ニュージーランド 中国産キャンディーに”許容できない”高レベルのメラミン検出

農業情報研究所(WAPIC)

08.9.24

 ニュージーランド食品安全庁(NZFSA)が24日、White Rabbit Creamy Candies(大白兔)の名で知られるミルクベースのキャンデーを消費しないように警告を出した。これは、ニュージーランドのアジア人向け小売業者・スーパー・牛乳店で売られている(現在はどうか知らないが、少なくとも発癌物質=ホルムアルデヒトがフィリピンで検出された昨年7月までは、中国土産の定番として日本にも持ち込まれていた)。

 

 シンガポールでも同じ製品からメラミンが検出されているが、NZFSAの検査で180ppmという許容できない高レベルのメラミンが検出された。このレベルだと、一部の人に腎臓結石などの健康問題を引き起こす恐れがある。NZFSAは、この製品の消費をめぐって心配のある人は医者に相談するようにと勧告している。

 Privileged Statement: White Rabbit Confectionery,The New Zealand Food Safety Authority,9.24
 http://www.nzfsa.govt.nz/publications/media-releases/2008/2008-09-24-white-rabbit-statement.htm

 ニュージーランドだけではなく、韓国、米国、カナダなど、多くの国が、メラミン(とその関連物質)検査を乳児用粉ミルクや牛乳・乳製品のみならず、成分として中国産ミルクを含み得る広範な食品に拡大している。

 カナダ食品検査局(CFIA)は、メラミン汚染調査・検査を乳児用粉ミルクから、乳製品・汚染製品を含み得るミルク派生成分から作られた製品に拡張した。ミルク派生成分には全脂粉乳、 脱脂粉乳、ホエイパウダー、ラクトースパウダー、カゼインが含まれる。

 また、サプリメントやプロテインバーなど、多量のミルク蛋白質を含む自然健康製品(NHP)のライセンス保持者や申請者にはメラミン汚染にかかわる状況を知らせ、使用している成分の調達先に関する情報を求めるとともに、このような様々なNHPから選ばれた検体を検査するという。

 Update - Melamine - Certain products from China,CFIA,9.22
 http://www.inspection.gc.ca/english/fssa/concen/2008melamine.shtml

 米国食品医薬局(FDA)も類似の対応策を導入している。州・地方当局と協力、米国に輸入されたかもしれない中国製粉ミルクのついての米国内アジア人向け市場での全国規模のチェックも始めた。これは、特にロサンゼルス、サン・フランシスコ、シアトル、ニューヨークなどの大規模な中国人コミュニティーに焦点を当てている。今までに1000以上の小売市場を調査員が訪れたが、これら市場の棚に中国製乳児用粉ミルクは見つかっていないという。

 加えて、FDAは、インターネットやその他のソースから中国製粉ミルクを買わないように消費者に呼びかけている。州・地方当局と協力、相当量のミルクまたはミルク蛋白質を含む可能性のある中国からの輸入食品のアジア人向け市場でのチェックを今後も続ける。さらに、キャンディー、デザート、飲料など、中国から調達した成分を含む可能性のあるミルク派生成分とミルクを含む完成食品のサンプリングと検査を拡大する。ミルク派生成分には、全脂粉乳、 脱脂粉乳、ホエイパウダー、ラクトースパウダー、カゼインが含まれる。このサンプリングと検査は、これら成分または製品が米国に輸入されたときか、アジア人向け市場を訪れている間に発見されたときに行われるという。

 FDA Updates Health Information Advisory on Melamine Contamination,FDA,9.23
 http://www.fda.gov/bbs/topics/NEWS/2008/NEW01889.html

 ところで、食品安全にかかわる化学物質(農薬は除く)の検査の”慣習”を持たない日本は、厚生労働省と農林水産省が輸入者や関係産業団体に自主的な点検や検査を要請しただけだ(厚生労働省:中国における牛乳へのメラミン混入事案への対応について(第2報)。チリ産豚肉のダイオキシン汚染をめぐる対策も、韓国の対応の後追いにすぎなかった(厚生労働省:韓国におけるダイオキシン検出事例を踏まえたチリ産豚肉の取扱いについて(第4報))ことからすれば、これも、化学物質汚染にかかわる当たり前の対応なのだろう。

 メラミン汚染のリスクを甘く見ていることも関係しているかもしれない(食品安全委員会:メラミンについて(2008.09.19掲載)[PDF]
)。しかし、メラミンの健康影響についてはほとんど分かっていない。長期的影響はまったく知られていない。「腎臓結石は簡単に取り除けるが、メラミンは結晶化を引き起こし、血液を漉す腎臓の細管を塞ぐときに、他の障害を引き起こす恐れがある」と心配する専門家もいる。

 Melamine 'widespread' in China's food chain,New Scientist,9.23
 http://www.newscientist.com/article/dn14791-melamine-widespread-in-chinas-food-chain.html

 メラミンは、どのようなレベルであれ、食品に含まれてはならないというに基本認識が必要だ。