EFSA 飼料添加ビタミンAの許容量上限の引き下げを勧告 人間の骨の健康リスクを回避

農業情報研究所(WAPIC)

09.2.4

 EUの欧州食品安全機関(EFSA)が動物飼料へのビタミンA添加の消費者への影響に関する意見を採択、主要食料生産動物(豚・牛・家禽)用飼料における最大限許容量を引き下げるように勧告した。

 また、ビタミンAの過剰摂取を避けるために、その他の飼料またはまぐさと併せて使われる補助飼料の規制、レバーなどの食品に含まれるビタミンAのモニタリング、消費者が過剰摂取を避けるのを助ける適切なアドバイスの提供も勧告した。

  Press Release:EFSA recommends revised maximum vitamin A levels in feed for main food producing animals,EFSA,2.2
http://www.efsa.europa.eu/EFSA/efsa_locale-1178620753812_1211902310080.htm
  Opinion
  :http://www.efsa.europa.eu/cs/BlobServer/Scientific_Opinion/feedap_op_ej873_vitamin_a_en.pdf?ssbinary=true

 これは、人々のビタミンA摂取を推定し、英国とフランスの二つのリポートで指摘されたようなビタミンAの多量の摂取と関連した高齢者の骨の健康リスクに関する科学的証拠を精査するように求める欧州委員会の諮問に答えたものである。 

 飼料へのビタミンA添加は、ビタミンAが動物食品に残留、人々の過剰摂取の原因となることから、消費者にも関係する。ビタミンAは人間と動物の必須栄養素であり、動物飼料に添加されるが、肥育用に飼育される家畜に関する 使用量の上限がEU立法によって定められている。

 EFSA専門委員会は、いくつかのEU諸国の研究を利用、消費者の食事からのビタミンA摂取量を調べた。その結果、ヨーロッパ人口の小部分に、2002年に食品に関する科学委員会が定めた3000マイクログラムという1日当たり摂取量の安全限界(UL)を超えるリスクがあることが分かった。

 ULを超える最大のリスクは、高濃度のビタミンA前駆体を含むレバーを食べることと、ビタミンAサプリメントを摂取することから来る。特に北欧では、乳製品からの摂取も重要なリスク要因をなす。

 ビタミンA(レチノール)の摂取と高齢者のUL引き下げを正当化する骨の健康リスクとの量的相関関係は確立できなかった。専門家は、新たなデータがUL再評価の必要性を示すまで、骨粗鬆症.と骨折のリスクが最大の人々には一日当たり1500マイクログラムに制限するように勧めることができると考えた。

 そして、飼料に関しては、リスク管理者が主要食料生産動物用飼料のビタミンAの新たな最大限レベルを考えるように勧告した。このレベルは、動物の健康と成績に悪影響を与えることなく、消費者のいかなる不必要な摂取も回避する。とりわけ豚に関しては、現在の最大限許容量を半減させることを勧告している。

  なお、日本にはビタミンAに関する人間のULもなければ、飼料への添加量の規制もない。ただ、過剰給与の家畜への悪影響に注意が促されているだけだ。