閉経症候群治療製品・ブラックコホシュに肝臓障害のリスク 英国当局が規制強化

農業情報研究所(WAPIC)

06.7.20

 英国の医薬品及び健康管理製品規制機関(MHRA)が19日、閉経症候群などの治療に広く使われているハーブ・ブラックコホシュが様々な肝臓障害と関連していると発表した。

 NHRA:Black cohosh (Cimicifuga racemosa) - risk of liver problems,06.7.19

  ブラックコホシュは、リウマチ、慢性関節リウマチ、関節痛、筋肉痛、神経痛などに治療に使われてきたが、現在はホットフラッシュ・寝汗・関節痛・頭痛・不眠症・動悸などの閉経症候群の治療に普通に使われているという。

 しかし、MHRAは、2006年5月31日までに、ブラックコホシュに関連した有害作用が疑われる31の報告を受け取った。そのうちの22例は肝機能異常(15例)から肝機能不全の1例を含む様々な形の肝炎(6例)に至る肝臓反応の報告だった。一般的には、ブラックコホシュの使用をやめた後に回復したか、回復途上にあるという。

 ブラックコホシュの使用に関連した潜在リスクをめぐる懸念は、最初、多くの肝毒性が報告された2004年にもちあがり、MHRAは保健専門家に警告を出した。有害作用を疑われる報告がさらに現れたことから、人間医薬品及びハーブ医薬品諮問委員会がブラックコホシュによる肝臓反応に関する利用可能なデータを見直し、これらのデータはブラックコホシュと肝臓障害のリスクとの間の因果関係を支持すると勧告した。

 すべてのブラックコホシュ製品の表示に警告が付け加えられれ、MHRAは、この潜在リスクについて人々が完全に知らされることを確保するために、販売許可保有者やハーブ部門と協働するという。

 MHARは、肝臓病には、黄疸、尿混濁、吐き気、嘔吐、衰弱、胃痛または腹部痛、食欲減退などの兆候や症候があり、これらの兆候・症候があると思う人は直ちにブラックコホシュの使用をやめ、医師のアドバイスを求めるべきだと言う。また、肝臓病やその他の深刻な病気を以前に経験した人は、最初に医者に知らせることなくブラックコホシュを服用すべきでないと勧告している。

 ブラックコホシュはわが国でも健康食品・サプリメントとして販売されている。一産婦人科医によると、「更年期、陣痛の促進、PMS[月経前症候群]、生理痛、消化不良、リュウマチ、熱、咽頭痛、咳、虫除け、マイルドな鎮静剤として使われます」が、「経口で適切に利用するなら安全、ただし6ヶ月まで。ブラックコホシュが肝機能障害をおこすという報告や、自己免疫性の肝炎を起こしたケースが報告されているが、ブラックコホシュが肝機能障害の原因になるという証拠は無い。使用にあったては、はっきりとわかるまで、肝機能をモニターすることが必要である」ということだ。

 産婦人科医大門美智子のサプリメント専門情報のブログ“サプリDEブログ”(ブラックコホシュ,2005,9.12)

 わが国でも、消費者への一層の情報提供と厳格な使用管理が必要になるかもしれない。