシウム濃度は、玄米580ベクレルの場合は2,900〜39,000〜116,000ベクレル/kg、玄米780ベクレルの場合は3,900〜52,000〜156,000となる。月舘の場合は5,250〜70,000〜210,000ベクレル/kgとなる。

 他方、既存の土壌調査では、旧小国町の水田土壌調査は皆無である(畑について9地点の調査があり、最高8,571ベクレル/kg)。旧月舘町については4地点の水田での調査があり、最高は3,965ベクレル/kgだった。いずれにおいても、既存土壌調査では、これほどの高濃度玄米汚染を予想できるほどの水田土壌汚染は見逃されていたということになる。

 http://www.s.affrc.go.jp/docs/press/pdf/110830-24.pdf

 これが本調査での玄米高濃度汚染を見逃す遠因となった。それだけではない。稲わら等の利用についても重大な問題を惹起する。県は10月末までに、伊達市のすべての今年産稲わらの飼料用利用を認めている。まだ使われていなければ幸いだが、すでに使われていれば牛肉汚染を引き起すことになる。使用が停止されれば、またまた行き場のない汚染稲わらの追加となる。

 http://wwwcms.pref.fukushima.jp/download/1/chikusan_shinsai-inawara1031.pdf

 牛への汚染稲わらの給与は、堆肥の汚染にもつながる。稲わらを畜産に使い、堆肥を稲作などに活用する農業の循環システムが危機に瀕する。杜撰な土壌調査に基づく今年の稲作付許可は、食品安全だけでなく、農業の存続にもかかかわる解決の糸口も見えない重大問題を引き起こしつつある。さらに、高濃度汚染土壌の上で働く農業者の健康被害さえ心配される。

 堆肥の山行き場なし 許容値超の放射性物質 循環型農業に危機 福島民報 11.11.24
 
放射性物質で地元堆肥使えず 土づくりコスト増 福島・JAみちのく安達 「耕畜連携崩壊招く」 除染技術確立急げ

  福島の米・牛農家、汚染米、汚染稲わら、汚染堆肥を霞が関に投げつけい思いではないか。