米国 国内安全基準を満たさない玩具やおしゃぶりの輸出が増加 

農業情報研究所(WAPIC)

07.9.4

  コスト増加を恐れてBSE特定危険部位の廃棄さえ拒絶する国だから今更驚くべきことでもないが、ワシントン・ポスト紙が報じるところによると、米国消費者安全委員会( CPSC)が米国製造業者による国内安全基準を満たさないおもちゃやおしゃぶりなどの輸出がますます増えていると言っている。米国の安全基準を満たさない品の輸出を計画したという通報は、02年には57回あったが、昨年は97回に増えた。

 このような輸出品には、おもちゃ、ライター、花火、衣類、化学物質、カーペット、おしゃぶりなどが含まれる。これらの品はベルギー、アイルランド、ニュージーランド、コロンビア、チェコ、フィリピンに輸出された。関係会社名は確認せず、どのような基準に違反したかも明らかにしていないという。

 有毒歯磨き粉や鉛を含む塗料を塗ったおもちゃなど、中国からの食品や製品の危険性が派手に報じられるなか、消費者の注意は輸入品の安全性に振り向けられた。大統領委員会は輸入品安全性改善計画を来月にも発表する予定で、議会には中国からの輸入の一時的停止や国の食品安全監視システムの完全な再編などの提案が出されている。

 しかし、CPSCのムーア・コミッショナーは、中国や他の海外諸国のモラル欠如ばかりを責めたてることはできない、米国の輸出政策の念頭にあるのは、安全性ではなく、”価格と売れ行きの良さ(marketability)”による外国市場での競争力の確保だと言っている。消費者団体は、こんなことでは、外国の消費者を危険に曝すだけでなく、外国に基準順守を強く要求することもできないと言う。

 Products That Miss Safety Standards Sent Overseas by U.S. Companies,The Washington Post,9.1

  しかし、そう言ったところで何の益があるのか。世界の国々の目も中国製品に集中している*。米国製品など気にしても仕方がない。下手に手を出せば、逆にやられる。どこの国も、たたけばホコリが出る身だ。全部の重点検査などあり得ない。中国だけを悪者に仕立てているのが一番無難で、消費者を安心させる一番安上がりな方法だ。

 *High-Level Alert On Food, Pharmaceutical Products From China,Bernama,9.3
 
State bans cheap Chinese toothpaste,Age,9.3
   Swiss act over Chinese toy issue
,swissinfo,8.31
   LATIN AMERICA: Careful with the Toys,IPS,8.30
  
Toxic toothpaste alert: buyers beware,smh,8.29
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