EUの米国アフラトキシン対策監査報告 アーモンドは輸出証明の妥当性さえ疑わしい

農業情報研究所(WAPIC)

07.9.13

 12日、米国のEU輸出向けピーナツ及びアーモンドのアフラトキシン汚染防止対策に関するEU食品・獣医学専門家チームによる監査報告が発表された。

 ピーナツに関するコントロールは全般的には非常に良好という。ただし、輸出手続きには問題がある。アフラトキシンにかかわる輸出証明書の公式チェックはまったくない。米国農務省(USDA)は港でたびたびコンテナを明けて害虫の発生に関連したチェックをし、植物衛生証明書を出しているが、これはアフラトキシン認証とは関係ない。また、税関や国土安全保障省による輸出チェックも、他のリスクがあり得る製品に限定されている。

 民間会社による薫蒸のために、輸出は加工業者が出荷してから5-7日遅れ、この間、コンテナは波止場近くの貯蔵場所に積み上げられていることも問題だ。この期間の長さと気候条件からすると、この間にアフラトキシンが生成される可能性がある。

 他方、アーモンドに関しては完全に落第ということだ。義務的コントロールや監視はまったくない。大部分のコントロールは産業により自主的に行われるか、カリフォルニア・アーモンド・ボードを通して勧奨されているかだ。原料成分から取り去る不可食ナッツの割合を増やす立法や、自主的なアフラトキシン検査サンプリング計画が提案されているが、これらの変化の効果を評価するには時期尚早ともいう。

 アーモンドのアフラトキシン分析のための検査施設を公認するシステムがなく、訪ねた試験所の品質コントロールには重大な欠陥が見つかった。分析能力がなっていない一例もあった。公式コントロールは、基本的には不可食か、傷もののナッツの除去に関連したものである。アフラトキシン生成にかかわるアスペラギルス(コウジカビ)の発生や加工の影響に関する調査も不適切、従って、現在の措置や提案されている措置の有効性は証明されていないという。

 報告は、現在のコントロール・システムは輸出製品のEU基準へのコンプライアンスを保証するには不適切で、訪ねた検査施設も不適切なものだったから、米国の輸出証明の妥当性さえ疑われると言う。

 Inspection reports:US United States - Aflatoxin Contamination - Peanuts
 Inspection reports:US United States - Aflatoxin Contamination - Almonds

 今年4月から6月までの日本の輸入食品違反事例を見ると、米国からのトウモロコシには命令検査による23件のアフラトキシン陽性例があるが、アーモンドについては、やはり命令検査による生鮮アーモンド:3件の陽性例あるだけだ(厚生労働省:輸入食品等の食品衛生法違反事例)。アーモンドのアフラトキシン検査体制は十分なのだろうか。