米国のトップ牛挽肉製品製造業者 O157 汚染によるリコールに耐えられず事業撤退へ

農業情報研究所(WAPIC)

07.10.9

  1940創業、67年の歴史を持つ米国最大の牛挽肉冷凍パテ製造業者のトップス・ミート社が10月5日、事業から撤退すると発表した。病原性大腸菌O157:H7株 に汚染された恐れのある製品の最近のリコールの経済的負担に耐え切れないためという。

 Topps Meat Company Ends Operations After 67 Years,Cattle Network,10.8

 このリコールは、コネチカット、フロリダ、インディアナ、メイン、ニュージャージー、ニューヨーク、オハイオ、ペンシルバニアの8州の25人(10月5日現在では32人)が同社製品を食べたために感染したことが発覚した先月25日に始まったが、29日には2170万ポンド(約1万トン)もの挽肉製品の大規模リコールに発展した。牛肉のリコールとしては、97年のハドソン・フーズ社の牛ひき肉約1.1万トンに次ぐ史上2番目の大規模利リコールとなる。

 USDA:FSIA:http://www.fsis.usda.gov/PDF/040_2007_Expanded_Recall.pdf
        http://www.fsis.usda.gov/PDF/Recall_040_2007_Exp_Update.pdf

 今年に入ってのO157汚染による牛肉製品のリコールは、今回の例のほかにも、4月に2件、6月、7月に各1件起きており、トップス・ミートが撤退を発表した翌日の10月6日には、カーギル・ミート・ソリューションも、やはりO157汚染の疑いで、84万5000ポンドの冷凍牛挽肉パテの自主的回収を発表した。

 USDA:FSIA:http://www.fsis.usda.gov/News_&_Events/Recall_042_2007_Release/index.asp

 トップス・ミート社の撤退は、最大の汚染源=家畜工場を放置して対症的手段(患者発生を見てからのリコール)で人々の感染を防ぐしかない現状が続くかぎり、米国の食肉産業に未来はないことを暗示していないだろうか。効率のための経営大規模化は、リコールも耐えられないほどに大規模なものにする。