農業情報研究所環境原子力東電福島第一原発事故関係201726

帰還困難区域「復興拠点」は地域再生のためでなく予算で決まる 避難指示解除は住民ではなく国のため

 東電福島第一原発事故による年50ミリシーベルト以上の高濃度汚染で人がいつ住めるようになるか分らない「帰還困難区域」、政府は国費を投じて除染やインフラ整備を進め、5年後をめどに避難指示を解除する「特定復興拠点」を設ける方針を示しているが(帰還困難区域に復興拠点 避難指示5年後解除方針 福島民報 16.12.21)、その特定復興拠点の面積が帰還困難区域の5%にとどまるという政府試算があることが分ったそうである(帰還困難区域、解除5% 5年後めど 国が面積試算 朝日新聞 17.2.6)。

 復興庁は2020年度までの4年間で使える復興予算を基本に、帰還が見込まれる住民の数や、農地の再利用の見通しなどから拠点の対象面積を試算、結果は計1500~2000㌶、帰還困難区域全体の面積3万3700㌶の4~6%にとどまる。しかし、帰還困難区域が町の大半を占める双葉町・大熊町は、もともと「核となる拠点を定め、除染しながら徐々に(拠点)範囲を広げるのが基本」という政府の基本的考え方に反発しており、地域の再生のために広範囲の拠点整備を要望している(復興拠点複数設置認める 復興相「柔軟に考える」 福島民報 17.1.29

 朝日の記事によれば、「2町は地域の再生などを念頭に、計3千ヘクタールを整備するよう求めるとみられる」とのことである。

 双葉・大熊両町がいかなる「地域の再生」を構想しているのかは知らない。しかし、それがどうであれ、「復興拠点」というからには、その位置や面積の決定に当たって「地域の再生」という目的を念頭におくべきは当然だ。ところが、復興庁は、「確保すべき」ではなく「使える予算」、「望ましい」ではなく「見込まれる」帰還住民数、「目指す」ではなく「見通される」農地再利用に基づいて拠点を決めるという。

 地域の再生、復興など本気で考えていない証拠だ。2月10日に閣議経決定されるという「福島復興再生特措法改正案」、ただ福島復興再生に取り組みますと見せかけるためにのみ構想されたということだ。

 「帰還困難区域」ではない、避難区域についてはこういう見せかけの復興再生が既に着々と進んでいる。この春(3月31日)、政府は富岡町・浪江町・飯舘村の帰還困難区域を除く区域と川俣町山木屋地区に対する避難指示を解除する。 

  「来春までに仮置き場の除染廃棄物はどれほど片付けられるのか」(<原発事故>飯舘17年3月避難解除目指す 河北新報 16.5.12)、「仮置き場にある除染廃棄物を早急に移してほしい」、「営農再開に向けた補助など支援策を示してほしい」、「(農業などの)具体的な補償策が示されていない」(<避難解除>川俣・山木屋住民「時期尚早」 河北新報 16.9.15)、 「インフラ整備が進んだというが、廃炉は進んでいない。なぜこんなにも早く指示を解除するのか」、、「帰らない人が損をすることがないようにしてほしい。帰らない人も尊重してほしい」(避難指示一部解除へ 浪江町民「廃炉状況は」(茨城) 東京新聞 17.1.28)、「解除を急いでいるようにしか考えられない。時期尚早だ」、「解除には反対しないが、イノシシ対策を強化してほしい」(町民から賛否両論 3月末避難指示解除案 浪江で懇談会 福島民報 17.1.27)、「福島第1原発に使用済み核燃料が残っている状態で安全なのか」、(4月1日避難解除に『賛否両論』 いわきで富岡町住民説明 福島民友 17.1.22)、「戻りたいが、若い人や乳幼児が帰っても安心して暮らせるのか」(<避難指示解除>住民「放射線量に不安」 河北新報 17.1.22)、こんな声を背に受けながら。

 3月31日解除をめぐる政府・町主催の浪江町住民懇談会、東京の避難先から参加した女性は「町が解除後、どんな浪江にしたいと考えているか分からない。私もいずれ帰るが、ただ『帰っていい』と言われるだけでは不安ばかり募る」と語ったそうである(<全町避難>浪江住民懇 民意の把握なおざり 河北新報 17.2.6)。ただ復興再生を見せかけるための「避難指示解除」、解除後、どんな浪江にしたいと考えている」のかなんて、国や町が答えられるはずもない。「避難指示解除」は住民ではない、国や東電のために行われるのである。