腐った肉150トン ドイツ中の食品・ファストフード店に ミートホープだけではない

農業情報研究所(WAPIC)

07.9.1

  2006年6月以来、およそ150トンもの腐った肉がババリアからベルリンの食肉加工企業に手に渡り、ドイツ中の食品店やファーストフード店に配送されていた。トラック運転手から警察への内報で、ドイツのこんな食肉スキャンダルが発覚した。

 Rotten Meat Scandal Raises Stink in Germany,DW-world,8.31
 http://www.dw-world.de/dw/article/0,2144,2760787,00.html

 これを伝える報道によると、ドイツにおけるスキャンダルはこれが初めてではない。この何年にもわたり繰り返されてきた。今年2月にも、冷凍工場で数トンの腐った肉が見つかっている。これはイタリアからきたもので、フランスとロシアが行き先だった。昨年は、オーストリアとの国境近くのババリアの町の一企業が140トンの腐った肉を偽表示で販売していた。販売期限を4年も過ぎていたケースもある。2005年には、別の大規模スキャンダルもあった。

 こんなスキャンダルは世界中に転がっている。日本や中国だけではない。少しでもコストを減らさなければ生き残れないグローバル化時代の食品企業、モラルに訴え、取り締まりを強化することで、こんなスキャンダルがなくなるとは思えない。

 しかも、食品企業は少しでも安い”部品”を世界中から買い集めて完成品を組み立てる”組み立て”企業化しており、部品工場も国中、あるいは世界中に部品を供給するほどに大規模・専門化していないと生き残れないから、一社が”危険な部品”を出せば、被害はたちまち国中、世界中に広がる。ミートホープや米国における中国産”部品”入りペットフードのスキャンダルは、そうした例の一つにすぎない。

 それでも、消費者は”組み立て食品”をせっせと食べ続ける。確かな材料から自分で組み立てる術など、今は誰も教えてくれない。食育予算、どんな効果を上げているのだろうか。 英語教育なんかより、そういうことを教える方がよっぽど重要だ。