一定食品着色料混合物が子供の多動性障害に関連の可能性 回避は消費者の責任 英国FSA

農業情報研究所(WAPIC)

07.9.6

  英国食品基準庁(FSA)が、注意欠陥多動性障害 (ADHD)の子供には保存料として使われる安息香酸ナトリウムと一定の食品着色料の混合物を与えるのを避けるのが有益という消費者向け勧告を出した。FSAのの委嘱した研究により、これら混合物を食べたり、飲んだりすることが、子供のADHDに関連している可能性が明らかされたためという。

 不思議なことに、FSAは、これら着色料の使用の制限や禁止は考えず、この発見を、現在、EUで承認されているすべての食品着色料の安全性を見直している欧州食品安全機関(EFSA)と共有するにとどめるという。

 Agency revises advice on certain artificial food colours,FSA(UK),9.5

 リスク回避の責任を製造者にではなく、消費者に負わせるのは、どう考えても時代錯誤のやり方fだ。これらを使用した食品や飲料のすべてに表示があるわけでもないから、消費者はこのような食品や飲料を避けようとしても避けられない場合もある。ガーディアン紙のみならず、フィナンシャル・タイムズ紙でさえ、FSAの措置を不当と論している。

 FSAが”禁止”措置を取らなかったことは、日本も含む他国の対応も鈍らせるだろう。日本の消費者は、何の警告も受けることなく、危険な着色料・保存料の混合物を子供に食べさせ続けることになりそうだ。専ら中国産食品に目を取られているマスコミがこの問題を取り上げることは、まず100%ないだろう。

 研究で使われた混合物には、Sunset yellow (E110)(サンセットイエロー=黄色5号、日本指定添加物) 、Quinoline yellow (E104) (キノリンイエロー、日本指定外)、 Carmoisine (E122) (カルモイシン又はアゾルビン、日本指定外)、Allura red (E129)(赤色40号 、 日本指定添加物)、Sodium benzoate (E211)(安息香酸ナトリウム、保存料、日本指定添加物)が含まれる。 これら混合物と多動性障害の関連性は、この障害を持つ子供の食事からこれら混合物を取り除くと改善が見られるという以前の研究で示唆されていたが、新たな研究では、これら混合物の摂取で障害のなかった一般の子供に障害が現れることが発見され、この関連性が一層確かなものになったという。

 関連ニュース・論説
 
Watchdogs to consider food colouring research,FT.com,9.6
  Editorial:Their true colours,FT.com,9.6
  Parents warned of additives link,BBC news,9.6
  Danger to children from food and drink additives is exposed,The Guardian,9.6
  Some Food Additives Raise Hyperactivity, Study Finds,The New York Times,9.6