農業情報研究所


英国:ダイオキシン耐容摂取量引き下げを求める動き

農業情報研究所(WAPIC)

01.11.19 

 英国におけるダイオキシン・PCB規制の強化への動きが加速している。

 欧州委員会は、ダイオキシン(及びPCB)の人体や動物への蓄積や、PCBの毒性が以前考えられていたよりずっと深刻で、人間の健康への広範な影響があるという新たな証拠により、10月25日、環境・動物飼料・食品中にこれらが含まれる量を削減する戦略を採択している。そのなかには、これらの体重1s当たり・一日当たり摂取量の安全限界(耐容摂取量)を2ピコグラム(現在の英国の基準の5分の1)に引き下げる提案も含まれている(The Commission adopts strategy to reduce dioxins and PCBs in environment, feed and food)。

 16日、英国の「政府毒性委員会」は、この欧州委員会提案を支持することで合意した。同日、食品規格局(FSA)も、英国人口の3分の1が安全限界レベル以上のダイオキシンを含む食品を消費しており、バランスの取れた食事をとるべきだ勧告する声明を発表した(PCBs and dioxins ? Food Standards Agency statement)。

 環境保護団体「地球の友」は、やはり同日の「プレス・リリース」(GOVT TOLD TO CUT DIOXINS IN FOOD )で、政府に対して、ダイオキシンのレベルを削減するための国家戦略(既存発生源からのダイオキシン放出を削減するための対策を含む)、焼却のようなダイオキシン発生源のモラトリアム、ダイオキシン同様の人体に蓄積する他の化学物質の禁止(欧州委員会もこれら物質に対する対策を提案しているが、化学工業界が反対している)を要求している。

 政府委員会によれば、人々は体重1s当たり・一日当たり2ピコグラム以上を摂取してはならないが、特に乳児は、母親の体内に蓄積されたダイオキシンを含む母乳を与えられることで、これをはるかに上回る量を摂取している。

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