複合食品添加物の神経毒性は単体の毒性よりはるかに高いー英国の新研究

農業情報研究所(WAPIC)

05.12.22

  英国・ガーディアン紙によると、リバープール大学の研究者が、普通の食品添加物がいくつか組み合わさると神経組織の発達を妨げるように相互作用することを示唆する新たな実験結果を発表した。実験に使われた添加物は、低カロリーの甘味料・アスパルテーム、化学調味料・グルタミン酸ナトリウム(MSG)、人工着色料・食用青色1号とキノリン・イエローの4種類である。マウスの神経細胞を、典型的な子供のスナックとドリンクから血流に入ると考えられる濃度で結合したこれらの添加物に曝した。

 そうすると、神経細胞の成長がストップし、情報伝達が妨げられた。添加物が結合すると、個々の添加物よりもはるかに大きな影響が見られた。個々の添加物に比べての細胞への影響は、食用青色1号とMSGの複合で4倍、キノリン・イエローとアスパルテームの複合では7倍にもなり得る。研究者は、「これら結果は、どちらの複合物も個々の物質の総計から予想されるよりも一層毒性が高い可能性があることを示す」と結論したという。この研究結果は、先週のToxicological Sciences誌に発表された。

 Combining food additives may be harmful, say researchers,The Guardian,12.21
  http://www.guardian.co.uk/science/story/0,3605,1671819,00.html

 添加物は個々の安全性の評価に基づき許可される。しかし、研究者は、「単体の食品添加物の利用は神経組織の発達に関して比較的安全と信じられているものの、それらの複合影響は不明確だ。我々は、添加物を混合するときには、影響は悪化する可能性があると考える」と言う。

 研究者によると、研究に使われた着色料はEUで安全な食品添加物として認められた合成染料だ。しかし、食用青色1号 (E133) は、過去にいくつかのヨーロッパ諸国が禁止していた。キノリン・イエロー (E104) はオーストラリア、ノルウェー、米国で食品への利用が禁止されている。以前の研究は、MSG (E621) とアスパルテーム (E951)の分解物の一つであるアスパラギン酸が神経毒性をもつことを示している。

 この研究結果を受け、食品基準庁(FSA)は、完全な評価のためには一層の研究が必要、研究対象となった添加物はすべて、厳格な安全性評価に従う現在のEU立法の下で食品への利用が許されているとする声明を出した。製造業者を代弁する食品・飲料連盟は、研究された添加物は、すべてEUの専門科学委員会により安全と認められてきたと言う。甘味料産業を代表するアスパルテーム情報サービスは、この研究はマウス細胞を実験室で未消化のアスパルテームに曝したものだから、”意味のある情報を提供するものではない、我々がアスパルテームを消費するときには消化システムで通常の食事成分に分解される、これは25年間にわたり安全に利用されてきたし、130ヵ国以上で審査され、承認されてきたと、この研究を撥ね付ける。

 しかし、これらの発言は、どれもこれも、添加物の複合影響に向けられた研究者の関心とは噛み合わない。