台湾 中国陽澄湖産上海ガニに発癌物質発見 産地は何の問題もないと怒る

農業情報研究所(WAPIC)

06.7.23

 わが国では上海ガニシーズンの到来に浮かれている食通もいるようだが、台湾では中国本土からの輸入上海ガニに発癌性抗菌物質・ニトロフランが発見され、不安が高まっている。

 台湾紙の報道によると、先週月曜日に経済部標準検験局が毛ガニ(上海ガニ)の貨物にこの発癌物質を検出した後、18日にも同じ物質を含むカニの6つの新たなバッチが発見された。保健部は、台湾に入国する旅行者が毛ガニを持ち込むことを禁止、中国から輸入される毛ガニには食品安全検査証明が必要になるという。

 保健部のデータによると、上海地域からの毛ガニの新たな6つのバッチのニトロフラン濃度は、平均で1.1ppbから1.25ppb、月曜日に検査されたバッチでは4.7ppbだった。当局は、中国からの発癌物質を含む3トンの毛ガニが既に消費されていると推定する。議員たちは、昨年来、中国からの毛ガニのバッチに発癌物質を含まれることが発見されたという情報を隠していると保健部を非難した。

 保健部の蕭東銘食品安全局長は、これ以上のカニが消費者に届くのを防ぐために厳しい措置が取られる、検査を強化し、台湾に入るすべての船荷はカニが法的上限を越える抗菌物質を含まないことを証明する検査報告を必要とすると言う。

 他方、中国からの毛ガニを輸入する企業の社長は、問題になったカニのすべては”台北農産物販売会社”(Taipei Farm Produce Marketing Co)が販売したもので、台北市保健部は船荷を検査、含まれる発癌物質の量は無視できると決定したと言っている。

 Tough measures introduced over toxin-laced crabs,Taipei Times,10.19
 http://www.taipeitimes.com/News/front/archives/2006/10/19/2003332348

 China Daily紙によると、台湾における毛ガニ消費は急減したが、中国本土では大きな影響は出ていない。上海中央ホテルのスポークスマンは、夕食で毛ガニを食べに来る人は減っていないという。

 これらのカニは、主産地である江 蘇 省の陽澄湖で育てられたものとされるが、地元養殖農民は、自身の調査では、これらのカニはいかなる健康問題も引き起こすものではないと怒っている。影響を受けた企業の一つの会長は、メディアと台湾当局者を陽澄湖に来るように招聘した、自分でカニを捕らえ、検査できる、問題が発見されれば全責任を負うが、そうでなければ彼ら責任を取るべきだといきまく。彼によると、産業団体は、カニの品質を護るためにすべての毛ガニ生産者とい海外ディーラーのチェックを強化してきた。 

 Farmers insist crabs pose no health risk,China Daily,10.21
 http://www.chinadaily.com.cn/china/2006-10/21/content_713582.htm

 他方、人民網によると、国家質量監督検疫検験総局は、「科学的かつ厳格な一連の検査検疫管理を行っているが、衛生上の品質問題は見つかっていない」と言っている。 その一方、「上海蟹が輸入国(地域)の衛生的要求を満たすため、質検総局は各地の検査検疫機構に対し、養殖から輸出時の検査にいたるまで、全過程における監督管理を行うよう求めた」ともいう。

 中国産上海蟹、衛生上問題は無し 質検総局 人民網日本語版 10.21
 http://j.peopledaily.com.cn/2006/10/21/jp20061021_64143.html