米国豚肉最大手 スミスフィールドが人間治療用の抗生剤の飼料添加を停止

農業情報研究所(WAPIC)

05.8.4

 全米最大手の豚肉生 産・処理・加工会社であるスミスフィールド社が、これまた世界最大手の食品供給サービス会社であるコンパス・グループと、食肉製品用の健康な豚に日常的に抗生物質を与えることを停止することに合意した(Smithfield conforms to a firm's demand to limit hog-feed additive,Richmond Times – Dispatch,8.3)。

  スミスフィールドはコンパス・グループと、人間の治療用に使われる抗生物質を成長促進のために飼料に添加するのを禁止する協定に調印したという。協定は、弱齢の豚の餌に一定の抗生物質を加えることを禁じるものではない。豚は、ストレスの多い離乳期の間、病気予防剤として抗生物質を与えられる。

 それにもかかわらず、動物飼料に大量の抗生物質が使われ、また人間に不要な処方がなされることからくる抗生物質耐性菌の増加を恐れる一部活動家グループは、この協定を歓迎している。ただ、憂慮する科学者同盟のスポークスマンは、これを重要な第一ステップと評価しながら、動物飼料から抗生物質を排除する法案に関する議会の行動を要請したという。

 これは確かに歓迎すべきことかもしれないが、成長促進剤なしでは隆盛が難しい米国に発し・世界中に広がる大規模工業畜産(例えば、スミスフィールドはポーランドでも米国流大規模豚肉事業を展開している。多くの小規模養豚がその傘下の工業的養豚に再編された)からの反転を意味するものではない。それを維持するために、バクテリアや銅・亜鉛など、新たな成長促進飼料添加物の開発が進められている。