米国FDA、筋肉増強補助食品「アンドロ」の取り締まりへ

農業情報研究所

04.3.12

 米国食品医薬局(FDA)が11日、筋肉増強のために運動選手などに使われている「アンドロ」(アンドロステンジオン)を含む栄養補助食品の販売の取り締まりを開始、このような製品を製造または販売する23の業者に流通を止めるように警告した(HHS LAUNCHES CRACKDOWN ON PRODUCTS CONTAINING ANDRO FDA Warns Manufacturers To Stop Distributing Such Products)。これら製品は健康食品店やインターネットで容易に手に入れることができるが、安全性に関して深刻な懸念があるという。

 これは98年にホームラン記録を作ったカージナルスのマクガイヤーが服用していたものだ。製品は運動選手向けに売り出されているが、一般の若者、ボディービルダーにも人気がある。02年の政府の調査では、高校生40人のうち1人に使用経験があった。

 アンドロステンジオンは精巣・卵巣・副腎で自然に生成され、体内でテストステロンやエストロゲンに変わる。筋肉を急速に増強させるアナボリック・ステロイドのような強力なホルモンではなく、現在は医者の処方も必要がないが、この種のステロイドの前駆物質である。補助食品として販売されているその合成品は体内でステロイドに変わる。

 FDAは、その摂取により、肝臓病、攻撃性増加、正常な血液凝固や赤血球生産の変化などの危険が増すと指摘する。また、男性については、精巣萎縮やインポテンツ、女性については男性化や異常な月経出血、さらに乳癌等の危険もあるという。業者は、これは自然に生成するものだから94年の補助食品保健教育法の下での補助食品として利用できるようにすべきもので、薬品としての許可は無用と主張しているが、FDAは、販売されているものは合成されたもので、94年以前には販売されていなかったのだから、製造者と販売者は安全だということを示すテスト結果を提出しなければならないと言う。FDAは、ステロイド前駆物質を医者の処方が必要な物質に指定する提案されている法案を、議会が通過させるように要請している。

 これら製品は、代行輸入業者などを通じて日本でも容易に入手できるようだ。インターネットサイトにも広告宣伝が溢れている。