米国、フルオロキノロン系抗菌剤の禁止に近づく

農業情報研究所

04.3.12

 16日、米国食品医薬局(FDA)の行政方審判官が鶏の病気の治療に広く使われているフルオロキノロン系合成抗菌剤・バイトリル(バイエル社製品の商品名、日本でも中国産ウナギに基準以上の残留が発見されたエンロフロキサシン)の禁止を支持する決定を下した。

 一部のフルオロキノロン系抗菌剤は動物用に使われているが、その他は、鶏に多く発見されるバクテリア・カンピロバクターに汚染された食品を食べる米国人の不可欠な治療薬となっている。ところが、米国では抗菌剤抵抗性のカンピロバクターが増え、人間の治療に支障が出ている。その重要な要因の一つが鶏へのこの種の抗菌剤の使用にあることを突き止めたFDAは、2000年に二種のフルオロキノロン系抗菌剤の鶏への使用の禁止を提案した。他者は直ちにこれに合意したが、バイエル社だけは反対、販売を続けてきた。審判官のこの日の決定は、鶏へのバイトリルの使用の安全性には重大な疑問があるとしてFDAの禁止を支持したものである。

 バイエル社は60日の期限内にFDAのコミッショナーに控訴できるが、コミッショナーの介入がないかぎり、5月末には禁止が有効になる。

 なお、わが国では、2000年のFDAの禁止提案を受け、飼料添加物としての見直しを始めていると聞く。EUは人間に使われる抗生剤の飼料への添加を既に禁止しており、成長促進のための抗生剤の完全廃止も06年に実現することになっている。

 ニュースソース
 Keep Antibiotics Working Praises Ruling Upholding Proposed Ban of Cipro-Like Drugs for Poultry; Urges Bayer to Comply with Ban,US Newswire,3.16
 
Judge Upholds Ban On Chicken Antibiotic,Washington Post,3.17