米連邦公取(FTC) モンサントの合成ホルモン・フリー牛乳広告取締り要求を拒否

農業情報研究所(WAPIC)

07.8.30

  米国連邦公正取引委員会(FTC)が、牛乳を合成ホルモン・フリー(合成ホルモンを含まない)と広告する企業の取り締まりを求めるモンサント社の訴えを退けた。

 モンサント社は、1993年に米食品医薬局(FDA)が牛への使用を許可した乳量を増加させる合成ホルモン・ rBST(牛成長ホルモン・bSTに似せた化学物質で、モンサントは遺伝子組み換え技術を使って大量生産している)を販売しているが、カナダとEUは、主に牛への健康影響を恐れ、その使用を禁止している。多くの米国酪農民も使用を拒否している。そして、セーフウェイ、クローガー等、合成ホルモン・フリー製品に転換する小売業者も増えている。

 自社製品の売り上げ減少を恐れるモンサントは、合成ホルモン・フリーの広告は、その方が安全であるとか、品質が優れていると消費者に誤解させ、ホルモンを投入されていない牛の乳の需要と価格を人工的に吊り上げると、FTCに調査、あるいは取り締まりを要求した。そのような誤解を生まない限りでrBSTを使用していないという表示を許可する食品医薬局(FDA)のルールがあるからだ。

 しかし、FTCは先週、審査した広告は安全性に関するいかなる誤解を導くものではなかったと結論した。ごく少数の小企業に対しては、そのウエブ・サイトでrBSTに関する根拠のない主張をしていたために警告し、主張の訂正を求めた。しかし、公式調査の開始、あるいは企業に対する措置の執行は拒否したということだ。

 モンサント社は、小売業者の動きは、長期的にはホルモンに対する需要に影響する恐れがあるが、現在の販売には”重大な影響”はなかったと言っているという。

 FTC Rejects Monsanto Claim Milk Ads On Hormones Are Misleading,Cattle Network,8.28
 http://www.cattlenetwork.com/Content.asp?ContentID=155964